ちんかす物語
干しそばくんと言われた男
第1話 ジャッポ国名物「電子チン」
この物語は全てフィクションです。
作品内に登場する国名・人物・団体名・地名・事件及び時代背景などは全て架空のものであり実際のものとは一切関係がありません。
またこの作品の登場人物は全て18歳以上です。
ある星にジャッポ国と呼ばれる国があった。
その国では「電子チン」とよばれている遊戯が盛んであった。
「電子チン」とは電子機器の操作によって表示される数字やアイコンを揃えるゲームである。この国の盛り場にはこの「電子チン」遊技場が必ずある。
客は、この遊戯を行うためには、まず現金で遊戯用のコインを購入する。
このコインを投入することで電子チンを遊ぶことができ、当たりを引くと何十倍、何百倍のコインが排出される。そしてこのコインは景品に交換できる。
あくまでも景品に交換できるだけなので、この国で禁止されている「賭博」には該当しないという建付けになっている。
しかし、なぜかの「電子チン屋」のすぐ近くには、この電子チン屋で獲得した景品のみを買い取りするショップがある。この買取ショップは隣接する電子チン屋とは経営資本的には全く関係ない、そうだ。
で、この買取ショップは景品をそこそこいい値段で買い取ってくれる。
そして電子チン屋で景品を獲得した客はほとんどはこの買取ショップで実質的に換金できる。だから実態として「賭博」行為となのだ。
この「電子チン」は当たる確率も低いが当たった時のレートも高い。
すなわち非常に射幸心を煽る危険な賭博であるというのがこの世界の常識らしくジャッポ国以外にこのゲームが許されている国はない。
なぜこの「電子チン」のような射幸心を煽る遊戯がこの国では許されているのであろうか?
それはこの遊戯業界とこの国の治安維持機構の癒着にあった。
ジャッポリと呼ばれるこの国の治安維持機構のOBは定年後に大手の電子チンチェーン店や電子チン機器メーカー、外郭団体などで重職につくことが多いのである。
そのためにこの電子チンは実質的には賭博行為にしか見えないが治安維持機構ジャッポリ公認の治外法権となっているのだ。
そんな「電子チン」機器メーカーの一つ「アミューズメントワールドシステム社(AWS社)」は新進企業である。
次々と新しい台を発売して老舗機器メーカーを追い抜き、業界トップに昇り詰めた。
もちろん社内外役員や顧問、関係会社役員などにはジャッポリOBだらけである。
そんなAWS社が成長した最大の要因は「実際の芸能人や映像作品のキャラクターとのコラボ」台であった。
実際のところ、「電子チン」の社会的なイメージはそんなに良くない。
良くないどころか「電子チン」に入れ込んでいる人が「チンカス」と呼ばれる始末である。
したがってイメージが重要な芸能人は「電子チン」のキャラクターに利用されることを嫌がる。
ギャラは非常に良いが、それで今後の芸能生活を捨てることになりかねない。
また映像作品のほうも若者相手、オタク相手のコンテンツ、特に人気のあるアイドルものなどのコンテンツは「電子チン」とのコラボを強烈に拒む場合が多いのだ。
そんな状況であったのだが、AWS社があえて目をつけたのが「アニメアイドルライフ(AIL、アイル)」という人気コンテンツであった。
「アイル」は現在この国でもっとも人気のあるアニメ、アイドルコンテンツであった。
アイドルアニメとリアルアイドルとの融合と言われるこのコンテンツはアニメキャラクターのパフォーマンス映像に合わせてリアルアイドルがライブで歌い踊るといったものである。
アニメの声優もアイドルが務め、アニメオタクとアイドルオタクの双方を惹きつけライブチケットの争奪戦は熾烈を極めていた。
そしてこのアイルの登場はキャラクターは12歳から17歳の未成年の女子と設定されていたので、未成年禁止の「電子チン」とのコラボなどは言語道断なのである。
であるからこそ、他の老舗メーカーなら絶対に手を出さないであろう「アイル」にコラボを持ちかけたAWS社。
このAWS社の社長自らの営業訪問を「アイル」の運営会社は門前払いした。
後に「アイル」の運営会社はこの時の自分たちの態度に傲慢さがあったと反省していると言われている。
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