こじらせ非モテの俺、美人幼馴染が死後も愛するダメ出しで矯正中~女子に嫌われ、孤立寸前を自分で作った男の話~

ヒカゲ

第0話:プロローグ

「慎也、今日もモテない呪文唱えてるのね」


僕の部屋に、いつものように美咲が現れた。


サラサラのロング髪を持つ、淡いブルーのワンピース姿の彼女は、清楚で美しい2歳年上の幼馴染だ。


「モテない呪文って何だよ」


「『出会いがない、全く無い、何処に行ってもない、この先もない』でしょ?」


美咲は僕の口癖を完璧に真似した。


「俳句まで作って。『もてないよ ああもてないよ もてないよ』って」


「やめろよ、恥ずかしい」


「恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」


美咲はクスクス笑いながら、僕のベッドに腰を下ろした。


実は、美咲は半年前に交通事故で亡くなっている。


それなのに、こうして毎日僕の前に現れて、相変わらず世話を焼いてくれる。


生きていた時よりも、むしろ構ってくれているかもしれない。


「ねえ慎也、私は『ない』の?」


「え?」


「あなたの『出会いがない』発言。私の前で言うたびに思うのよ」


美咲の表情が少し真剣になった。


「私は慎也にとって『ない』存在なの?」


「そういう意味じゃないだろ」


「じゃあ、どういう意味よ」


僕は答えに詰まった。


確かに、美咲の前で「出会いがない」と言うのは変だった。


でも、美咲は...


「幼馴染だから、違うというか...」


「ふーん」


美咲は少し寂しそうな笑顔を浮かべた。


「まあいいわ。でもね、慎也」


「なんだよ」


「あなたの口癖、本当にヤバいわよ。このままだと...」


美咲は立ち上がった。


「取り返しのつかないことになるかも」


そう言い残して、美咲は消えた。


この時の僕は、まだ知らなかった。


美咲の警告の本当の意味を。


そして、彼女が僕に抱き続けている、ある想いのことを。


それでは、あの日常から話を始めよう...

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