第15話


「…先輩、あいかわらずクズですね」

「え?」

「先輩の愚行、知ってますよ(笑)」

「あぁ…その、大学生のときは酷かったよな…」

「結局今もですけどね?」

「いや…それは、まぁ…」

「奥さんにバラしちゃいます?」

「それは!絶対にダメだ、頼む」

「ふはは」

「その、美緒の復讐…?」

「はい」

「協力するよ」

「情報もくれますか?」


「…出来ることなら、」

「良い子」


 学を撫でる美緒。


「私とヤりたいとき、いつでも来てください」

「えっ…」


「先輩のセフレになってあげます」

「でもその、旦那さんにバレたら…」

「それなら心配ありません」

「出て、行ったのか…?」

「いいえ。内緒です」

「大丈夫、なのか…?」

「はい。今度教えてあげます」

「わ、わかった…」



 俺は昔からクズだ。自分でもわかっている。それでもやめられない。俺は自分の理性が保てない。病気なのかもしれない。ダメだとわかっていても、それを止めることは出来ない。


 大学生の時もたくさんの女を傷つけた。でも、悪いと思ったことはない。俺に騙される奴らが悪い。俺はある一種の感情が欠如してるんだと思う。



 でも、橘美緒はまるで別だった。彼女はどんな手を使っても振り向かせることは不可能だった。それどころか、軽蔑されていた。不思議なことに、彼女に対してだけ理性を保つことが出来た。彼女に出会ってから、忘れることはなかった。



 その時から俺は心に決めていたんだろう。彼女を手に入れるためなら何でもすると。




 奇跡的な再会は最悪な形ではあったが、彼女を手に入れたい気持ちはまるで変わってなかった。むしろ、さらに綺麗になって魅力的な女性になっていた。だからこんな最悪な状況でも、彼女をどうにかして手に入れたいという気持ちはどんどん増すばかりだった。




 彼女から誘われるなんて、夢にも思ってなかった。退屈な毎日が、彼女のために生きることへとシフトした。




 俺は、橘美緒のためなら何だってする。

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