第4話魔法訓練スタート

「ごちそうさまでしたーっ!」


 


空になった食器を流しに置き、結月がぐーっと背伸びをする。

母はその様子を見ながら微笑みつつ、台所で後片付けを始めた。


 


そんな中、カイがおもむろに声をかける。


 


「結月。今日、放課後ちょっと時間あるか?」


 


「んー? なに、デートのお誘い? ま、いいけど?」


 


「……ちがう。魔法の基礎、教えてほしい。お前に」


 


その言葉に、結月は一瞬目を丸くし、それからニヤリと笑う。


 


「ふふん、ついに私の時代ね! よし、いいよ教えてあげる!」


 


勢いよく胸を張った結月は、ツカツカと歩いてカイの前に立つ。

そして腕を組み、勝ち誇ったように言い放った。


 


「というわけで、これからは──先生とお呼びなさいっ!」


 


「……は?」


 


カイが本気で引いた顔をすると、結月はぷっと吹き出した。


 


「なにその顔~! いいじゃん、先生ごっこくらいさせてよ!

カイに教えるなんて、人生で最初で最後かもなんだから!」


 


「……最後じゃないかもしれないぞ」


 


「えっ」


 


ぼそっと返された一言に、結月は一瞬ぽかんとしたあと、頬を赤らめて目を逸らした。


 


「……と、とにかく! 魔法教えるから! ちゃんとメモ取ってよね!」


 


「おう、“先生”」


 


「ふふん、よろしい」


 


そうして、かつて無力だった少年と、彼を支えた少女の──

“選び直し”の物語が、再び動き出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る