第29話 失敗と成功の狭間

 問題発現から二日過ぎたはずの20日(金)、変化なし。Mは宍戸が何かキャッチしていないか念のため連絡を入れたものの、先方でも何も情報を得ていないと返答を受けた。

「承知しました。繰り返しますが、弊社には現在管理部門に先方の社員が常駐している以外は全く交流がなくなった状況ですので、たとえ罠が顕在化しても親会社で内々に処理されていれば、子会社の我々までは解雇の結論が出るまで通知が来ない可能性が高いです。あと数日で27日の役員会議がありますので、静観を続けます。」

「承知しました。」

 役員会議とはBを含む親会社の重役が軒並み当社に来られ、経営方針について稟議、承認する場である。よって当日にもし本人が顔を出していれば、残念ながら自分の試みは失敗であるとみて間違いないであろう。宍戸も同意見であった。Mはソワソワしてインターネット記事を調べた。Bが何かやらかしたのなら小記事くらい出るのではとも思ったがそれらしいものはなく、代わりに本人の推進する事業計画についてのインタビュー記事が出てくるばかりであった。Mはまた27日の会長の予定も調べてみた。すると役員会が27日(金)午後から30日(月)の夕刻へ変更されていた。多少変更はあったのだろうが、大勢に影響はないだろう。いやそれとも問題が発覚したBの扱いが紛糾しているのだろうか。

 Mは、会長から情報を得られないか試みた。会長と帰宅時刻が重なれば、Bと交流がないかと聞いてみた。が、その答えからBの状況をうかがい知れる内容は得られなかった。

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