third mission

第11話 遠き宇宙の小さな悲恋の物語


「もし……俺が帰って来なくても……悲しまないでくれ……」

「ただ最後に頼みがある、俺が出る時あの空に向かってただ祈ってて欲しい……」

「そしたら俺は…………」

その男はただ最後まで悲しそうな笑顔で私に語りかけてくれた

私はどうやって答えれば良いのか分からない

ただ彼に抱きつき泣きじゃくっていたのを覚えてる。


珍しく彼と夜通し愛し合いまぐわりただ本能のまま感情のまま身体を………

私の奥深くまで彼によって満たされる

汗と愛液と……その匂いで満たされまた体は紅潮する

ひとつになる事の……………


「俺は………明日………出撃する」

次の日の朝彼に言われたの言葉はこの言葉だった

何も言うことはできずその日の会話は何も無かった……

彼はずっと部屋にこもり食事と入浴以外で顔を出さなかった

そんな彼との会話は覚えてる

いつも彼は部隊に帰る時またねと言うのに彼は

「じゃあな……元気で待っててくれ……」

そう言った………その時私は気にもとめずに

「えぇ、また………」

それが彼との最後の言葉だった………


戦争が終わったのは3日後だった

テレビで街が瓦礫とかしていたのを覚えてる

世界の人間が……同盟だった国ですらかの国を全て無に還す事に賛成した結果だ

かの2次大戦から100年以上たって起きたこの世界大戦

それは2年で……たったの2年で終わってしまった

テレビでは彼等を英雄の様に取り上げていた

世論がそうさせたのだ

でもその映像には彼が居ない気がした

私の悪い予感は常に当たるのだ

だから今回は外れて欲しかったの……



的中したのがわかったのは終戦から1週間経ってからだ

私の家に軍人さん達が来る

渡されたのはドックタグと小包が1つ

軍人さん達は何も答えなかったけど私は理解してしまった

そしてその箱を開けたの

そしたら指輪が入ってたの

私の名前が入っていた

それは……彼の……あの人の死と私に対して一生を掛ける呪

それが全部きた……

それで彼の部屋に入ったの……

そしたらね彼の机の裏に貼ってあったの

遺書がね


「君がこれを読んでいるということは私は多分死んだのでしょう。

私はこれから中国人を族滅しに行きます。

これは世界が決定したことです、法律に則り軍人だけを殺すとなったら彼等は全ての国民を軍人と記している、言わば国家総動員法と言うもので12以上の人間に軍事訓練を行わせているからです。ですが力のない少年少女、老人を殺す事になるのでしょうかと問いかけたくなりました

だからこそ私はせめて……せめて幼子だけは殺させない様にします。それが死を招いても

瑠夏さん、私は貴方の恋人で入れて良かったです常に明るく私を抱き締めてくれた私は口下手で余り感情を表に出す事が苦手でした。でも君といる時は本当の自分でいれる気がしたそんな私を愛してくれた貴方の事を愛しています。

そして私の事は忘れて下さい。君の幸せをずっとあの空の向こう側で願い続けています。

これでお別れですさようなら愛しき人瑠夏さん

第7機動戦闘隊 第2小隊 2等陸曹 神威 澪」



私はどうすれば……そんな日々が続く中

体調を崩した私は病院に行った……

デきた……彼の子だ

彼との最後の思い出で……とても幸せなあの時の事を思い出した

だから私は生きる事を決めた

彼のご両親や私の家族が私のことを支えてくれた

その事もあって元気な男の子が生まれた

私はこの子に一聖と名付けた

みんなが喜んでた泣いて喜んでいた

彼が遺した者を大切に大事に育てて行く事を決めた

この子が大きくなるにつれどんどん彼に似ていく

その笑顔もちょっと抜けてる所も優しさも全部が全部

そんな小さな幸せに喜んでいると訃報が入った

彼のご両親が殺されたのだ

日本に潜伏していた朝鮮人だった

理由は金のためとの事だった……

私の中で何かが落ちる音が聞こえた気がした


一聖が高校生になった頃だった

戦争の特集がやっていた

澪の血を継いで居るのか食い入るように見ていた

そんな中だ

「神威2曹を殺したのは……年端も行かぬ少年たちでした……」

そんな言葉を耳にした

私もテレビに目を向けると彼が武装解除と避難勧告をしていた映像だ

周りには戦意のない人達が列を成して収容される

その時に事件は起きた

彼の機体に何かをつけた少年が映る……そして……爆発した

だが幸いにも足だけで中身は無事だった

そして

それにどこからとも無く現れた人達が列を生している人達を殺しそして彼の機体を叩きこじ開けた

そして目の前で滅多打ちにされ……ボロボロになり最後には……

「……これが……親父の……最後かよ……」

息子の言葉に反応して

「……嘘よ……そんな事って……」

私の中にあったものが全て堕ちる


その日から家族の会話が無くなった……

息子は軍人になるとだけ言って高校卒業後には日本陸軍に入隊して行った

そんなある日だった……

街中で中国人の札をつけた家族がいた

私の中で何かが壊れた。

ふざけないで……彼を……奪って置いて……笑顔で……


気づいた時にはもう遅かった

彼等を殺していた。

落ちていたモノで殴りつけ顔も何もかも分からなくなるくらいに


これが最後の手記になります。

息子の友達はみな知っていたのか私を叱責する者は居ませんでした

そして世間からも叱責される事はありませんでした

ですが私は彼の事を忘れられずに

関係の無い彼等を殺しました。

彼はいつも言っていました

人は時に理屈ではなく感情で生きる

矛盾と言う言葉を本当の意味で体現した生き物だと

だからこんな母親でごめんなさい一聖

こんな女でごめんなさい澪

もしひとつだけ願いが叶うのならば彼の元に




セインの部屋の書棚にあった古めかしいボロボロの手記を読んだ

所々濡れてなのか文字か歪んで読めなくなっている

そして第3次世界大戦の頃の手記だと思われるもの

その内容は私でも受け取りきれなかった……

一人の人間を愛した女性の母親の……呪とも取れる人生が綴られた内容だった

「……なぜ……こんな物が彼の所に……」

マヒロは彼の事務所で零すのであった……

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