中二病を演じる最強騎士は、氷令嬢と偽りの恋人になる
すなぎも
第1話 狂人の運命≪ルナティックス・フェイト≫
漆黒の刃が空を切り裂く。
「穿て。
呟きなら相手の剣を弾き飛ばすと、宙を舞った後、地面に突き刺さる。
模擬訓練場の空気が一瞬で凍りついた。
「勝負あり。勝者、シュヴァルツ・クリーガー!」
教官が高らかに俺の勝利を宣言する。
「つ、強い……。こいつ、なんでこんなに強いんだ」
「
強さを妬むような視線を向ける彼に俺は背を向ける。
「あいつ今なんていった?しゃとう・ぶりあん?」
「そんな美味そうな名前だったか?」
「ただ剣を弾いただけだろ。それに名前を付けるなんて、相変わらず変な奴だ」
模擬戦を見ていた生徒達が野次を飛ばしてくる。
圧勝したのに酷い言われようだが、俺は気にしない。
この俺、シュヴァルツ・クリーガーはそんな器の小さい男ではないのだ。
剣を背中に戻し、ひとつため息をつく。
「暗黒剣。アビス・ジ・エンドが出る幕もなかったな」
「ただの貸出木刀だろ。なに言ってんだ」
「しかも普通に使ってただろ」
ふっ。なかなかいい突っ込みをする奴もいたもんだ。
しかし舐められるわけにはいかない。
ギロリと睨みつけると、そいつは「やべっ」と視線を逸らす。
そう、それでいい。目が合ったら俺としても気まずいからな。
すぐに目線を外してもらった方が助かる。
「っぶねー。あいつと目を合わせると呪われるって噂あるからな」
「次の日には同じようにイカレた言動が止まらなくなるらしいぜ」
……なにそれ、そんな噂あったの?初めて聞いたんだけど。
っていうかそんなことあるわけないだろ。
なんだよ俺と同じようにイカレた言動が止まらなくなるって、怖すぎるだろ。
自分で自分が怖くなるわ。禁術以上に喰らいたくねえよ。
だが、そんな噂も悪くないか。
「
纏わりつくような視線には様々な感情が混ざり、ざわめきが聞こえてくる。
「きもい」
「ださい」
「いかれている」
「匂いがキツイ」
いや匂いがキツイは違くない?
風呂には欠かさず入ってるし、なんなら圧勝してるから他の奴より汗掻いてない。
むしろいい香り漂ってるだろ。雰囲気で悪口言うな。
このいい香りを嗅がせてやろか!丁寧に身体洗ってんだよ!
と叫びたくなる衝動を抑え、模擬戦訓練場の隅に生えている木に寄りかかる。
「あそこ好きだよな」
「ひとりが好きなんだろ」
「騎士になりたくて来てるのに孤立するなんて。やっぱ変な奴だよな」
俺がみんなの近くにいるとあまりの強さに恐縮しちゃうからな。
邪魔にならないようここで静かにしておいてやろう。
ふぅ、落ち着く。
「変な人よね。強いのになんであんな言動してるんだろ」
「わからないけど。騎士養成学園に来た時からそうだったらしいし」
元来、強者とは噂されるものだが退場した後にもそれを続けるのは勘弁して欲しい。
他の訓練生の邪魔になる。
ということでギロリと睨みつける。
すると、こそこそ話していた2人の女子生徒は友達を応援し始めた。
ついでにその隣に立ってこちらを見ていた女子にもギロリ!
と、軽い気持ちでギロリ!したが、その女子はばっちりこちらを睨み返して来た。
その淡い水色の瞳はこちらを見続け、逸らす素振りを全く見せない。
「おいおい。俺の
木に身体を預けて顔を伏せる。喧騒を聞きながら状況を把握していと。
視線を感じる。見るまでもない。
先ほどノリで睨みつけたら目が合った奴がずっと俺を睨み続けている。
一体全体なんだっていうんだ。
ちょっと睨んだだけでそんな怒らなくていいじゃん!
冗談だって!
「ちらり」
こっそり見るが、淡い水色の瞳がやはりこちらをジッと見ている。
あいつ、誰だっけ……。関わったことがないのは間違いないけど。
っというより騎士養成学園で関わった生徒なんていないか。
入学して1年経ったが、まとも会話をした記憶がない。
真っ直ぐな視線が注がれ続けている。
が、俺は目が合わないように気付かない振りをし続けた。
なに?本当になんなんのあの子。
疲れるからこっち見ないで欲しい。
謝るから許してよ……。
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