『かんてん大魔王』
やましん(テンパー)
『かんてん大魔王』 序章
阿蘇カルデラの超巨大噴火では、北海道だけは、なんとか生き残ったのでしたが、本州からの南日本は、火山灰とラハールの山に覆われて、ほぼ、生活ができなくなりました。
そこを、非合法に占領したのが、寒天大魔王だったのです。
その正体は、まるで解らないままなのですが、北海道政府には、追及する力はなく、諸外国も、復興するにはあまりに費用がかかりすぎ、さらに、それ以外の火山も活発で、まだ再噴火の可能性もあり、姶良カルデラや、大室だしが大噴火する気配があるうえ、イエローストーンや、イタリアや南米、南アジアの火山も超大噴火の気配を見せており、地球は騒然としていたのです。あり得ないような事態でした。
一方、寒天大魔王は、想像を絶するテクや、兵器をも持つと言われていました。
『地球破壊爆弾。』
なんかもある。
『んなもん、あるわけないだろ。』
と、常識派は、考えていましたが、目の前で、月を半分破壊されてしまったため、黙ってしまいました。
それで、ついに、寒天大魔王は、宇宙からやってきたに違いないとされたのです。
さて、なんとか本州から逃れていたやまーしんは、不服を言った罪で、北海道所払いを命じられました。
非常時に不服をいうなど、言語道断とされたのです。
それで、公費にて、小さな青函渡船に乗せられて、えっちらこおっちらこと、本州に帰ったのでしたが、それは、事実上の死刑でした。寒天大魔王側も、そうした死刑囚の護送は、見逃していました。
でも、寒天大魔王の助けを得られたら、生き延びる道があるかもしれませんが、やまーしんは、重要人物ではないため、渡すべき情報もなく、そうしたことは、あり得ないのでした。
寒天大魔王からしても、厄介者を助ける意義がないのですから、まあ、いつもの通り『ホッテオカレル』、のみでありました。
『ホッテオカレル』とは、文字通り、いても、見えないことにされるというわけですが、必ずしも悪いばかりの意味ではなく、もし、食べ物を多少頂戴しても『ホッテオカレル』わけなのでした。
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恐山付近には、寒天大魔王の、北海道監視庁がおかれていて、厳しく固められていましたが、火山地帯は、『寒天一族』の保養施設になっていたのです。
やまーしんは、そのあたりに野宿したのでしたが、不思議に妨害されたりはしなかったし、なぜだか、食べ物がひとりでに、やってきたりもしたのです。
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『寒天一族』には、不可思議な一面があり、死にかけの敵を蹴飛ばしたりするのは、はじ、とされていたのです。
でも、あからさまに、助けたりもしませんでした。
季節は、あまりはっきりしなくなってはいましたが、冬は別で、猛烈な寒さが来ます。
野外で生き延びるのは、まず、無理だったわけです。これまでに生き延びた人類は、ほとんど、ありません。
それは、やまーしんにも解っておりました。
『まあ、ラストの地としては、悪くないな。生きているのは不思議なくらいだあ。』
南に下れば火山灰は深くなります。
歩くどころではありませんが、『寒天一族』は、なぜだか気にしません。
『あの人類は、うまく、生存可能域に入り込んでいるが、害はないか?』
北海道監視長官が尋ねました。
すると、監視技官のポロクが、答えたのです。
『害はあらませんな。無害。敵意なし。が、とうてい、冬は越せないでしょう。人類は弱い。われわれ火山性超知的生物の敵ではなか。なかなか。』
『ふむ。じつは、大魔王が、なぜだか、興味をお持ちだ。生かさず殺さず、しばらく命を保てと、おっしゃる。』
『なんとお。』
『どうやら、娘さんがおもちゃにしたがっているらしいが、適正を見極めたいらしい。』
『あんなのを?』
『まあな。われわれには、分からんよ。』
この、『寒天一族』が、どこから来たのか、作者にも、まだ分かってはいないのです。
しかし、問答無用で、相手を皆殺しにする一族ではないようでした。
その証拠に、北海道には侵略していなかったのです。
🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇
続くかもしれません。
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