第5話 猫が毛布の上に乗ってきた
数日前の未明、私の寝ている毛布の上に猫が乗ってきた。なぜかよく分からんけど、その場にいようと、明らかに爪を立てて毛布にのさばりついている。
ところで、寓居はペット禁止だろうとは思うけれども、別にペットを飼っているわけでもない。他の命まで面倒を見るゆとりもないし、何より、自分自身の仕事がいっぱいいっぱいであるからな。というわけで、猫様、相も変わらず私の胸のあたりに乗っている。猫が乗っているであろうことはわかる。ただ、別にニャーとも言ったりはしない。
さあ困った、何とか猫様に降りていただかなければ。
そんなことを思っていると、突如、胸の上あたりが軽くなった。猫様、どこかに行かれることになった模様。ふと右側を見ると、確かにキジトラの猫様らしきお方があちらに移動されている。
その時ばかりは、猫様、ニャーと仰せだったかにゃー。
ふと、目が覚めた。
当然、布団の上にもその近くにも、猫様はいなかった。
嗚呼、夢だったのか。
さて、あの猫様はどこの猫様だったっけ。ふと思い返すと、すぐに検討がついてしまった。そう、これまでの人生で一度しか会ったことのない、ある地で私の膝の上にも堂々とのってきた、あの猫屋敷のキジトラさんだ。
うん、あの猫様しかいないだろうな。
今生では一度しかお会いしていないが、おそらく、私のところにはいろいろ思うところあって出てこられているように思えてならない。あれはもう24年も前の話だから、猫様はすでにこの世にはおいででないとは思うけど、でも、何だかんだで私が猫様を忘れていないように、猫様も、私を忘れていないのだろうと思われる。
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