第3話 作戦会議

早朝。


太陽が顔を出そうとしているような時間帯だろうか。飛び起きるように俺は目覚めた。



こんな緊迫とした状況であるのにも関わらず、しっかりと寝れてしまっている自分の危機感のなさに腹が立つ。



確か…昨日はずっとドラゴンのロックと喋ってて…それで気づいたらもう夜で…

その後必死になって何か行動を起こそうとしたんだった。



そこをロックに『もう今日はイベントもないから、早く寝て明日に備えよう』と提案され、疲れもあったし、自分に言い訳をするようにして眠りについたんだったな。



ロックは寝てる…のかな。目は閉じてるし。

メンテナンスみたいなことでもしているんだろう。



部屋にあったタブレットをタップして画面を表示すると、今の俺の金額とタイムリミットまでの残り日数が表示される。



人生評価価格:300円

ノコリ 1日 17時間 54分 13秒



今が午前の5時05分だから…

タイムリミットは明日まで、ってことか。


そして今の俺の価格、300円。

それだけの、軽さ。



「…クソッ」



着替えを済まし、冷えた麦茶を2杯分汲み、テーブルに置いてそのまま座る。

物音に気が付いたのか、ロックも起きてきた。



『おはようだぜ…』


「おはよう、ロック。ここに座ってくれないか?」


『いいぜ。…それじゃ、早速作戦練るかあ』


『まず、今日参加できるイベントは7:00、11:00、17:00の3つだ。イベントっていうのはランダムにゲームが設定されてて、勝者がスキルを獲得できる、っていうやつな』


『このスキルを獲得する、っていうのが値段を上げる一番手っ取り早い方法だ。勝利するっていう経験と、スキルを得る、この2つが評価されて価格に影響されやすい』


「スキルっていうと、俺らも昨日獲得したよな」


『あんなのは例外中の例外だ。シークレットすぎて今俺らが手に入れてることすら誰にも気づかれてねえ』


『プレイヤーに気づかれてないのはいいことだが、俺たちを評価する側にも気づかれてない、これが良くない』


「つまり、一回目立つようなことをすれば…」


『そうだな、俺たちがシークレットスキルを持ってることに気づくやつが現れる。一気に評価される可能性が高いってわけだ』


「了解。ちなみにイベントのゲームの内容って分かったりするか?」


『当日の分なら分かるぜ』


『えーと…7:00が塔に登って上に置いてある旗を取ったやつが勝利って内容で、11:00が最後まで水に浮かぶ島に立っていたやつが勝利、17:00のが迫り来る岩をギリギリまで耐えたやつが勝利、って内容だ』



なるほど。その中から俺の能力とロックの能力を加味して…確実に勝てるゲームを、イベントを考える。



勝てる可能性がある、じゃだめだ。確実に勝てるじゃないといけない。


そんなこと…できるのか?

俺にそれが…できるのか?



違う。やるしかないんだ。



「…ロック」


『…どうした?シュート』


「俺たちは目立てばいいって言ってたけど…多分それだけじゃだめだ」


『…え?』


「他のプレイヤーにこのスキルを隠したまま俺たちは勝たなくてはならない」


「このゲームには、1000人もの人間がいる。しかし、イベントは数回しか行われず、スキルを持っている人も極小数だ」


『…それの何が悪いんだ?』


「ヘイトを稼ぐことになる。もっと言えば、スキル所持者をみんなが集中して狙うことになる、スキル所持者狩りが始まる」


「だから、このスキルを持っていることを他の人にバレちゃダメなんだ…!」


『…それは分かったんだけどよ、俺たちは崖っぷちだぜ?他のプレイヤーには俺たちのスキルをバラさず、評価する側には俺たちの存在とスキルをアピールする。そんなことができるのか?』


「できる。一つ。策を思いついた」


「説明する。だから、今から俺がいうことに従ってくれないか」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『…なるほどねえ…』


『期待させてもらうぜ、シュート』



ここを外したら命取り。

命懸けの作戦…開始だ。



【龍ヶ谷周斗】(りゅうがたにしゅうと)

人生評価価格:300円(998位)

タイムリミットまで あと1日


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