第28話 伝説の魔道具師、魔剣を打ち直す。
「フィオナ、この魔剣ヴォルグを、俺に打ち直させてはくれないか?」
「もちろんオッケーだよ♪ おじちゃん!!」
俺の申し出を、フィオナが快く快諾するなか、イザベラが話に加わる。
「ゲオルク殿、わらわからもお願い致しますわ。我が、ローゼンクロイツ家の工房をお使いください」
「感謝する」
俺たちは、マシュー卿の邸宅を出ると、ローゼンクロイツ家の工房に向かう。
「あれ? ミエルもついてくるの?」
「もちろんです。わたくしも、ゲオルク様の仕事に興味がありますもの」
歩いて数分、ローゼンクロイツ家の工房に到着する。
施設に入るなり、俺は、ローゼンクロイツ工房の素晴らしい設備に感動した。
「すごいな! こんなにも設備が充実した工房は初めてだ!!」
俺の言葉に、イザベラは縦ロールの髪をシャランとなびかせて、ほどよい胸を張る。
「おっほっほ! 我がローゼンクロイツ家の錬金技術は世界一ィィィ! ですのよ!! さあゲオルク殿、存分に腕をふるってくださいまし!!」
「ありがとう、イザベラ嬢、恩に着る」
俺はさっそく、魔鉱炉に魔剣ヴォルグを入れて銀のコーティングを溶かすと、さらに温度を上げ、鋼を打ち直す。
素晴らしい仕上がりだ。魔鉱炉の温度が安定しているから、最適の火入れが出来た。
だが、ここからが本番だ。鋼が冷え固まらないうちに、ノミと木槌で慎重に『
「よし、これで完成だ!! フィオナ持ってみてくれ」
「うん!」
俺は、フィオナに魔剣ヴォルグを手渡す。
「え? なにこれ?? 力が漲ってくる!!」
フィオナが、魔剣ヴォルグを手に持った途端、魔剣ヴォルグがまばゆい光を放った。
「よし、成功だな」
「な、なんですのこれ? なんだか息苦しくなってきましたの」
「この光……わたくしの聖なる光に少し似ている気がします」
心なしか苦悶の表情を浮かべるイザベラの横で、ミエルが冷静な感想を述べている。
「これが、魔剣ヴォルグの真の姿さ。誤りなく『
それにしても、この輝きは俺の想定を遥かに上回っている。なぜだ?
俺は懐から『魔凝のメガネ』をとりだしてフィオナを見た。すると、
「な、なんだこの異常な魔力は!! フィオナ、君は一体どれだけの魔物を倒してきたんだい?」
「別に、大したことないよ。ウィステリア渓谷のドラゴンでしょ。あと、黒の山脈で通行人を襲っていたワイバーンと、北の海峡で交易船を悩ませていたサーペント。手強かったのは、それくらいかな?」
「おいおい!!? どれもこれも伝説級のモンスターじゃないか!!」
俺は、フィオナの口からサラリと語られた戦歴に戦慄する。
「その剣は、傷をつけた敵の魔力を吸い取って、持ち主に還元する呪印が施されてある。倒したモンスターが強ければ強いほど、持ち主の生命力と回復力が上昇していくんだ」
「なるほど! これで得心が行きましたわ!!」
イザベラが拳をうつ。
「わらわは、フィオナの無尽蔵なスタミナと脅威的な回復力が、ずっと疑問でしたの。それらは全て『魔剣ヴォルグ』の呪印の効果でしたのね!!」
イザベラの言葉にミエルがつづく。
「そして今、『魔剣ヴォルグ』は、ゲオルク様の手によって本当の力に目覚めました。わたくしたちは、最強の勇者誕生の瞬間を目の当たりにしているのですね」
「あはは♪ ミエルったら、大袈裟だなー♪」
フィオナは、ミエルの言葉を軽口で受け流す。
だが、俺たちは確かに見たのだ。のちに数千年と語り継がれていく、母なる大陸最強の勇者、日出づる騎士フィオナ・ベルトイン誕生の瞬間を。
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