第7話 Kosmos Siblings (宇宙兄弟姉妹)

龍誠は、湘南の夜空を見上げていた。えもいわれぬ悲しみと、切なさの中にいる。

瞳が龍誠に寄り添うように静かに佇む。

少し離れて、小百合(さゆり)が同じく銀幕の夜空を眺めていた。

悲しみのときには、我が名を呼べ、そのときに宇宙の兄弟姉妹が助けに来るであろう。

龍誠は祈っていた。愛の神に祈っていた。

無数の星と銀河が散りばめられた夜空に、星ではないものが数千機現れた。

UAPフリートである。

龍誠も、宇宙の兄弟姉妹、そして両性の彼らすべてを認識しているわけではない。

ただ、一つ言えることは、龍誠の呼びかけに答えた Kosmos Siblings (宇宙兄弟姉妹)達は、地球を愛する高度に進化した知的生命体であるということだ。

Kosmos とは、ギリシャ語で宇宙という意味である。英語はCosmosと表記する。

Siblingsは、兄弟姉妹の意味である。

龍誠の過去世のなかに、宇宙文明ワンダラーとして転生してきた記憶が残っている。

地球人の中にも、一部、そのような人はいるようだ。横にいる瞳も小百合も、宇宙魂を持っている。

だから、危機の時に祈れば、助けに来てくれるのだ。

もうすぐ、この地球の現文明は終焉を迎えるのだ。

そのとき、聖書で説かれているノアの箱舟伝説の宇宙スケールが、これから起きようとしているのだ。

数千機のUAPのなかで、中心付近にいた全長888メートル幅222メートルの母艦が

龍誠と瞳と小百合の三人に、牽引ビーム光線を照射している。

三人は、ゆっくりと無音で美しく優雅にUAP母艦に吸い込まれていった。

この宇宙の箱舟に乗れる条件は、心が清い人、純粋な神仏への信仰心をもっている人達である。


つづく


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