北嶋勇の心霊事件簿18~懐かしき日~

しをおう

北嶋本家、再訪問

 梅雨も明け、洗濯物を干す場所にも困らなくなった頃、家の電話が鳴った。

 依頼かと思ったが、それならば事務所の電話に掛かってくる筈。

 梓?生乃?それならば私の携帯に掛かってくる筈。珍しい事もあるものだと受話器を取る。

「はい北…」

『尚美さんかい!いやあ久しいなあ!元気じゃったかあ!?』

  受話器から耳を離さなければならない程の大きな声に、私の言葉は遮られた。

「お婆ちゃん?お久しぶりですね!私の携…」

『いやあ‼ワシャの携帯水没させちまってなあ!!もうろくジジィは尚美さんの番号登録して無くてなあ!全く使えんジジィじゃ!!』

 あー……だから家の電話に掛けてきたのか……それにしても声でっかい!!ご高齢ながら元気満々のようだ。一安心と言ったところだ。

「北嶋さんに用事ですか?今ちょっと出てますから、後で電話させましょうか?」

『いんや。尚美さんに用事があるんじゃ』

 私に?何だろう?何か困った事が起こったのだろうか?

 少し緊張して、唾を飲み込みながら、話すのを待った。

『ワシャももう歳じゃ。明日にでもくたばるかも知れん高齢者じゃ。国に優遇されるべき高齢者じゃ。それなのに、高齢者の医療負担が高いとか、この国は一体何を考えておるのかのう。僅かしか貰えない年金で、爪に火を灯す思いで生活しておると言うのに……』

 思いっ切り雑談だった。私の緊張を返して欲しいと思う程の愚痴だった。

 いや、お婆ちゃんも寂しいのだろう。ならば孫の将来の妻として、ここは優しく相槌を打とう。

「本当にねぇ……全く、政治家は一体何をや」

『だから欲しかったランボルギーニ シアンが買えんかったんで、カウンタックにしたんじゃわ』

 どこが爪に火を灯すですかあ!!カウンタック高価じゃないですかあ!!

 うん?ちょっと待って?

「カウンタックって、アニバーサリーですか……?」

『いんや、LP400じゃ。フルレストアで良い条件じゃったからなぁ』

 LP400!!しかもフルレストア!!

 うわマジ乗りたい!

 やっぱりランボルギーニはLP400だ。いや、ミウラも可。異論は認める。

 だけどカウンタックと言ったらLP400でしょう!あの直接的なフォルムや、張り出していないフェンダーが素晴らしい!!

「わー!いいないいな!乗りたいぃぃぃ!!」

 つい素ではしゃいでしまった。

『いいよ。家来る?』

「行く行く!!」

 思いっ切りフレンドリーな返しだった。孫の婚約者としての立場がどこにも見当たらない。

『じゃ、到着は明日じゃな。待っとるよ尚美さん』

「はい!お土産持って行きますね!」

 最後はギリギリ互いに示しがついた感じで電話を終えた。

 しかしLP400か……かなぁり羨ましいけど、どれだけ儲けているのだろうか?

 日本の農業はそんなに儲からないと聞いた事がある。これもひとえに黒猫様…バステトの加護なのだろうか?

 っと、その前に、北嶋さんに実家に行くと言わなきゃ。久し振りの実家だから、北嶋さんも喜ぶだろう。

 ウキウキしながら北嶋さんの帰りを待った。

 因みに彼は裏山清掃中。

 広過ぎだ!お手伝いを雇え!!と零された事があるが、この家はそのお手伝いの色情霊に呪われていたので、何か縁起が悪いと思い、ひたすら却下をしている。

「うぃ~っ…キツいぃ~……」

 ボロボロのクタクタになって帰って来た北嶋さん。時刻は既に夕方だった。

「ご苦労様。今日は遅かったわね?」

「つ、疲れた…」

 言いながらソファーに倒れ込んだ。

「とことん手入れしようと思ったら、一人じゃとても無理だ……」

 海神様がこんな事を仰ったらしい。

――治癒を司る神の聖域が我の聖域の隣に完成したな?

「ああ、だからどうした?」

――我は最初にこの裏山に来た。他ならぬ貴様が連れて来たのだから、よもや忘れてはおるまいが、新築の社に比べると、やはり我の社が古く見える。隣にあるのだから比較もし易いのだ

「そりゃお前が最初の柱だからなぁ…そう見えるのは間違い無いな」

――我の加護を得ているとは言え、やはり池に付着した汚れは取れるものでは無い。コンクリート?それの損傷も著しい

「まだ許容範囲だとは思うが、確かにそうだな」

――どうだろう?そろそろリフォーム時期だと思うのだが

「え?マジで言ってんの?この間めっさ金使ったばっかなんだけど……」

――勇よ、金の問題では無いのだ。貴様の大好きな海産物が生息するか否か、そう言う問題なのだ

 そう言いながら、ほくそ笑んだと言う。

「暗に加護を取り消すぞと脅されたんじゃ、やるしか無いだろ……」

 確かに、ひょうたん型に囲ったプールみたいな池はコンクリートブロック製で、排水完備がしっかりしているとは言え、海藻と言うか藻と言うか、水の雑草?が増えて来てはいた。

 コンクリートブロックも多少は劣化しているだろうが、改築するまで痛んではいないように思えるが、隣の新築が羨ましくなったのかな?

 だけどいずれやらなきゃならないのならば、早い方がいい。

「解った。じゃあ頑張って。私は明日居ないけど」

「は?なんで?」

「北嶋さんの実家に招待されたから行かなきゃならないの。だから手伝えないけど、頑張ってね」

 北嶋さんはソファーから飛び起きて、聞いてないよ!とか、ジジィやババァと俺とどっちが大事だ!とか、うるさく喚き出した。

「私も手伝いたいけど、どうしても外せないの。ごめん」

 外せない用事がカウンタックに乗りたいからなどとは口が裂けても言えない。

 だが、これもタイミングだ。

 このタイミングで呼ばれたと言う事は、私は手伝わなくて良い、と言われたと同意だ。

 日頃御神体と御社のお掃除を欠かしていない私と、しょっちゅうサボる北嶋さんの差に違いないと、都合良く考える事にした。

「お前ふざけんなよ!せめて後片付けくらいは手伝えよ!!」

「あ、電話」

 うるさい北嶋さんを無視して携帯に出る。

「おい!おいっっ!!」

「はい神崎」

『……何か後ろがうるさいですが、何かありましたか?』

  電話向こうから久し振りの声が聞こえた。

 カイン。

 以前北嶋さんに救われた、最初の人類の最初の子供。

 全ての呪縛から解き放たれた彼は、今はイギリスで心霊現象解決の会社を立ち上げている。

 同じく呪縛から解き放たれたクラウス・トイフェルトとエレニ・パクシヌーを部下として。

「お久しぶり。と言っても月に何度かはやり取りしているけどね。またあのお願いかしら?」

 電話向こうで押し黙るカイン。彼の会社は立ち上げたばかりで信用があまり無い。実績が無いからだが、実績を積まないと信頼は得られない。

 そこで北嶋さんがヨーロッパ圏の仕事の下請け業者として使っているのだが、その手数料、仲介料その他諸々の経費を引いて、約40パーセントを貰っているのだ。

 40パーセントはキツいからと、カインは毎月の報告時に、手数料引き下げを求めてくる。

 北嶋さんはどうでもいいと言っているのだが、仮にも世界最高峰、依頼達成率100パーセントの『北嶋心霊探偵事務所』の代行で仕事を預けているのだ。

 何かあった時に本家本元、親会社、元請けの私達に責任が被さって来る。そうならないように、ある種の緊張感を以て仕事をして貰わなければならない。

 要するに40パーセント天引きは、ギリギリの会社の緊張感を高める為でもあるのだ。

 実績を積んで、自分達の名前で仕事が取れるようになったら、勿論引き下げるつもりだ。

 そしてそろそろ頃合いにはなって来ている。

『毎月毎月すみませんね神崎さん。ですが私達もキッツキツなんですよ』

 最早テンプレートとなった台詞を言いながら溜め息をつくカイン。

「そうね…そろそろ…」

 引き下げようと口に出す前に、閃いた。

「……引き下げてもいいわ。でも、条件があるの」

『やっぱりまだですか…解りました。今月も諦めえええええ!?』

  後ろの北嶋さんに負けず劣らずに大きい声で仰天したカイン。余程信じられないと見える。可笑しくなって、つい笑ってしまう程に。

『かっっ!神崎さん!そっっ!その条件とはっ!?』

 かなぁり食い付きが良い。欲して欲して止まなかった手数料引き下げが、目の前にぶら下がっているのだから無理も無いけど。

「別に難しい事じゃないわ。ウチの事務所、ちょっと忙しいの。其方から誰か一人、社員を派遣して貰いたいのよ」

『え?それだけ?いや、有能な霊能者なら日本にも数多く居るのでは…いやいやいやいや!解りました!クラウスを向かわせます!』

「助かるわ。ありがとう」

『いやいやいやいやいやいやいやいや!そんな恐縮です。で、いつ向かわせれば?』

「今から」

『今から!?いや、いやいやいやいやいやいやいやいや!!そうですね、クルークに乗って全力で飛べば、3~4時間後には到着できると思いますよ』

「まぁ頼もしい!それじゃお願いしますね。勿論報酬も支払いますから」

『はは、報酬よりも、例の件をお願いします。では。クラウス!クラウス…』

 慌ただしく電話を切るカイン。これで労働力は確保できた訳だ。そして未だに後ろでギャーギャー喚いている北嶋さんの方を振り向いて、ニコッと笑う。

「北嶋さん、労働力を一人確保したわよ。これで何の問題も無くなったわ」

「だからせめて誰か一人頼んでくれって言ってんだよ!一人じゃキツいんだから!……え?た、頼んじゃったの?」

 ごねて私一人手伝いをしない事を責めたてて有耶無耶にしようと目論んでいた北嶋さんだが、その目論見はあっさりと崩れ去った。

「た、頼んじゃったのか…そ、そうか…えーっと…」

「3、4時間後に到着するから、今日は泊まってゆっくりして貰って、明日から頑張って貰えばいいしね。だから今日は小さな宴会にしましょう」

「宴会まで執り行って戴けるのですか…そ、そうか…」

 ご褒美も前渡しで出された形となり、益々口が開けなくなった北嶋さんの目が泳ぎ回った。

 何とか中止、もしくは延期させようと、突破口を探している模様。

 だが、既に勝負は決した。

 私のカウンタックに乗りたい願望が、北嶋さんの全てを凌駕したのだ。

 最早私の行く先を止める事のできる者は居ない。

 私は鼻歌を歌いながら、宴会のお料理を作る為に台所へ向かった。


 時間は夜8時を回った。宴会料理も冷めてしまった。北嶋さんは晩ご飯のお預けを喰らい、益々イライラしている。

「もう来ねーよ!食っちまおうぜ!そして明日は改築無し!!」

 お箸を料理に伸ばす北嶋さん。その手をピシャリと叩いて制する。

「絶対来るし、改築工事は進めます」

「あのな?よく考えろよ。急な手伝いだよ?うんと言う奴なんか居ないよ?万が一頷く奴がいるのなら、俺はそいつの神経を疑うね」

「うるさいわね!ぶっ飛ばすわよ!」

 振り翳した拳。

 あからさまに怯えて、肩を震わせる北嶋さん。

「お前…そのヒステリックな性格、何とかした方がいいぞ?」

「北嶋さんがグダグダグダグダグダグダグダグダうるさいからでしょうが。決まった事に対して文句言い過ぎよ」

「決まったって、神崎が勝手に…いや、何でも無いです…」

 最早決まった事を覆す事は容易では無い。他ならぬ北嶋さん自身がよく行っている事だ。それが例え理不尽だろうがなんだろうが、誰も私のカウンタック愛を邪魔する事はできないのだ。

――尚美、勇の夕餉は兎も角、妾までお預けと言うのはどうにも納得がならぬ

 タマも苛立ちながら私に抗議する。

「駄目よ、言うなればタマの弟分も来るんだから。弟分を差し置いて先に食事とか、目上の者の所行じゃないわ」

――弟分?はて…とんと覚えが無いが…だがまぁ、確かに尚美の言う通りよな。下の者の来訪をどんと構えて待つのも上の者の責務よな

 此方は簡単に丸め込んだ。御満悦でクワクワ笑うタマを見て、扱いやすいなぁと思う反面、本当に国を滅ぼした大妖だったか?と疑問に思う時もある。これも北嶋さんに毒されたからか。

――所で、その弟分はどこから来るのか?

「イギリス」

―――……うん?

 ポカンとしたタマ。と、同時に、庭に何かが降り立った音。

「来たわね」

――呼んだのはあやつか?確かに妾の弟分みたいなものよな。クワックワックワッ!!

 一度勝っているタマにしてみれば、弟分と言われても違和感が生じないのだろう。やはり御満悦に笑っていた。

 気配が玄関先まで来たと同時に呼び鈴が鳴る。

「はぁ~い」

「やっと来たかこの野郎!さんざん待たせやがって!さては俺を餓死させる算段か!!」

 私よりも早く玄関を開けた北嶋さん。

「………ん?」

 何か足元を見ているような?

「どうしたのよ?って、やっぱりじゃない」

 北嶋さんの肩越しに覗いた先。

 英国国教会最強の魔導師、マーリンによって封じられていたブラックドッグだった。

「……この黒いコーギーを呼んだ訳?」

「……万界の鏡をかけなさいよ…」

 裸眼で見たら黒いコーギーなのかブラックドッグは。なんかいちいち可愛い。

 北嶋さんは言われるが儘、万界の鏡を掛けた。

「お前どっかで見たな?」

――それはあまりにも冷たい言葉ですぞ北嶋様!俺をお忘れですか!!

 ガーン!!と、口をあんぐり開けながらの抗議。あまりにも可哀想だ。

「北嶋さん、ほら、カインの所の…」

「…………」

 ヤバい忘れてる!!

 興味の無い事は忘れてしまう北嶋さんだが、それではあまりにも切ないだろう。

「遅くなりました!カインさんより命を受け、参上致しましたっ!!」

 滑り込むように玄関に飛び込み、菓子折を北嶋さんに渡すクラウス。

「お?ツルッパゲの所の隈取りじゃねーか?久しぶりだな。お前が手伝いに呼ばれたのか?」

 菓子折一つで機嫌が戻った。

 お土産が無かったら喚き散らしていたに違いない。遅ぇぞコンチクショウとか言いながら。

「そうです。早速ですが、敵はどこの誰ですかっ!?」

 おかしなテンションで腰に下げている魔剣に手を掛け、辺りを見回すクラウス。「敵?」

 どゆこと?と私を見る北嶋さん。

「さぁさぁ、そんな事より、みんな揃った事だし、食事にしましょう。クラウス、クルーク、お腹減っているでしょ?」

「うん?…まぁ、急いで来ましたんで……」

――食事は有り難い。クラウス、折角だ、食事をしながら話を聞こうじゃないか

 ひたすら首を傾げる北嶋さんとクラウスを余所に上がったクルーク。

――久しいな犬。元気だったか?

――狐か。久しいな。元気だが腹は減っている。話は後だ、俺は食事がしたい

――妾もだ。わざわざ貴様等を待っておったのだ

 此方は談笑しながらご飯の先に向かった。

 フェネックキツネとコーギーか……かなぁり癒やされながら、私も二人を促した。


「……あの…もう一度言って戴けますか?」

 唐揚げにフォークを突き刺した儘、耳を弄るクラウス。

「大丈夫、幻聴とか聞き間違いじゃないから。今回の依頼、いえ、お願いは北嶋さんの手伝い。仕事は海神様の池の改築工事よ」

 クラウスは正に鳩が豆鉄砲を喰らったが如く、茫然としていた。

「呼ばれた理由が工事の手伝い?」

 頷いて返すと、クラウスは呆れたように肩を竦め、首を振った。

「それが手数料引き下げの条件なら引き受けますが、俺は素人。ご期待に添える自信はありませんよ?」

「何?手数料引き下げだと?初耳だぞ神崎!一体どういった了見だ!!所長たる俺を差し置いて勝手に決めるとは!!」

「どーでもいいんでしょ?」

「く……!!」

 しれっと返したら言葉も出ないようだった。

 浅い難癖だ。幾ら難癖付けようが、決まった事を覆す事は容易では無い。その程度で私のカウンタック愛を止める事は出来ない。

「詳しい事、細かい事は親方に聞いてね。親方、私は明日居ませんけど、帰って来た時に進んでいなければ…解っていますよね?」

 ギラリと殺気を込めた視線を送ると、一瞬硬直する北嶋さん。

――北嶋様の奥方は凄いな…視線だけであの北嶋様を……

――史上最強を拳一つで震えさせる奴よ。誰にも真似できぬ。あの悪魔王ですらな……

  ……なんか小動物の中で私の評価が鰻登り中だった。

 視線を向けると……

――く……!な、何と言うプレッシャー!この俺を怯ませるとは!

 何もしていないのにやたらと警戒された。

「兎に角、明日から頼むわよクラウス」

「了解。聞いた所、あの裏山の遊歩道等は聖騎士を馬車馬の如くこき使い、完成させたと言う。連中にできて俺にできない訳が無い」

 馬車馬の如くって、一応福利厚生とかやったんだけど……つか、誰だそんな事を言った人は?後でアーサーを問い詰めなければならない。

――奥方、俺はどうすれば良い?流石に人間の工事の仕事など手伝える自信が無い

 クルークが慌てて前脚を私の膝に乗せて、パタパタと尾を振った。

 魔力を避けて見ると、やたら可愛い。

 ついデレて頭を撫でて言った。

「クルークは何もしなくていいのよ」

――何と!それでは北嶋様に受けた恩義を返せない!!後生だ奥方!俺にも何か仕事をくれ!!

 あの地獄の炎の魔犬に懇願されてしまった。今にも泣きそうな潤んだ瞳が堪らなく可愛過ぎる。

「そうね…それじゃ私の警護で一緒に来る?」

――奥方の警護…うむ!!それはなかなかやりがいがある!!このブラックドッグのクルーク、その任承った!!

 納得したのか、尾を振るスピードが激しさを増した。

「いいわよねクラウス?」

「神崎さんに警護が必要とは思え無いが、いいでしょう。これも手数料引き下げの為…カインさんから神崎さんの命は絶対に受けるように言付かって来たので」

 手数料引き下げに必死さが垣間見える。下手に刺激してオジャンにしないように、カインに相当釘を刺されたみたいだ。

「別に無理な事は断ってもいいのよ?手数料引き下げに影響を出さない事を約束するから」

「いや、大丈夫。問題無い。唐揚げも旨いし」

 決まりだから覆さなくて良い。と暗に言っているようだが、お料理を誉められたら嬉しい。

「さぁ、ジャンジャン食べてね!!明日からお願いね!!」

 それから私は季節を無視した食材で作ったお料理をジャンジャン出した。

「旨い中華ですね。本当に旨い」

「最近中国人の料理人と知り合ってレシピを教えて貰ったみたいだからな。俺はここの所、毎晩中華で少し飽きが来ているが」

――何だこの肉は?鹿?いや、違うな…食った事の無い肉だ。旨い!!

――最近大陸から新しい柱が来てな。其処に生息する肉だ。妾は生が好みだ

 中国、大陸の単語が頻繁に出て、興味を覚えたのか、話をせがむクラウスとクルーク。

 北嶋さんとタマは、最近の事件を自慢気に話していた。

 お料理が好評で私も嬉しいし、たまにはこんな親睦会も開いてみてもいいかな、と思う。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る