第34話 修羅場の着地点。

「ゲオルグ殿が、爵位をさずかれば良いのです。ゲオルグ殿、わたくしと結婚し、ローゼンクロイツ家に籍を入れませんこと? そうすれば、全てが解決いたします」


 ……は? 今なんて言った?

 イザベラ嬢の言葉に混乱していると、フィオナが叫んだ。


「なにそれ? めっちゃいいじゃん!!」


 ……は? 今なんて言った?

 頭が混乱する中、ミエルがつづく。


「なるほど! さすがイザベラ嬢ですわ。わたくし、すっかり失念しておりました」


 ……は? 今なんて言った?

 とどめにルルがつぶやく。


「てことは、ルルは貴族のご婦人ってことなの。良いことづくめなの」


 いやいやいやいや! 良くはないだろう! 俺はイザベラ嬢に問いただす。


「イザベラ嬢! 冷静になってください。伯爵令嬢とあろうお方が、みず知らずのおっさんと結婚していいはずがないでしょう?」

「あら? わらわはいたって冷静ですわよ。わらわはこの1年のあいだ、ゲオルク殿を探すため、フィオナ、ミエルさん、そしてルルさんと共に行動をしておりました。そこでいやというほど、貴公の魅力を聴き続けておりましたの」


 イザベラは頬をあからめて話をつづける。


「そして、ゲオルク殿、あなたにお会いして確信をいたしました。母なる大陸を横断する勇気と行動力、そこで得た膨大な知識、そしてなにより、素晴らしいお人柄。わらわの旦那様は、ゲオルグ殿以外に考えられません!」

「み、身に余る光栄です。ですが……平民との結婚など、さすがにお父上がお許しにならないのでは?」

「問題ございませんわ! わらわは幼少より、我がローゼンクロイツ家のために、優れた錬金術師を引き入れるよう、お父様より言われつづけてまいりましたの。今年家督を譲り受けたお兄様も、お父様のお考えに賛同しておりますわ」


 なるほど……さすが貴族様。お家のためなら自身の色恋は二の次ってことか? いやいやいや! それではイザベラ嬢の気持ちがないがしろにされすぎじゃないか!!


「イザベラ嬢、どうか冷静になってください。結婚は、家のためにするものではない。当人の意にそぐわない結婚など、不幸をまねくだけだ」

「いいえ! わらわ自身のためですわ」


 イザベラ嬢は、フィオナたちをかきわけて俺の懐に入り込むと、おもむろに唇を重ねてきた。


 ……は? どういうことだ??


「あ! イザベラ、ずっこい!!」

「イザベラさん、抜け駆けは禁止ですわ!!」

「……イザベラ、恐ろしい娘!!」


 フィオナ、ミエル、ルルが喚く中、イザベラ嬢は俺の口の中に舌をすべりこませてくる。俺はイザベラ嬢のされるがままになっていた。


 たっぷりと濃厚なキスをすること数十秒。イバベラ嬢はようやく唇を離すと、縦ロールの髪をシャランとなびかせて言い放った。


「ゲオルク・バウエル殿、どうかわらわを受け入れ、ローゼンクロイツ家の一員となっていただけませんこと? そして、フィオナ、ミエルさん、ルルさんと一緒に、幸せな家庭を築きましょう。よろしいですわね?」

「……………………あ、ああ」


 俺は、イザベラ嬢の迫力に気圧され、ついつい首を縦にふってしまった。


「やったあ!!」

「これで、全て丸く収まりますわね!」

「……みんなと一緒。もうひとりぽっちじゃない。ルル、最高にうれしいの!」


 フィオナ、ミエル、ルルの3人も大喜びだ。


「それでは決定ですわね。さっそく結婚式の準備をはじめることと致しましょう。ちなみに『第一夫人』ですが、年長者であるわらわと言うことで問題ございませんわよね?」


 イザベラの言葉に、フィオナが激しく異を唱える。


「なにそれ!? ずるいよイザベラ!! イザベラはボクの部下でしょう!! だったらボクは、ゲオルグおじちゃんの『筆頭婦人』になる!!」


 ミエルとルルがつづく。


「それでしたら、わたくしはゲオルグ様の『正室』になりますわ!」

「ルルは、『真のお嫁さん』になるの!」



 こうして俺は、爵位を授かり、美しい若妻を4人もめとることになったのだ。


 こんな幸福、あっていいのか??

 幸福すぎて、近いうちにバチが当たってしまうのではないだろうか……。




 伝説の魔道武具師〜少女達に売れ残りをあげたら、みんな英雄になっていた〜


 第一部 伝説の魔道武具師の帰還   おしまい






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【なかがき】


 ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。めっちゃうれしいです。

 2万文字ほどの短編になればいいなと、軽い気持ちで執筆を始めた本作なのですが、あれよあれよと5万文字を超えてしまいました。


 この後、ゲオルク捜索の旅に出たライの顛末を幕間劇としてはさんだのち、第2章としまして、貴族となったゲオルクに降りかかる試練と打開の物語を、ちょっとだけシリアス度を増して執筆していく予定です。


 作者の執筆モチベーションを支えるのはただひとつ! 読者の皆様からのと、それにより上昇するでございます。


 少しでも「続きが気になる!」と思っていただけましたら【作品のフォロー】や【★で称える】でのご協力を、何卒、よろしくお願いいたします。



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