第16話 「寄せ鍋戦士団、ついに注目される!?」
イベント当日。
すみれ、まどか、あかり——三人の“寄せ鍋戦士団”が、駅前に集合した。
「うわー緊張してきた!」
「大丈夫、うちら今回は焦げてないし」
「それ言う!?」
(※過去ウィッグ燃焼事件、いまだ根強いトラウマ)
すみれは無花果様の新衣装。
まどかは布を自作して再構築したマミヤ。
あかりは全力プリキュア風コス。
三人並ぶと――統一感は皆無。
しかし妙に迫力がある。
---見た目は寄せ鍋、中身は真剣。---
会場の中では、若いコスプレイヤーたちがスマホで撮影していて、
リングライトの光がまぶしい。
そんな中、三人が入場。
「……え、あの人たち、なんか強そう」
「戦うお母さんズって感じ」
「いや普通にカッコいい!」
ざわ…ざわ…ざわ……
撮影エリアでポーズを取る三人。
誰かが声を上げた。
「寄せ鍋戦士団さん、写真撮ってもいいですか!?」
まどか「寄せ鍋って呼ばれてる……!?」
あかり「うちら、ついにブランド化したのでは!?」
カメラが何台も向けられる。
すみれは胸の奥が熱くなった。
昔は“あれ、痛くね?”って笑われてた。
でも今は——
“あれ、楽しそう!”って言われてる。
イベントが終わった頃、三人のもとに一人の若いレイヤーが駆け寄ってきた。
「寄せ鍋戦士団さんの写真、SNSで見て元気出ました!
私も年齢気にせずコスプレしたくなって!」
すみれは思わず笑ってしまった。
自分たちの迷走と笑いが、
誰かの背中を押すなんて、思ってもみなかった。
帰りの電車。
三人は疲れ切っていたけど、
みんなの顔には満足そうな笑みが浮かんでいた。
「私たち……今日、ちゃんとヒロインだったね」
「うん、寄せ鍋だけどな」
「戦う主婦戦隊、次回作に続く!!」
電車がゆっくり走り出す。
窓の外に流れる街の灯が、
三人の笑顔を優しく照らしていた。
つづく
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