すべてを風のせいにして〜タイムループバタフライ〜
クリヤ
(1)クローゼットはやっぱり
クローゼットってやっぱりそうなの?
さっき、急にピカって光って、中から男の子が出てきた。
え? 異世界? SF? ホラーじゃない……よね?
「ボクは未来からきたあなたの孫。シュンスケです」
「よっしゃ!」
「え? 驚かないんですか?」
「未来のキミにどんな危機が? あたしは何をすればいい?」
「ぶははははっ!」
「ちょっとぉ、笑うとこ?」
「いや、物分かりが良すぎて……」
「悪い?」
「いえいえ。やっぱりボクのオーマだなって思って」
「オーマ? 何それ? そう呼んでるの?」
「ま、そうですね」
「ふうん。で? やっぱり危機が?」
「このままだと未来でボクは生まれないんです」
「おっと。王道、きたねぇ」
「ボクを助けると思って、勉強をがんばっていただきたいんです!」
「はぁぁぁぁ? べんきょおぉぉぉぅ?」
「そうです」
「なにそれ、夢がない!」
「どういうことを頼まれると思ってたんです?」
「なんかさぁ……。ほら、運命のひとに会うとかさぁ……」
「はぁ」
「卒業式のあとのパーティーで踊るとかさぁ」
「ふんふん」
「そのための自分磨き? 的なものをがんばるとかじゃないの⁉︎」
「えっと、今、寝てないですよね?」
「ちょっと! 夢見過ぎってか!」
「いえ、そこまで失礼なことをはっきりとは言いにくい……」
「いや、言ってるから! 今!」
「勉強かぁ……、なんでそれがキミを助けることになるわけ?」
「……大学に進学してもらいたいんです」
「だいがくぅ? ……えっと、するよ? ほら、近くの」
「近くの、ではなく……遠くの。そこでの出会いが大事なので」
「えええええ! せっかく未来からきたのに……あっ!」
「なんです?」
「わざわざ未来からきたってことは、なにか秘策があるとか?」
「勉強に秘策なんてないでしょ? この時代にはあるんですか?」
「むぅ……、ないよ! だから聞いてんじゃん!」
「あはははは! そんなのあると思います?」
「ないけどさ、未来ならっとか思うでしょ?」
「こちらが頼んでおいて申し訳ないのですが……。
勉強は自力でしないと意味がないですよ?」
「わかってるよ! 言われなくても!」
「それなら、いいんですけどね」
なんであたしは孫に説教されてるんだろ。
なんだかむなしくなってきたよ……。
やる気、起きない!
やる気を出すためには、どうすれば?
ようやくあたしにも異世界からのお誘いがきた!
って、思ったのになぁ。
あれ? でも、そういえばさっき……。
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