第14話 3人の英雄と3つの魔道武具。
「ボクは、世界で一番ゲオルクおじちゃんが好きなんだ!!」
「いいえ、世界で一番ゲオルク様を愛しているには、このわたくし、ミエル・マシューですわ!!」
目の前で繰り広げられる英雄ふたりの痴話ケンカに、イザベラは、しばし呆然とするも、ふたりが忘れてしまっている重大な事実を助言する。
「おふたりとも、銀狼のルルを追わなくていいのですか??」
「あ!?」
「そ、そうでしたわ……」
未来の旦那様の情報をもつ少女を、このままみすみす逃すわけにはいかない。
フィオナとミエルは大急ぎで闘技場の控え室へと向かい、その後ろを「やれやれですわ……」とつぶやきながらイザベラがつづく。
フィオナとミエルは、帰り支度を始めているルルを発見すると、開口一番、宣戦布告をする。
「ゲオルクおじちゃんは、ボクと結婚するんだから!!」
「いいえ、ゲオルク様の許嫁はわたくしですわ!!」
「……………………………………あなたたち、だれなの?」
フィオナとミエルのいきなりの発言に、ルルは困惑する。
イザベラは「やれやれですわ……」と首をふると話に割って入った。
「銀狼のルルさん。武闘大会、優勝おめでとうございます。見事な戦いでしたわ」
「……ありがと……なの」
「わたくしたち三人も、さきほどの試合を拝見しておりましたの。そこでお聞きしたいのですが、あなたが希望した、ゲオルク・バウエル殿を探し出したいという望みについて、詳しく教えていただくことはできますかしら」
「ゲオルクおじさまは、アタシの恩人。目が見えなかったアタシに、このメガネで光を与えてくれたの」
ルルが目深にかぶっていた銀狼の毛皮をはずしてメガネをかけた素顔をあらわにすると、ミエルが驚きの声をあげる。
「そのメガネ、もしや『魔凝のメガネ』ですか!?」
「……どうしてあなたが『魔凝のメガネ』を知っているの??」
「わたくしは8歳のころ、原因不明の病魔に犯されましたの。その原因を、ルルさんのかけている『魔凝のメガネ』でつきとめてくださったのが、他でもないゲオルク様なのです。ゲオルク様は、わたくしの衰弱の原因を、魔力を体内に留めることができないためと特定し、魔力を遮断する『魔断のローブ』を授けてくださったのです」
フィオナが驚嘆して、腰に下げた剣を抜く。
「そうなの!? ボクもゲオルクおじちゃんに、この『魔剣ヴォルク』をゆずってもらったんだ!! この剣がなければ、ボクは騎士団に入ることはおろか、剣術を学ぶことすらできなかった。ゲオルクおじちゃんは、ボクの恩人なんだ。いくら感謝しても、感謝しきれないよ!!」
「なるほど、これで話がつながりましたわ」
3人の言葉をだまって聞いていたイザベラは大きくうなずくと、話をまとめる。
「フィオナ、ミエルさん、ルルさんの3人は、ゲオルク殿が製作した魔道武具に、救っていただいた多大な恩義がある。その恩義に報いるために、ゲオルク殿に添い遂げたい。そういうことですわね?」
「モチロン!」
「おっしゃるとおりですわ」
「……あってるの」
フィオナ、ミエル、ルルが首肯するのを見て、イザベラは話をつづける。
「では、確認をしたいのですが、みなさんがゲオルク殿に、魔道武具を授かったのは、おいくつの時ですの?」
「ボクが『魔剣ヴォルグ』を譲ってもらったのは9歳の時だよ!」
「わたくしは、8歳のときと父に聞いておりますわ」
「……………………………………………………7歳」
3人の言葉を聞いて、イザベラは「やれやれですわ……」とかぶりをふる。
「ほんの小さな子供の頃ではありませんか……あなたがた、本当にゲオルク殿と、結婚の約束をしたのですか?」
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