第46話、浮気したらフルボッコ!!
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### 地獄の同窓会
友人の葬式だというのに、会場は異様な熱気に満ちていた。
悲しんでいる者は誰もいない。皆、これから始まるショーを待ちわびる観客のように、目を爛々と輝かせている。特に、喪主であるはずの妻の口元には、歪んだ笑みさえ浮かんでいた。
滞りなく形式だけの儀式が終わり、司会者がマイクを取る。
「皆様、本日はお集まりいただき、誠に…**おめでとうございます**。さて、これより、生前の罪を清算するため、故人・田中隆への**『公開処刑』を開始いたします!**」
その宣言と同時に、黒服たちが無言で凶器を配り始めた。
バール、釘バット、鶴嘴…。俺の手に握らされたのは、血のりがこびりついているかのような、錆びついた鉄パイプだった。
「では、主役にご登場いただきましょうか。**準備はよろしいですか、共犯者の皆様?**」
司会者が指さす先、祭壇の中央に置かれた棺が、まるでギロチンのように鎮座している。
合図と共に、最初に動いたのはやはり妻だった。
「あなた…**どこの女と使った指かしらァッ!?**」
金切り声と共に振り下ろされた鶴嘴が、棺の蓋を突き破り、中の何かに突き刺さる鈍い音が響いた。それを皮切りに、妻の友人らしき女たちが一斉に棺へ殺到する。
「よくも私の友達を裏切ってくれたわね!」
「この甲斐性なしがァ!」
「地獄へ堕ちろォォォ!!」
始まったのは、憎悪と嘲笑に満ちた凄惨なリンチだった。
棺はあっという間に破壊され、中に横たわる、まだ綺麗なままの「隆」が姿を現す。だが、それはほんの一瞬の安らぎに過ぎなかった。
「おらァ隆!俺の知ってるだけで5人はいたよなぁ!?」
「お前のせいでどれだけ面倒なことになったと思ってんだ!」
俺も鉄パイプを握りしめ、その輪に加わった。こいつのせいで被った迷惑を思えば、当然の報いだ。フルスイングした一撃が、奴の自慢だった脚の骨を砕く。ああ、小気味いい。
「この足でホテルに行ったのね!」
「この口で嘘をついたのね!」
「この目で他の女を見てたんでしょう!?」
女たちの攻撃は、より執拗で、より陰湿だった。部位ごとに罪状を読み上げながら、肉を抉り、骨を砕いていく。それはもはや葬儀ではなく、復讐という名のショーだった。
やがて、祭壇の上には、元の形を留めない肉塊と骨片が散らばるだけとなった。
返り血で真っ赤に染まった妻が、恍惚とした表情でそれを眺め、息を弾ませながら言った。
「…あら、楽しい時間って、あっという間ね」
葬儀屋のスタッフが、にこやかに拍手を送る。
「皆様、お見事でございます!ここまで徹底的に**『解体』**なされば、後の処理も非常に楽になります。**特別慰謝料として、割引させていただきますね**」
「やった!」と妻が笑い、他の女たちも「スッキリしたー!」「この後、飲みに行かない?」と盛り上がっている。
ふと、妻が俺たちに向かって、悪魔のように微笑んだ。
「ねえ、皆様。これ、**毎年命日にやりませんこと?** アイツの骨、少しずつ砕いていきましょうよ。永遠に」
参列者から、割れんばかりの歓声と拍手が沸き起こった。
俺は鉄パイプを肩に担ぎ、祭壇の肉塊に唾を吐きかけた。
**ざまあみろ、隆。お前、死んでも死にきれねえな(笑)**
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