第5話 野良ダンジョン




 ダンジョンが現れてから1年近く経過し、ついに第5階層のガーディアンが討伐された。


 そのダンジョンはアキバダンジョン。


 アキバダンジョンは世界最前線のダンジョンとしてその名を広めていった。


 それから数日、世界中で新たなダンジョンが見つかるようになった。


 トリガーはガーディアン討伐なのかは不明だが、最初に現れたダンジョン以降始めてのことだった。


 各地で現れたダンジョンは『野良ダンジョン』と呼ばれるようになった。


 各国の管理が追いついていないことが主な理由だ。


 特徴として、


・小規模であり、階層は1階層のみ


・モンスターなど一切いない無人のダンジョン



 今後どのようなことになるか不明だが、現状は周囲を封鎖するだけで基本的には放置する流れになっていた。


野良ダンジョンではアイテムなども出ず、次第に人々の関心は離れていった。






 そしてつっちーとかねやんはというと、


「隣の山に野良ダンジョンできたらしいよ。行く?」


「なんもないなら行かなくていいんじゃない」


「そだね」


 いつも通りだった。





「つっちー大変大変!ヤバいやつ出た!」



 久々のかねやんの大変コール。どうやらガチャで当たりアイテムが出たようだ。


「おっ久々だね。何出たの?」


「召喚石だよ召喚石!これってヤバくない?」



 今回かねやんが引いたのは『召喚石』。


 おそらくその名の通り召喚獣等を呼べるアイテムなのだろう。



 現在モンスターを使役できるスキルは『テイム』が確認されている。


 ちなみに保持者は海外の探索者でゴブリンしかいないダンジョンだったのでその様子は残念なことになっている。



 現在、『召喚』『召喚石』といったスキル及びアイテムは発見されていない。


「もうすぐ1年近く経つけど、ガチャの排出率って実はいい方じゃない?」


「そういえばそうだね。レアアイテム出るの少ないけど、その分出たやつのインパクトがヤバいね」



この1年でかねやんが出したレアアイテム(暫定)。


・ポーション

・ゴブリンでもわかる異世界言語(スキル本)

・召喚石←New



「で、どうしよっかこれ?」


「使うにしても事前に準備必要だね」


「使う方向でいいよね、つっちー?」


「いいんじゃない。俺も召喚獣見てみたいし」


「じゃあ早速準備進めようよ。何から決める?」


「まずは召喚する場所からじゃない?」


 召喚石を使用することにした2人は打ち合わせを始めた。





 召喚するための準備を始めた2人。


 場所は近所にできた野良ダンジョン。ここは封鎖もされてない手付かずの穴場だ。


 召喚する方法はわからないので色々試す予定。


 召喚したものが攻撃的、意思疎通が取れなかった場合、即シェルターに避難する流れだ。


 無事対話できた場合に餌付け用にお菓子等用意しておいた。





 ~野良ダンジョン~


「近くに誰もいなくてよかったね」


「まぁ何もない野良ダンジョンになんて誰も来ないしね。色々試すにはいい場所だし封鎖されないといいな」


 準備を終えた二人は野良ダンジョンに来ていた。


「ついに僕もダンジョンデビューかぁ。野良ダンジョンだけど」


「モンスターとかいないし、ダンジョンって感じしないけどね」


「つっちー、早速召喚してみようよ。」


「まずは石に念じるパターンでいってみようか」


「オッケー」



 かねやんが召喚石を握り、念じてみる。


 すると石が輝き出す。


「おっ、まさかの一発成功!」


「かねやん大丈夫?手熱くない?」


「大丈夫そう」


 手を広げると、石が宙に浮き更に輝きを増す。




 そして光と共に現れたのは、


「アタシを呼んだのはあなたたち?」


 光と共に姿を現したのは小さな女の子。


 緑の髪で背中には羽が生えていた。


「はい、俺たちが呼びました。君のことを教えてもらってもいいかな?」


「アタシは風の精霊シルフよ。それで何をすればいいかしら?」


「う~ん、お願いすることは特にないかな。しいて言うなら色々話を聞かせてほしいな」


 ちなみに会話してるのはつっちーだ。かねやんはキョドってる。召喚者本人なのに。


「ふーん、まぁいいわ。何から話せばいいかしら?」


「ありがとう。ここじゃ落ち着かないし場所移動しようか。お菓子も用意してるし」


「お菓子!早く行きましょ」


 お菓子作戦は成功のようだ。


「それじゃあついてきて」



 つっちーがシェルターの扉を出し、3人はシェルターへと向かった。


「…かねやんもなんか喋れよ」


「…ゴメン、ビックリして言葉出なかった」


「何してるの早く案内して!」




「やっぱ異世界ってあるんだなぁ」


 シルフから聞いてわかったことは、


・精霊は普段精霊の国にいる。


・こことは違う異世界があり、エルフやドワーフといった亜人種がいる。


・こちらに来た精霊はシルフが初めて。


・シルフとの会話は異世界言語は必要ない。かねやんが大丈夫だったので。




 話し終えたシルフはお菓子に夢中。やはりこちらの食べ物は珍しいようだ。


「つっちー、ダンジョンって異世界に繋がってるのかな?」


「どうだろ?その辺は探索者に任せよう。多分だけどダンジョンクリアしないとわからないタイプだと思うし」


「そだね」


 相変わらずダンジョン攻略には興味のない2人だった。




「ねぇシルフ、召喚石って違うの手に入ったらまた君呼べるの?」


 シルフを呼び出した召喚石は消えてしまった。


「できないわ。召喚石を手に入れても出てくる子は毎回違うわ」


 どうやらランダムらしい。


「それよりあなたたち」


「何?」


「アタシと契約しない?」


「契約ってそんな簡単にしていいの?」


「だってこのまま消えたらお菓子食べられないじゃない」


 どうやら餌付けに成功してしまったようだ。


「契約って何か必要なものある?あと厳しい決め事とかない?」


「必要なものはないわ。決め事はアタシたちを道具扱いしなければ大丈夫のはずよ」


 結構ゆるい感じだ。


「どっちと契約する?」


「属性の相性的につっちーかしらね」


「相性とかやっぱあるのか。かねやん、なんかゴメンね」


「こればっかりはしょうがないよ」


「契約ってどうすればいい?」


「お互いの手を重ねて、アタシに名前をつけるの」


 名付けが必要なパターンらしい。


「名前か、ちょっと時間もらっていい?」


「あんまり時間ないから早くしてちょうだい」


 そしてつっちーはシルフと契約した。




 2人が精霊を召喚して数週間。


「今日のお菓子は何かしら?」


 シェルターの主と化した少女、シルフこと「ミント」。


 無事契約を終えた後一度は精霊の国に帰った彼女だが、その後は用もないのにこちらに来てはお菓子と娯楽に興じていた。


 ダンジョンにも行かないつっちーには問題なかったが、流石に外には出すことが出来ないのでシェルターにいてもらうことになっている。




 契約してわかったことだが、精霊は透明化できないらしい。


 マンガにありがちな、念話や魔力の受け渡しの為のパスが繋がるといったことはそのままだったが。


 契約した精霊はこちらに来るには契約者の許可が必要で、戻る時は自由とのこと。


 滞在時間は契約者の魔力量によってかわる。つっちーだと大体1日位だった。


 ミントは2、3日に1回のペースでこちらに来ていた。


 一番驚いたのは精霊は大きさを自由に変えられたことだ。


 最初は20センチ程の人形サイズだったのに、今現在は150センチ程の少女位の大きさになっていた。


 大きくなるにつれて魔力を必要とするらしいが、人と同じ位の大きさならそこまで大変ではないとのこと。


 大きくなった理由は食事や遊ぶのに不便だったからというしょーもない理由だったが。


 2人の日常に新たに1人増えた生活だったが、つっちーとかねやんはいつも通り過ごしていた。


 世間ではついにダンジョン第10階層到達のニュースで賑わっているにも関わらず。



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