7 出会い
「入ってすぐに食卓じゃ。好きな所に座っておれ。
ダビデの奥様は先に入り、奥の
玄関を入ると
ダビデの奥様は奥の
「具沢山の
食卓の上は、沢山の塩むすびと、猪の味噌汁。数種の佃煮とお通しが並べられた。
「
ダビデの奥様は向かいに座り、味噌汁を
まず具沢山の猪の味噌汁を味わう。人参や大根が短冊状に切られ、
二口目に汁と一緒に猪肉を噛み締めた。
「
それ以上の言葉が見つからなかった。ダビデの奥様に目を移すと、勝ち
次は問題の塩むすび。いや、佃煮だ。左手で塩むすびを手につかむ。ほくほくで、まだ熱いくらいだ。右手の
「いただきます」
具と一緒に、がぶりと八割を口の中へ放り込んだ。岩塩をアクセントとした白米の甘みが口一杯に広がる。そして時間差でそれはやって来た。濃厚でクセになるような甘辛いワラビの味覚と食感が舌と歯に転がった。驚く間も無くその味覚は白米の甘みと融合し、
「三つ同時に味わうというのは?」
恐る恐るダビデの奥様に尋ねると、ニヤリとほくそ
「よかろう。味わってみるがよい」
塩むすびは無くなり、猪の味噌汁はダビデ夫妻の夕飯の分を残して沢山戴いてしまった。
「本当に御馳走になりました。料金を支払うので、また食べに来てもいいですか?」
「
ダビデの奥様は笑顔を浮かべて言った。
帰り
「何か忘れておらぬか?」
私が首を
「釣竿じゃ」
ダビデの奥様に
いずれもシンプルで、色や形に派手さは無いが、合理性と美しさをせめぎ合わせた結果、余分なものを極限まで
「釣竿を見るまでもないな」
私がポツリと呟くと、ダビデの奥様は
「いや、見てもらわねば困る。とりあえず、今売り物に出来るものは、この三つじゃ」
作業台の上に散らばっていた材料や工具を
「一つ目はシンプルな
いずれもしっかりと焼き入れされた竹に、
「三つ目の意欲作がナウくてバズりそうだ。外で伸ばしてみてもいいですか?」
ダビデの奥様は腕を組んで大きく
力を入れ過ぎないように注意して、軽く竿を
「これに決めた。釣り
「ふむ。気に入ってもらえて
ダビデの奥様はそう言って、お手製のウキと
昨日から今朝にかけての出来事は
運命の振り子は、振れた分だけ戻りも大きいという事か。私は軽い足取りで歩道橋を登った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます