第6話 村の子供
――――野営とその後
野営の準備をしていた。手伝いの合間にモニカと戯れる。エル姉は動くなと両親にくぎを刺されたのか大人しく座っている。野営中に暴れるのは危険だからだ。
(なんか……殺気立った感じで俺の見てる。心当たりがない。でも村に付いたら逃走準備だな)
食事をとった後に眠りについた。
そして、ついに村が見えた。木の柵が村を囲っている。木の柵が異常に高い。この世界は身体強化の魔法もあるので高い柵にしないと簡単に飛び越えられてしまう。堀も利用し普通は飛び越えられない高さに調整してあった。魔物の対策でもあるのだろう。
到着して早々、挨拶を交わす。留守を任していた村長と話し合いをする。
狭い馬車の中。そして合間の休憩時にも暴れられなかったエル姉がうずうずしているのを感じた。村についた今、野獣が解放されたのだ。俺はソッとしてその場から立ち去る。村の散策をすることにした。
村人はすれ違う度に笑顔で挨拶してくれた。俺もそれに応える。どうやら俺が男爵家の人間だと分かっているらしい。
家は木製で一軒一軒の間隔がゆったりとしている。村から少し離れた位置に川がある。そこも活用しているが井戸も所々にあった。小さな魔物の狩猟や川魚、木の実や山菜などの採取。育てた農作物を食べて生活している。とてものどかな村である。
(将来はこういう所で暮らすのもありかもしれないな。村長補佐とかいいかもな)
低い石造りの低い塀に座って村を見ていると、少し離れた位置に子供が物陰からこちらを見ている事に気が付いた。可愛らしいな。あ、今の俺も同じくらいの年齢か。
「やめようよー」
「だいじょうぶだって!! 俺がついてるだろ!!」
「でも~」
気が付いた事で彼等が近寄ってきた。子供が四人。リーダーらしき男の子が少し前に出て、一歩後ろに男の子と女の子がいた。十歩くらい離れた男の子が一人現れた。
「俺はカール!! そのうち最強の冒険者になるものだ!!」
(おぉ。その歳で夢があるのか。立派だ)
「俺はアルフレット。
「……なんだと!!」
「あ、のびのびと暮らせるように日々だらけて生きている」
「ハハハ!! とんだなんじゃくものだなァ!! 俺がここでの生き方を教えてやる!!」
「おー畑仕事やってみたかったんだよ。すっげー大変だろ? 僕にできるかなー」
「ちがーう!! 話聞いていたか!!? 最強の冒険者になるんだって!! 真剣勝負に決まってんだろ!!」
「へー」
「このぉ!! 田舎者だと思ってなめてるな!!」
「全然? それでどうするんだ?」
「ふふ、剣をとれ」
俺の足元に小枝を投げる。ただの枝でなく少し剣に近い物を探してきたようだ。とても軽く遊び用といった感じだ。
「戦わないとは言うまいな!! おくびょう者はしりを受けることになるぞ!!」
(尻?)
「ここの村人ヒップアタッカーなの?」
「意味の分からないことを!! おかしなやつめ!!」
(あー。そしりは免れないのか。いいなその評価……それはそうと小さいミスくらいは訂正翻訳してあげて。次に神とやらに会えるかは知らないけど翻訳機能に改善案でも出そうかな)
(ん?)
「……でもさ、村で武器もってる人見かけないけど? そんな風習ないのでは?」
「ぬ~っだまらっしゃい!! つべこべ言わずにさあ戦え!!」
(この世界の子供はやたら好戦的だな)
フォル兄は例外で大人のカテゴリに入れている。弱いふりをしたらなにかと振り回されて面倒だと思ったので適当にあしらうことにした。
「俺はそっちの剣を使わせてもらおう」
「なに?」
適当にカールの背後を指で差し、強い視線を送りながらゆっくりと近づく。彼も気になり、釣られて後ろに振り向いた。その瞬間に急接近し、頭にチョップをした。
「イテ!!」
「はい俺の勝ち~。魔物との戦いだったら死んでたぞ」
「ッな!! ズ、ズルだ!! ズルは許さないぞ!! ちゃんと勝負しろー!!」
「でも冒険者になるなら今の不意打ちくらい避けられないとー。だから俺の勝ちでいいでしょ」
俺は背後の子供たちに確認をとる。すると女の子が同意してくれた。
「うん。ゆだんした方が悪いっ」
「さすが男爵様の!!」
「カール君に勝つなんてすごいですよ!!」
「お、お前等!! うらぎる気か!!」
(喧嘩になりそうだな。別の事に意識をもっていこう)
「今、屋敷に冒険者いっぱいいるぞ」
「なんだと!! それをはやく言え!! 行くぞお前等!!」
「お、おう!!」
「ぁッ、待ってよ~!!」
街にはギルド支部があるがこの村にはない。旅の途中で寄るか、たまに依頼を発注した時に来るくらいなので冒険者は珍しい。子供たちは先行するカールの背中を追う。途中、女の子が振り返った。
「またね、アルフレット」
「あ、ああ」
軽い挨拶をして村の子供たちと別れた。
――――
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