転生兄妹の異世界冒険譚 ~ブラコン妹を異世界に道連れした結果?~
紅色の図書館
第1章 転生編
第1話 エピローグ
夏休みが始まった次の日。俺は我が最愛の妹とともに歩いている。今日は、明日のご飯を買いに近所のデパートまで買い物に行ってきたのだ。
俺の名前は『
実際、学校では一週間に一回は告白されているらしい。黒髪のショートカットで赤い瞳は反則級の可愛さである。俺としては周囲の人にその可愛さが知られて俺のもとから離れてしまうのではないのか心配で、絶対に守らなくてはならない大切な妹だ。
幼い頃、両親が事故で他界してからは、一層可愛くなったように感じる。もっとも最近は尻に敷かれている感じもしないではないが。
そんな俺たちがなぜデパートに行っていたかというと、明日は妹の誕生日なのだ。五ヶ月前から貯めていた小遣いで買ってあげたプレゼントを抱えて家に帰っている最中だ。
先程から、後ろで嬉しそうに歩いているのもそのためだ。ところどころ転びそうになっているのも、また可愛い。
家からあと少しの交差点で、信号が青になるのを待っていると、花音が話しかけてきた。
「お兄ちゃん、明日の時間空いてる?」
「ああ、たぶん空いてると思う。……どうした?」
(頼られると嬉しすぎて顔に出そう……いや、出てない出てない……たぶん)
「あのね……ちょっとだけ、一緒に来てほしいところがあるんだけど……だめ、かな?」
「いいよ」
(......ハッ! つい可愛すぎて反射で答えてしまった!)
「やった、ありがと。楽しみにしてるね♪」
「お、おう」
青になった信号をみて、渡りながら答えた。
その時だった。妹を見ようと横を向いたとき、ある一台のEV車がこちらに速度を上げたまま、信号を無視して突っ込んできたのだ。
ブレーキをかけようとする様子もなく、運転手は驚いた様子でこちらを見ている。そしてEV車は俺たちとぶつかった。一瞬のことだった。そのとき、色々な考えが頭の中を巡った。
何が起きてる? なんで……止まらない?
音が遠い。目の前の光景が現実じゃないみたいだった。
あの車、こっちに来てる? 本当に?
誰か、止めてくれよ――
動けない。足が――動かない。
……あ。
ダメだ、これは――本当に死ぬ。
守らなきゃ。花音を――
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