第13話 鉄の国 — 失われた肉体の哀しみ

秋人たちが次に足を踏み入れたのは、鉄の国。その名の通り、この国では全ての人々が体の一部、または全身を鉄で覆い、強力な防御力を持っている。

しかしその代償として、人間らしさを失い、心は冷徹で、肉体的な感覚や温かさを失ってしまった者たちが住む国であった。


ウルトラの星で得た力を胸に、秋人たちはこの国の中心にある巨大な鉄の塔を目指すことにした。塔の上には、この国の王が住んでおり、彼に会うことで次なる力を得られると聞いていた。


「鉄の国か…全ての人が鉄に覆われてる…まるで、感情を捨てたような無機質な世界だね。」


リリスが鉄の街並みを見渡し、言った。

ノアも冷静も言う。


「ただ防御力を高めることだけを考えた結果、心までも失ってしまったのか? でも、それがこの国の恐ろしさなのかもしれない。」


「肉体の強さを極めた結果、魂の強さを失った…、この国には、きっと大きな悲劇が隠されているんだろうね」


歩き続けると、やがて秋人たちは街の広場に到達した。そこでは、鉄で覆われた無表情な人々が淡々と歩き回り、感情のない目で他者を見ている。彼らの体は鉄で固められており、まるで機械のような存在に見えた。


その時、突然、街の広場の端から声がかかる。


「お前たち、見ての通り、ここは鉄の国だ。」


振り向くと、そこに現れたのは、鉄の体を持つ若者。彼の全身は鉄で覆われ、顔も見えないほどに固まっていたが、その声にはどこか深い悲しみが感じられる。


「私はコルディア。鉄の国の元住人だ。」


若者が淡々と語り始める。


「かつて、この国では全ての人が自分の肉体を強化し、外界からの攻撃を防ごうとした。しかし、その結果、誰もが鉄で覆われ、人間らしい感覚を忘れてしまった。」


「自分たちの肉体を失うことで、守ることができた世界だが、守るべきものを失った。」


コルディアは冷徹な目で遠くを見つめる。


「今、この国に残されたのは、鉄の体だけ。感情も、思い出も、希望も失われた人々ばかりだ。」


秋人たちはコルディアに案内され、鉄の国の中心部にある鉄の王国へと向かうことになった。その道中、彼らは数々の悲劇的な光景を目にする。


鉄で覆われた人々の中には、もはや感情すら持たない者や、鉄を強化しすぎて動けなくなった者も多くいた。どこか無機質で冷たいその街には、生気が感じられなかった。


「ここに住んでいるのは、もう人間ではないんだ。鉄の体は強力だけど、温かさや柔らかさを失ってしまった。感情を持っていた頃は、もっと自由に生きていたのに。」


「なぜ、そんなことをしたんだ?」


秋人が質問する。


コルディアはしばらく黙っていたが、やがて静かに答えた。


「かつて、この国は鉄の防壁を作り上げて、他国の侵略から守ろうとした。けれど、防御力が高ければ高いほど、外部の影響を受けなくなる。そして、人々は次第にその防御を 肉体に施すことを選んだ。最初は、ただ身体の一部を強化していた。しかし、次第に 全身を鉄にしていった。鉄の体ならば、どんな攻撃も防げると思ったからだ。」


「でも、それが過剰になりすぎて、人間らしさを失ったのね」


ノアがつぶやく。


「その通り。肉体が強くなることで、どんな傷も、どんな痛みも感じなくなる。でも、その代償として、心の痛みも感じなくなる。今、この国には、痛みを感じることができる者は誰もいない。まるで鉄の体の呪いさ」


* * *


秋人たちは、鉄の王国の中心にある巨大な鉄の塔に到着した。この塔は、鉄でできた巨大な要塞であり、まるで一つの機械のような外観をしている。


塔の中に進んでいくと、そこには鉄で覆われた鉄の王が待っていた。彼はその顔すら鉄で覆われ、見るからに無機質な存在だった。王の前に立つと、彼は低い声で話し始める。


「ようこそ、鉄の王国へ。」


王は静かに言った。その声には、かつての人間だった頃の感情がわずかに残っているような気がした。


「私はかつて、この国を守るために鉄を選び、鉄を極めた者だ。しかし、今はすべてを失った。」


「失った…?」


秋人が尋ねる。


「私の名はカストリア。かつて、私は王国の防衛のため、鉄を使い続けた。そして、全てを鉄に変えることを選んだ。だが、それが間違いだった。」


カストリアは、かすかな痛みを抱えたように、語り続けた。


「鉄の体が強力すぎて、私は人間らしさを失った。感情、温かさ、そして希望…全てを失ってしまった!!!」


「では、どうして今も王としてここにいるの?」


ノアが尋ねる。そしてカストリアは騙り始める。


「それは、私が鉄の王国を守らねばならないからだ。だが、今、私はこの国に残された者たちに伝えたい。鉄の力では守れないものがある。鉄の体を持っていても、心の力がなければ、どんな防御も意味がないと」


秋人たちは、カストリアに語られた言葉を胸に、鉄の呪いを解く方法を探ることに決めた。彼らは、鉄で覆われた体を人間らしく取り戻す方法を見つけるため、王国の中にある古代の遺跡に向かう。


その遺跡には、かつての王たちが使っていた 「鉄の呪文書」が眠っていると言われていた。それを使えば、鉄で覆われた肉体を解放し、再び人間らしい感覚を取り戻すことができると言われていた。


「鉄の国を解放するためには、この呪文書が必要だ。でも、この力を使うことで、どれだけの犠牲が伴うのか…」


「それでも、この国を救うためには必要なことだわ。私たちの力を合わせて、鉄を越えて行こう!」


秋人の問にリリスが決意を込めて答える。


そこに現れたのは鉄の竜・ドラゴラム。鋼鉄の体に覆われ、並大抵の攻撃は無敵にする鉄腕ア・ストロングドラゴンである。


「あなたの思い出、静かなる決意。どうなっても知らないんだからっ!」


ミカは天に祈り、星を落とした。

それは見るからにスーパースター、無敵な凍れる時の鉄の竜も一撃で粉々にすることが出来た。


* * *


秋人たちは 鉄の呪文書を手に入れ、ついに王国の呪いを解くための方法を見つけ出す。その方法は、ただ単に鉄を取り除くのではなく、人々の心に眠っていた感情を取り戻すことによって、鉄の体が解放されるというものだった。


王国の人々に呪文を唱えることで、次々と鉄の体が溶け、感情を取り戻した者たちが次々に目を覚ました。そして、ついにカストリアも、自分の鉄の体を解き放ち、**人間の姿**を取り戻すことができた。


カストリアが涙を流しながら言った。


「ありがとう…私たちは、鉄で守ることだけを考えていた。でも、守るべきものは、鉄ではなく、心の力だったんだ。」


秋人たちは微笑みながら答えた。


「これからは、鉄を使うだけでなく、心を大切にする時代が来るんだ。」


そして、鉄の国は再生を遂げ、次なる冒険へと向かう準備が整った。

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