第9話 第三層攻略

 俺は気合を入れてダンジョンに潜り始めた。


 俺は第1層のスライムを大鎌で蹴散らしながら駆け下り、第二層は大広間の中のゴブリンを素手で皆殺しにしながら進む。


 まだレベルは上がらない。


 第三層にたどり着いた。


 俺は大鎌を構え、突入する。


 ゾンビが一体いたので、速攻で大鎌を振るう。


 しかし、間合い管理が甘く、刃ではなく柄に当たってしまった。


 それではダメージが足らず、ゾンビはそのまま距離を詰めて噛み付いてこようとする。


 俺は慌ててバックステップで後ろに下がりつつ、大鎌を一気に引いてゾンビを刈ろうとする。


 しかし、あまりダメージが入っていないのかこいつが硬いのか、ゾンビは前にこけるだけだった。


 ただ、この状態なら流石に当てられる。


 俺は大鎌をゾンビに突き立てる。


「ええ!?」


 まだ死なない。俺は急いで大鎌を持ち上げて、2回3回と殴り、ようやくゾンビが魔石に変わった。


 なんだよもう……これじゃ鎌というよりツルハシじゃないか。


 こんなに鋭い刃がついているのに…


 俺は大鎌の刃をするっとなぞる。



=====================

名前:締道 極

種族:人間

レベル:9

称号:なし


HP:970 / 1010

MP:400 / 400

筋力:30

器用;30

敏捷:28

知力:29

耐久:30

精神:47

幸運:38

ユニークスキル:一撃千変Lv.1

パッシブスキル:孤動Lv.9

アクティブスキル:アイテムボックスLv.1


経験値:884 / 1000(次のレベルまで)

残りスキルポイント 0

=====================


 HP削れた。


 いや、減りすぎだろ。


 こんな軽くやって40も削れてるのに、ゾンビを倒すのにはあんなに時間がかかったのか?


 硬すぎだろゾンビ。


 そこで違和感を覚えた。俺は鎌の使い方を間違えてるんじゃないか?


 俺はステータスを覗きながら、大鎌の刃をゆっっっっっっくりなぞる。


 すると、HPが2ずつ減っているのがわかる。


 なるほど、あれか。包丁は下に押し付けるんじゃなくて、前に押したり引いたりしながら使うものだと聞いたが、大鎌も同じなんだ。


 この刃全てをなぞらせて攻撃する。それがこの武器の使い方なんだ。


 そう思っていると、剣を持ったスケルトンが一体現れた。あ、ここアンデッド系が出てくる感じなのか。


 だがなんでも良い。スケルトンで試し切りだ。俺は大鎌をきちんと刃をなぞらせるように振るう。


 ガガガガガガッ!


「…………はぁ?」


 今めちゃくちゃ綺麗に行ったと思ったんですけど!?


 スケルトンは少しよろめいた後、俺を斬りかかる。


 不服ながらも一旦バックステップでかわす。


 俺は気を取り直してもう一度横に薙ぎ払うように刃をなぞらせる。


 ガガガガガガッ!


 スケルトンはまたもやよろめくだけだった。


「やってられるかぁ!」


 俺はもう考えるのをやめて、鎌の刃の反対側でスケルトンを殴りつける。


 すると、スケルトンはバラバラになった後、魔石へと変わった。


「え?」


 ゲーム脳の俺は一つの仮説が思い浮かぶ。


 打撃属性と斬撃属性だ。


 先ほど発覚したように、斬撃属性は多段ヒット形式でダメージを与える。そして、打撃属性は一撃でダメージを与える。


 元々、ゾンビには剣、スケルトンにはメイスやハンマーが効くことは知っていた。だが、それはその武器の属性に弱いわけではないのかもしれない。


 ゾンビは体力が多い代わりに、防御力が低く、多段ヒットされると大きく削れるので斬撃が効きやすい。スケルトンは体力が低い代わりに防御力が高いので、多段ヒットでダメージが分散するとHPがあまり減らない代わりに、一度の大ダメージに弱い。


 そう言うことか?


 俺はその事実を検証すべく、ダンジョンを歩き回って敵を探す。


 ゾンビがいた。


 俺はゾンビをすぐに大鎌の刃をなぞらせるように切り裂く。


 すると、ゾンビは一撃で死んだ。


「へ、へへへ」


 ワクワクしてきた。


 スケルトンを探し回り、ゾンビを一撃で刈り取りながら探索する。


 2体のスケルトンが見つかったので、俺はその1匹を大鎌の反対側で思いっきり殴りつける。


 すると、スケルトンは一撃で魔石にかわる。もう一体もすぐに魔石に変えてやった。


「はーっはっはっはっは!おもしれぇ!いや、この武器、面白スギィ!アンデッドどもは皆殺しじゃあああ!」


 俺は身長差を投げ捨て、ダンジョンを走り回る。


 便利!便利だぞこの武器!斬撃を出す時にめちゃくちゃコツが必要だが、それに目を瞑ればすごく便利!


 しばらくダンジョンを走り回って遊んでいると、ボス部屋を発見した。


 が、俺は一旦無視してこの階層の敵を全て倒す。


 ステータスを確認すると、こうなっていた。



=====================

名前:締道 極

種族:人間

レベル:9→10

称号:なし


HP:985 / 1102

MP:450 / 450

筋力:30→33

器用;30→34

敏捷:28→32

知力:29→32

耐久:30→33

精神:47→50

幸運:38→40

ユニークスキル:一撃千変Lv.2

パッシブスキル:孤動Lv.9

アクティブスキル:アイテムボックスLv.1


経験値:221 / 1100(次のレベルまで)

残りスキルポイント 1

=====================


 ついに一撃千変のスキルレベルが2に上がった。


 それと、このスキルポイントをどうするかだが……


 実は一般スキルはレベル10になるとスキルが参加する。まあ、似たようなスキルなんだが。


 孤動を上げれば何か手に入る。一旦アイテムボックスは後回しにして、こっちにスキルポイントをふるか。


======================

孤道Lv.1

 単独で戦闘している間、前ステータスが+20される

 終始単独で戦闘に勝利した場合、経験値を追加で10ポイント取得する

======================


 …………はっ、死ぬかと思った。


 スキル説明に経験値なんてあるからびっくりしたじゃないか。


 ダンジョン攻略において世界最強の冒険者のユニークスキルは経験値取得量倍増なのだ。


 それほどまでに、レベルの力は大きい。


 だからビビったのだが、この孤道は固定値で経験値が増えるタイプらしい。孤動の実績考えると、おそらくレベルマックスでも+20といったところだろう。


 うーん……序盤に特化した効果ばっかりだな。このスキル。


 それに、スキルレベルを上げたらまた追加ステータスも伸びるのか?いや、逆に経験値は伸びない?わからん。わからないことが多い。俺だけのスキルってワクワクするけど、こういう不便はあるな。楽しいからいいけど。


 まあ、経験値がもらえるスキルが手に入ったのだ。しかも、固定値で追加されるタイプなので、敵が弱くてもらえる経験値が少ないほど恩恵がある。Lv.11にして、孤道のレベルを上げてみてからボスに行くかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る