化け物の正体【ヒスイ視点】
はじめは私も一人だった。
それはそうだろう。当時、「奴ら」とはまだ接触していなかったから。
小学生だった頃、私は親友の「ソトハ」と一緒にあるところを歩いていたのだが、突如として周囲の雰囲気が変わり、太陽の光が遮られ、時が止まってしまったかと思うほど静まり返った。
上へ目を向けると、そこには巨大で奇怪な造形をした謎の飛行船。
謎の飛行船からは追加で謎の光が放たれ、私達を包みこんだ。
気がつけば、私はその飛行船の内部でこれまた謎の機械に拘束されていた。
しかし、ソトハの姿が見当たらない。
何とかそこから逃れようともがいていると、機械から数本のアームが出てきて、その先から注射器のような物や刃が姿を現した。
そこから先の記憶はない。
目覚めたとき、私の身体はまだ機械に拘束されていたが、受けた施術の影響か、軽々と機械を破壊し、抜け出すことができた。
ふと辺りを見渡すと、私とほぼ同じ姿をした人間が、私と同様機械に拘束されているではないか。私を入れて九人。
確証のない直感から私は彼らを解放して起こした。
すると突然、頭の中が騒がしくなった。これは比喩ではなく、本当にそうなったんだ。これが思考を共有しているからだと気づいたのは、しばらく後のことだった。
私は彼らが私のクローンであることを知り、全員協力して何とか脱出した。
だが、ソトハを見つけることは叶わず、その後消息不明となってしまった。
先日、化け物との戦闘で剥がれ落ちた体表の一部を私は見ていた。
この体表から検出されたDNAに、見覚えがあったのだ。
私は、タンスの奥底にしまわれたソトハの血液を取り出した。
これはソトハが怪我をして治療をした際に、こっそり採取しておいたものだ。
このDNAと、血液のDNAを照らし合わせる。
「これは…」
最悪の結果だ。二つのDNAが完全に一致してしまった。
なんとか救う方法はないのか…?
「どうすれば…」
私は頭を抱えてうずくまった。
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