ニート、《盾》を当てる

《デイリーガチャ・無料!》


朝の恒例。もう心は一切動かない。


「はいはい、今日もやってやりますよっと……」


俺は眠気と布団のぬくもりに包まれながら、いつも通り画面をタップした。


ピロリロリーン♪


《盾》


「お、装備系か……?」


ちょっと期待しながら布団に座り直すと、

ポスッと音を立てて何かが落ちてきた。


「……ちっさ!」


手のひらに収まる、小型の四角い物体だった。

表面はマットなグレーで、わずかに光るラインが走っている。まるでSF映画に出てきそうなデザイン。


「これが……盾?」


どう見ても板でも丸でもない。武器サイズですらない。

表面にはポチっとしたスイッチのようなものがひとつ。


「……試してみるか?」


ポチ。


ピッ――!


突然、物体がふわりと浮き上がった。


「えっ、浮くの!?」


目の前に漂いながら、前方に半透明のバリアを展開する。

青白く輝くシールドが、空間に波紋のような光を広げる。


「なにこれすっげぇ……!」


しかもこの盾、俺が動くと一緒についてくる。

前面を常に守るように、俺の視界にぴったり張り付いて。


「完全にSFじゃんこれ……やば……」


無駄に動いてみたり、しゃがんでみたりしても、ちゃんと追尾してくる。

まるで自分専用の“前方防御フィールド”って感じ。


「こういうのだよ!こういうの!!」


テンションが上がる。久々に。


そしてもう一度、スイッチを押す。


ピッ。

バリアがスッと消え、盾もスーッと俺の手元に戻ってきた。


「……いや、これ探索で使えるぞ……マジで」


《スーツケース》の中にしまった《鍵》、

そして今回出た《盾》。

ようやく少し、あの遺跡の探索に“装備”が整ってきた気がする。


「よし……これで、遺跡探索用のアイテムが一つ……だな」


そう呟きながら、俺は盾をそっとスーツケースに仕舞った。


次は……《武器》か、頼むからまともなやつ来てくれよ、ほんと。


……《銃》は、使わないし、そんなの知らないよ…?

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