強くなかったみたい

山下。

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 世界の色彩が少し強くなる夏。今年はあまり蝉が鳴いていない気がする。蝉が生きていくには、少し暑すぎるのだろうか。

 この季節の中にあなたといると、夏期講習に集められた教室の、一番後ろの列から見ていた後ろ姿を思い出す。窓を閉めているのに遠くから聞こえる煩わしい蝉の声。そういえば、夏になると襟足が少しさっぱりするのは、あの頃から変わらないんだね。部活を途中で抜けてきていたから髪の毛から滴り落ちるくらいに汗だくで、うなじに流れる汗をしきりに拭いていたのも懐かしいよね。

 こうやって懐かしい話をすると、少し恥ずかしそうな顔をするあなたのことが大好きだよ。あなたは覚えていないだろうけど、気づいてもいなかっただろうけど、私は忘れたくない思い出たくさんあるな。

 今年もたくさん花火見たいね。

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