行方不明事件に関しての進捗状況③

月刊アマテラス、調査班安元です。

私が調査致しましたのは、映像制作会社、

ハッピーサークルの元社員である

淺間匡さんに対しての取材です。

添付しましたファイルに音源データが

ございます。こちらも併せて聞いてください。

早速この取材に至るまでの

流れを説明させていただきます。


岐阜県に住む柊木さんという方が情報提供。

こちらがですね、岐阜県にある

ゲームセンタートガワという場所が、

エンドウひさしのFMナイトキャラバン

という番組内のあるコーナーで紹介される。

場所の名前は伏せていて、

おそらくここではないかという情報。

電話に出た女性はおそらく息子を探している。

偶然その近くに住む柊木氏が

ゲームセンターを訪れた際、

息子を探す女性に出会う。

それが発端で行方不明事件で

あることが断定される。

ゲームセンターの店長、佐々木氏への取材で、昔存在していた『あなたの恐怖体験』

という番組内でゲームセンタートガワが映る。数秒ほどの心霊映像ではあるが、

作り物だということが判明。

柊木氏のもとに、

その映像を撮ってしまったという

男性からメッセージが送られる。

謝罪をする彼であったが、その他に

映像会社ハッピーサークルで働いていた

とされる男性を下北沢の

レンタルビデオショップで

働いているということが発見される。

この先は彼への取材を

まとめ上げたものである。






音源データ 

2025/08/02/16:38 場所:下北沢カフェ21



安元「安元と申します。

月刊アマテラスという雑誌を書いています。

本日はよろしくお願いいたします」


淺間「淺間です。西森編集長から

電話をいただきましてね、

ぜひご協力したいと思いまして

ここにきました」


安元「ありがとうございます。

感謝でいっぱいです。

ご協力していだけないかと

勝手に思っていました」


淺間「そんな、お世話になっていたんですから、僕も元は他の出版社で働いてましたね。

その時の上司が西森さんだったんですよ。

全くお世話になりましたよ。

あの人酒飲むと本当に酒に飲まれちゃう

というか、酒癖悪いですよね、

直属の上司にそれはけないか(笑)」


安元「そこまで面識があったとは驚きです。

では早速ですが、

昔のお話をしていただけませんか」


淺間「ああ、そうそう、ごめんごめんごめん。なんだっけ、

あなたの恐怖体験についてだよね」


安元「そうです。

あなたの恐怖体験vol23についてのお話を」


淺間「あれに関してはね、

本当に適当だったよ。

視聴者の方が勝手に用意してくれるんだもん、

だから俺たちはそれをうまく繋ぎ合わせて

それっぽく編集するだけ。主にあれだね

Repleyとかあるじゃん、あのもう一度

ご覧いただきたいのあれ、

ああいうのしかやってないのよ。血とか

それっぽいドロドロとした背景に文字を

やるだけ、あれね。

本当に視聴者の人たちには助けられた」


安元「心霊映像は、こうなんて

いうんでしょう、偽物だということは

すぐに気づくものなんですか」


淺間「気づく気づく!

もっとちゃんとやれよなんて言いながら

パソコンで見てたね、あまりにも

胡散臭いのは見向きもしなかったけど」


安元「あの映像の時はどうでしたか、

ゲームセンターの」


淺間「え、あれって本物じゃないの」


安元「本物じゃないですよ、作り物です」


淺間「いやあ、みんなでガチモンだガチモンだって騒いでたよ、

あれは作り物なんかじゃないよ絶対」


安元「ある男性から情報が提供されたんです。

あれは僕がやりましたって」


淺間「あの番組ね、確か本当に怖かったもの

だけ鬼のお面が送られるんですよ。

だいたい投稿者の住所に送られるんだけど、

あれは投稿者に連絡が取れなくなって

そのままゲームセンターに

送られたんだっけな」


安元「やはり、あのお面は何か意味というか、効力があったり?」


淺間「ああ、ある。なんだっけな名前を

忘れたんだけど、和尚さん、

和尚さんみたいな人。

変な宗教みたいなさ、なんとか宗なんとか派

みたいな。それにお祓いを頼んで

届いたのがあれ。

番組側も適当だったからそのまま

送っちゃおうってそんな感じだったね、

全く変な時代だったと思うよ」


安元「どんな効力が」


淺間「邪気退散とかそういうのでしょ?

俺は信じてないからね。

でもそう、あの映像が作り物とはたまげたよ」


安元「皆さんが信じていたんですね、

あれは幽霊だって」


淺間「そうよそうよ、普段怖いと感じない人も怖いっていってたからね。相当だよ」


安元「私自身そこまで怖いとは

思わなかったんです。だってほら、

ありきたりな長い髪の女の人が出てきて、

それだけですよね」


淺間「いやあ、あれはリアリティがあるよ。

なかなかないもんね、あんな映像」


安元「今の技術ならもっと怖いものが

作れますよきっと」


淺間「そうじゃあないんだよ、

あの映像にしかない怖さがあるんだ。

ほら、昔の映像とかでノイズが

混じったような映像があるでしょう。

あんな感じ。

不気味だって思う種類の映像なんだ。

それと、もう一個のほうは」


安元「もう一個、ですか?」


淺間「ああ、もう一個。え、知らないの?

嘘、もう一個の同じ映像があるじゃない」


安元「それは一体どういうことなんですか」


淺間「ええ、知らないか。あの映像は場所が

違う二つの場所から送られてきたんだ。

多分怖くないと君がいっていた方と、

怖いと感じたもう一つのビデオ。

確か同じ時期に二つ送られてきた。

あまりにも怖くて怖くない方を収録したのさ」


安元「同じ時期に違う場所から」


淺間「ああそうだよ。まさか知らなかった?

ごめん。

あまりにも怖すぎて

見せられないレベルだねあれは」


安元「そのビデオって今どちらに」


淺間「怖すぎて廃棄しちゃったと思うよ。

現状今会社自体がないしね、多分すぐに

お祓いをしてもらって捨てたと思うよ確か」


安元「どんな映像だったか、教えてください」


淺間「確か変わらない映像だね、

途中まで変わらない映像。

多分君が見たものと同じ。

でもね、その後にとんでもないものが

写っちゃってるのよ。

ありゃお蔵入りだね」


安元「何が写ってたんですか?」


淺間「ご、ごめん、

言うのもちょっときついな」





それから何度も淺間氏に訊ねたが一向に彼は

口を開かなかった。いったいそこに

何が写っていたのか。思い出すと彼は

時折涙を流していた。

これ以上は聞けないと思い、

そこで取材は終了した。

終了せざるを得なかった。

いつかその映像を

我々は覗くことができるだろうか。

その真相に辿り着きたい。

いずれは辿り着きたい。



調査班 安元

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