君と出会って空を飛ぶ
フルーツロールx
Prologue
Prologue
青い春とは、何ですか?
輝かしい未来に夢を抱き、その胸に眩しいくらいの希望を抱き、時に恋をして、そうやって、人生の春を迎える若い時代のことを、言うらしい。
――〝知っているよ。 そんなこと〟――
裏腹に私の心は、それを知らない。 知っているのは、その言葉の意味だけだ。
未来に夢も、希望も見れはしない。 恋への憧れさえも知らない。
私の世界に何がある?
友達と呼ばれる輪の中で、張り付けたような笑顔でニコニコと笑って、波風立てぬように当たり障りなく、私はそこで静かに、呼吸をしているだけだ。
馬鹿みたいに張り付けた愛想笑いを浮かべた自分が、教室の窓ガラスに映って見えた。
――アナタは誰? 可哀想な子。 良い子でいる窮屈な魔法をかけられた、作り物の人形なの?
……そんなに自分を哀れに思うなら、〝ごめん。 笑うのに疲れた〟って言って、ニコリとも笑わずに、今すぐ1人になれば良いじゃない?――
……ああ、ごめんね。 けどやっぱり怖い。 そうやって輪を乱して、たちまち孤立して、可笑しなものを見るような目で見られるのは……
――ごめんね。 ごめんね。 心の隅っこに追いやられて、押し潰されて、そこで泣いている、本当の私……
苦しくて苦しく、息が詰まるのに、〝笑うのに疲れた〟って、その言葉が言えないまま――
疲弊した心は干上がって、積み重なる鬱憤が、どんどんと私を孤独なモノクロの世界へと突き落とす。 這い出す方法さえも、もう分からない――
輝かしい青い春は幻想。 私の心に不釣り合いな、美し過ぎる言葉だ――……
〝誰か私の世界を壊して〟――
〝世界に色を付けて〟――
〝キミに出会うまで、私は見せ掛けだけの、偽物だった〟。 ――ねぇ、
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