第2話 お兄ちゃん、だーいすき♡

「よーし、じゃあ、今日の夕飯は私が作ってあげるね!」


「できるよ! 私、今日のために結構練習してきたし」


「えっ? あ……確かに。ちょっと冷蔵庫の中、確認してもいい?」


//SE 綾音が立ち上がり、冷蔵庫の扉を開く音


「なるほど……ここにあるのは、全部使っていいんだよね?」


「ありがとう! ちょっと朝ご飯っぽくなっちゃうかもしれないけど、頑張るね!」


「お兄ちゃんは待ってるだけでいいから。あっ、私とずっと一緒にいたい?」


「否定しなくてもいいのに。まあ、とにかく待ってて? 期待してていいから!」




//SE 卵を割る音

//SE 卵を混ぜる音


(少し離れているため、大きめの声で)

「お兄ちゃーん、卵焼き、甘いのと甘くないの、どっちが好き?」


「えー? 甘々な綾音が大好き?」


「ふふっ、お兄ちゃんは正直だなぁ」


(拗ねた声で)

「……ちょっと。リアクションしてってば。もー!」


「分かった。とびきり甘い卵焼き作っちゃうね! 私のお兄ちゃんへの愛くらい、甘々のにしてあげる!」


//SE 卵を焼く音





「はい、お待たせ」


//SE 夕食の乗ったお盆をテーブルにのせる音


「綾音ちゃん特製、焼き魚定食でーす。わーい! ぱちぱちぱちぱち」


//SE 拍手の音


「あっ、お兄ちゃんのはこっちね! 卵焼きが綺麗な方! お魚もこっちの方が大きいし」


「いいの。だって絶賛、お兄ちゃんの胃袋を掴んで、めろめろにしちゃおう大作戦決行中だから」


「ね? あったかいうちに一緒に食べよ?」


//SE パン、と手を合わせる音


「いただきまーす」


//SE 咀嚼音


「美味しい?」


(安心したように)

「よかったぁ」


「あっ、料理に自信がなかったとか、そういうわけじゃないからね!? 私としては最大限、美味しいものを提供したつもりだしっ……!」


「……うん。私、かなり料理の練習頑張ったの」


(少し照れたように)

「不器用なのに……って、覚えててくれたんだ」


「だって、お兄ちゃんのためだもん」


//SE 箸を置く音


「ねえ、お兄ちゃん。私、頑張ったからご褒美ほしいな」


「いいこいいこ、して?」


//SE 綾音が立ち上がり、近づいてくる音


(耳元で甘えるように)

「お願い、お兄ちゃん」


//SE 頭を撫でる音


「ふふ、幸せ……」


「大袈裟じゃないよ? 女の子は大好きな人に頭を撫でられるのが大好きなの!」


「なんでそんなにって……こーんなに好きにさせておいて、覚えてないんだ? お兄ちゃんってば、罪な男なんだから」


「でも、そういうところも好き。だって私が好きになったのは、自然体のお兄ちゃんだってことだもんね?」


(甘い声で)

「やっぱり、だぁいすき」


「ねっ、明日、一緒にお祭り行かない? 私、浴衣持ってきたの!」


「決まりね! 楽しみだなぁ」


//SE 咀嚼音

(少し続く)


「ごちそうさまでした!」


「後片付けはお兄ちゃんがやる? そんなのいいのに。私がやるよ?」


「じゃあ、間をとって一緒にやるってことで!」


「愛の共同作業だね?」


「あっ、だから無視禁止だってば! むぅ」


//SE 皿を運ぶ音

//SE 台所で皿を洗う音


「ねえ、お兄ちゃん」


「大好きな人と一緒に食べるご飯って、やっぱり美味しかったよ」


「なんでもないことも、好きな人と一緒なら幸せなんだろうね」


「……もしかして照れてる?」


(煽るような声で)

「わー、お兄ちゃん顔真っ赤。すぐ顔に出ちゃうんだぁ」


//SE 水音が止まる


「え? まさか本気で怒っちゃった? ご、ごめん、ごめんなさいお兄ちゃん」


(泣きそうな声で)

「もうからかうようなこと言わないから、許して……」


(嘘泣きをやめ、明るい声で)

「……ふふっ、なんちゃって」


「お兄ちゃんは相変わらず優しいね。昔も、私が泣いた時は、絶対傍にいてくれたもん」


「そういうところも、大好きなところの一つだよ?」


「そうだ!」


(耳元で)

「お皿洗い終わったら、一緒にお風呂入る?」


「……ケチ」


「後悔してもしらないからね? 後からやっぱり一緒に入りたいとか言ってきても……いやまあ、喜んで一緒に入るけど……」


「いいから先に入れ? そっかぁ。私に一番風呂、譲ってくれるんだ?」


(無邪気にはしゃいだ声で)

「ありがとお兄ちゃん、大好き!」

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