青春の一ページ
ゆにくろえ
第1話 異世界と繋がった青空高校
青空高校は、物理的には普通の学園でありながら、実はその学園が他の異世界や異能力を持つ人々と繋がっている特別な場所。これらの異世界や異能力を持つ人々が青空高校に通うことで、どこかしらの世界で特別な使命を背負った者たちが集まり、共に青春を過ごすことになります。
秋人は、普通の高校生で、特に際立った才能もなく、ただ青春を楽しんでいる少年。青空高校で友達と過ごし、恋愛や部活動、ちょっとした冒険を楽しんでいる。
ある日、彼は学園の図書館で偶然「異世界の扉」を開くきっかけを掴んでしまう。この扉が、異世界王立学園や超能力学院と繋がっている「ゲート」であることを知ります。すると、突然、異世界から来た生徒たちが青空高校に転校してくることになります。
秋人は、平凡な高校生活を送る普通の少年だった。部活では親友の大輔とテニスを楽しみ、技術が上達するたびに嬉しさを感じる日々。あまり目立つことなく、クラスメイトと一緒に昼食を取り、放課後には美咲とラノベの話をするのが楽しみだった。美咲は、秋人にとって、特別な存在。無理して話さなくても、お互いに安心感を覚える関係。だからこそ、秋人は心の中で密かに「もっと美咲と話したい」と願っているものの、なかなかその想いを口にできないでいた。
そんな日常の中、秋人は時折感じる「何か物足りない」という思いに悩まされていた。テニスやラノベの話は楽しいけれど、どこか空虚な気持ちを拭いきれない。普段は笑顔を絶やさず過ごしていたが、心の奥底では何かが欠けている気がしていた。
ある日、放課後の学園図書館で秋人は偶然、普段は足を運ばないような場所に迷い込んだ。図書館の奥、古い書籍の山が積まれている一角に足を踏み入れると、不思議なことに、本棚の一つが薄く光って見えた。
「何だろう…?」
無意識のうちにその本棚に近づき、手を伸ばしてみると、突然、本棚の一部がスライドして扉のように開いた。その先に広がっていたのは、異世界へのゲートのようなものだった。冷たい風が吹き抜け、異世界の匂いを感じ取れるような気がした。秋人は驚きと興奮が入り混じった気持ちでその扉を凝視した。
「これって…」
ふと、頭の中に過去に読んだラノベの世界が思い浮かぶ。物語の中では、こういった扉を開くことで異世界に行ける主人公たちがいたが、まさか自分がそんなことを経験するとは思ってもみなかった。
しかし、好奇心が勝った秋人は、意を決してその扉を通り抜けてみることにした。
扉を抜けた瞬間、秋人は全身を突き刺すような感覚に包まれた。眩しい光に目を細めながら、何もかもが変わったような気がした。気がつけば、彼は見知らぬ場所に立っていた。
そこは、青空高校とはまったく異なる異世界の街並みだった。高い塔や魔法の光、異種族の存在など、まさにラノベの世界そのもの。
「こ、これって…異世界?」
驚きながらも、秋人はその場に立ち尽くしていた。周囲を見回しても誰もいない。しかし、その静けさの中に、どこか不安感も漂っていた。
突然、背後から声が聞こえた。
「おい、大丈夫か?」
振り向くと、そこに立っていたのは――
異世界王立学園のエルゼだった。
「うわっ…!」
驚きすぎて思わず後退りする秋人。その目の前には、豪華なローブを身にまとった美しい少女が立っていた。金髪の長い髪を揺らし、どこか王族のような雰囲気を持つその少女は、異世界王立学園から来たというエルゼだった。
「君、もしかして異世界に迷い込んだのか?」
エルゼは冷静に話しかけるが、その口調からはどこか神秘的な雰囲気が漂っていた。秋人は呆然としながらも、その言葉が理解できた自分に驚きつつ、しっかりと答えた。
「えっと…どうやら、そうみたいです。でも、なんで?」
「それは…君がその扉を開けたからだ。異世界間のゲートが繋がったんだよ。」
秋人はその言葉に耳を傾ける。どうやら、青空高校と異世界王立学園を繋ぐ扉が開かれてしまったらしい。エルゼはその扉を守っていた使者のような存在で、扉が開かれることで異世界間の交流が始まると説明してくれる。
エルゼに案内されるまま、秋人は異世界の一角を歩く。空の色、建物のデザイン、魔法の光景――すべてが異世界のものだった。まるで夢のようで、現実感が薄れていく。
「でも、これ、どうすれば元の世界に戻れるんだ?」
「それはまだわからない。君がその扉を開けたことで、他の異世界から来た者たちと青空高校を繋げることになった。でも、今はまだそのルールが完全には理解できていないんだ。」
エルゼの言葉に不安を覚えながらも、秋人は心の中で「でも、戻れなくなっても、ちょっと楽しみだな」と感じる自分がいた。異世界での冒険が、なんだかワクワクしてきた。
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