教室にて
//SE 教室のドアを開ける音
//SE まだ早い時間のため、教室内の喧騒は小さめ
「逆に、苦手な物ある? コーヒー味が苦手~とか。 この果物は少し……とか」
「抹茶!? そっか……君は抹茶嫌いなんだ」
(小声で、落ち込み気味に)
「分け合いっことか出来ないじゃん……」
「え、いやいや! なんでもないよ!」
「了解! 抹茶味は作らないようにするね!」
//SE 椅子を引く音(二人分)
「自分の席に行けって……いいじゃん。 どうせ、
「迷惑とかだったら自分の席に戻るけど……」
「えへへ。 そう言ってくれると思ってた」
「ありがと。 勉強のこともそうだけど、君は優しいね」
「体育祭の練習の時も、私が転んじゃった時、一番に駆けつけてくれたし」
「保険委員だから?」
「でも、勉強を見てくれるのは関係ないじゃん?」
(からかうなら辞める、と言われ慌てる)
「ご、ごめんごめん!」
「でも、君が優しいって思ってるのは本当だよ?」
「褒めても何も出ないって……そういうつもりじゃないんだけどなぁ」
「分かったよー。 この話はおしまい!」
「……あれ? 結局、何の話をしてたんだっけ?」
「あ、そうそう。 お礼のお菓子の話」
「お菓子の、好きな味とかはある?」
「ラムレーズンが好き? また珍しいものを……」
「あぁ、レーズンサンドね。 まぁ、確かに美味しいと思う。 思うけど……私、ラムレーズンで、少し酔ったことが──」
(笑われて、拗ねるように)
「そんな笑わなくてもよくない!? 美味しい美味しいって食べてたら、急に笑い出したってお母さんが言ってて……全然記憶にないんだよね」
「だから、決めたんだ! 私はお酒を飲まないって」
「笑いすぎだって……」
「未成年でその決意は笑いネタって……」
「そこまで言うなら、お酒が飲める年になったら、君に付き合ってもらおうかな!」
「そ、そこまで嫌そうにしなくても……だめ?」
「やった! 約束だからね?」
//SE 教室内の喧騒が大きくなる
「あ、そろそろ席、どいた方がいいかな」
「あ……それで、勉強のことだけど」
「き、今日の放課後とかどう?」
「部活? 部活はね……直近の大会もないし、赤点ギリギリ常連の私は2週間前から部活停止でして……」
「また笑うじゃん!」
「2週間も部活ないと、なまりそう? えっへん! 家帰ってから、ランニングしてますから」
「そうでしょう! 偉いでしょう! もっと褒めていいよ!」
「調子乗るなって……」
「いや、確かに日頃の行い、というか。 私の点数が低いせいでもあるけどさぁ」
「でも、私は褒められると伸びる子だよ!」
「むー、少しぐらい褒めてくれてもいいのに」
(座っている席の持ち主が現れる)
「あ、ごめん! 今どくね!」
(君の机に座る)
「そういう事だから、今日の放課後からお願いしてもいい?」
「うーん、場所は……私の部屋とかどう?」
「図書室がいいって、即答!? 女子高生の部屋に対する憧れとかないの!? JKだよ!?」
「いや……女子高生への憧れっていうのは……友達が、JKブランドどうこうって言ってって……」
「そんな目で見ないでよ……なんか、めちゃくちゃ恥ずかしくなってきた」
「はぁ。 分かったよ。 図書室でやろ」
「あ、そろそろ自分の席戻ろっかな」
(自分の席に戻ろうとしたが、すぐ戻ってくる)
「あ、あのさ……」
(周りを見渡しながら、耳元で小声で話しかけてくる)
「さ、さっきの、友達の応援しに大会にって……女子?」
「なんでって……いいじゃん、理由なんて」
「それとも言えないの?」
(男子だと答える)
「そっか……よかった……」
「嬉しそう? ふふ、内緒」
「まぁまぁ。 乙女には秘密がつきものさ」
//SE 教室のドアが開く音
「あ! 先生来ちゃった!」
「逃げる? ちがいますー。 正当な理由ですー」
「勉強、ありがとね! 今日は、お昼一緒に食べよ! またね」
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