魔力喪失した私達は異世界でモフモフを愛でます!〜二十代、研究女子と飛び級才女の異世界ライフ〜
チン・コロッテ@トーキョー
第1話 千年を迎える日
フランソワ歴999年。
私の住む魔法都市ハイゼンは栄華を極めてきた。魔法で浮く空中建築物に、七色に輝く炎の照明、それらの間を蛍のように行き来する箒に乗った魔法使い。
何故かいつも花火が上がり、いつも騒がしくて楽し気だった。
そんな街で私フェルメール・アウター(愛称:フェルン)はルノワール魔法大学院で研究員として勤めていた。
「ねぇ、フェルン。ねぇってば!」
「ふぁっ?!あぁ、リリアン。どうしたの大声出して」
「いや……あんたが反応しないから大声になったんでしょうが」
同じ研究室のリリアン・エンドラゴンは呆れ顔で、ため息をついた。私はリリアンに微笑んで謝った。
「ごめんごめん。ついこの研究に没頭しちゃって
」
「まったく……あんたいっつもそうね。たまには息抜きでもしたら?そんなに研究だけしてて苦しくない?」
「うーん。特にそんなことないかな」
リリアンは降参といった具合に手を挙げて、ふふっと微笑んだ。
「やれやれフェルンらしいわね。ねぇ、ちょうど昨日、昔学会で会ったカンツォーさんから、フェルンに会いたいって、サウザンド・カウントダウンイベントのお誘い受けたけど、どうかしら?」
「カンツォーさん……?」
私は首を傾げた。誰だろう?良い研究をしている人の名前は覚えているはずなんだけど……。
リリアンは首を振った。
「本当にあんたは男っ気がないのね。学会のアイドルよ。老若女女が彼の発表に集まっていたってのに」
「ふーん」
私が興味がないので適当に相槌を打つと、リリアンは悪戯な笑顔を浮かべて私に顔を近づけた。
「ねぇ、今フェルンが思ったこと当ててあげようか?」
「なに?」と私も興味を示す。すると、リリアンはこう言った。
「『きっと大した内容じゃなかったのよ。私、研究以外興味ないから』でしょ?」
私は思わず笑った。
「……正解!」
リリアンも声をあげて笑った。
「あははは!もう、フェルンは本当に分かりやすいわね!なら、私もやめとこっと。フェルンがいないならつまらないし」
そう言ってリリアンは空中に文字を描くと、それにふうっと息をかけて、蝶にしてカンツォーの元に飛ばした。
私たちは、もう夜だっていうのに、それから時間を忘れてずっと「あーでもない」「こうでもない」と話をしながら研究を続けた。
リリアンは飛び級で来た優等生で私よりも歳下だけど、とっても気が合う。私はリリアンのツンツンした性格が可愛くなって、ついついいつも頭を撫でてしまう。だけれど、リリアンは照れながらいつも手を払いのけて、「子供扱いしないで」と頬を膨らませた。
私たち二人はこれからもずっとこの街でこうなんだと思っていた。
しかし数日後、ある出来事をきっかけに、私は見ず知らずの森林の中に転移し、そこでスローライフはスタートすることになった。
***———作者コメント———***
ここまでお読みいただきありがとうございました!
もし、少しでも二人を気に入ってくれたり、続きが読みたいと思ってくださいましたら、☆や♡、ブックマークで応援いただけると幸いです!
ギャグ多めの山なし谷なしのゆるーい話になる予定です。なるべく心が疲れた時に読める作品を目指します。モフモフに会うのはもう少し後になります!もう少々二人のキャラの掛け合いにお付き合いください。
今後もよろしくお願いします!
***———サイドストーリー———***
リリ「ところで何をそんな熱心に見てたのよ?」
フェ「うんとね、怪我が回復魔法で治っていく過程。ほら見て。すごくない!?こうやってブクブクッて細胞が盛り上がっていくの!」
そう言ってフェルンは自分の手のわざとつけた傷をリリアンの目の前にこれでもかってほど近付けた。
リリ「ぎゃーーっ!!何やってんのよアンタ!!早く治しなさいよ!回復魔法〈
フェ「ぎゃーー!何してんのよリリアン!!私の実験がぁーーー!」
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