【書籍化決定】五つ星ギャル、僕に沼る。

羽場 楽人

プロローグ 交わらない星

世の中にはランク付けがあふれている。


かつては目利きの専門家たちが知識と経験に則り、数字や品質、勝敗に基づくことで、公的な評価として信じられてきた。


だが情報が多すぎる現代ではプロも素人もお構いなしだ。

身元の怪しい他人の不確かな評価が氾濫し、自分の判断基準も曖昧なままにそのランキングを鵜呑みにする。


仕方がない。

人間はランキングが大好きな生き物なのだ。


たとえば学校の教室。

クラスメイトの中ですら誰が決めたかも定かではないあやふやなランク付け──いわゆるスクールカーストが発生してしまう。

その中でも頂点に位置づけられるのが俗にいう一軍女子だ。


銀河峰ぎんがみね高等学校の二年Ⅾ組には、五つ星ギャルと称される四人の女子がいた。


水天宮すいてんぐう玻璃はり──クール系女王様ギャル。

火渡ひわたりひなわ──元気系王道ギャル。

千木良ちぎら美悠みゆ──小動物系癒しギャル。

金剛寺こんごうじ白金プラチナ──無気力系不思議ギャル。


誰もが教室を一望すれば、自然と目を奪われてしまうグループがある。

さながら夜空に煌めく星のように目立つのが彼女たちだ。


四人の美少女はその魅力的な容姿や目立つ個性、全員が星を連想させる名字、そして最上級を示す五つ星ファイヴスターに由来した尊称──ファイヴスと呼ばれる学校の人気者たちだった。


その一方で、ランキングにまったく興味のない人間もいる。


基月きづき いこい

五つ星ギャルたちのクラスメイトである彼はカースト無関心男子だ。


順位や格づけ、評判、外見の印象など気にしない。他人の価値基準に囚われず、周りの評価などどうでもよく、マイペースな学校生活を送っていた。


そんな彼だから女の子を前にしても緊張したりせず、自分を身の丈以上によく見せようと見栄を張ることもしない。

リア充の化身のごときキラキラ光る美少女相手にも余裕をもって受け答えする。

女子から好かれようと微塵も思っていないがゆえの自然体な堂々たる態度。


男子に対しても同様だ。

立場が上だと主張したがる者にもおもねらず、力を誇示しがちな運動部の者にも怯まず、学力をこだわる秀才とも対等に接し、こだわりの強いオタクにも態度も変えない。


友達との関係性の中で自身の属性や立ち位置を規定せず、かといって孤独で話せる相手がひとりもいないわけでもない。

その圧倒的なフラットさゆえに彼は特定のグループに属さず、しかし様々なグループと自由に交流できる浮動の存在。


そんな彼は、必然的にスクールカーストの外側に位置づけられていた。


ランキングの最上位と対象外。


本来ならば決して並び立つことがない星々が、恋をきっかけに結びつく。



これは五つ星にランク付けされる一軍ギャルたちが、カースト無関心男子に沼っていく番狂わせな恋の物語である。


だってそうだろう。


──本気で好きならランキングなんて関係なくなるのだから。



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