ストーカー


 女子大学生の栄子は、夕暮れの帰り道を自転車で走っていた。


 すると後ろから声をかけられた。


 「すみません、ハンカチ落としましたよ」


 振り返るとそこには若い男の人が立っていた。


 栄子は会釈をして、ハンカチを受け取り、家に帰った。


 翌日、栄子は勉強をするために図書館に来ていた。


 「今日はこの本を読みながら勉強しよ」


 栄子は勉強の合間にに本を読むのにハマっていた。


 栄子が本を読んでいると肩を軽く叩かれた。


 振り返るとそこには昨日の男がいた。


 「あなたは昨日の…」


 栄子は思わず声が出る。


 「よくこの図書館に来るんですか?」


 男は気味の悪い笑みを浮かべる。


 「あ!もうこんな時間帰らなきゃ」


 栄子はそう言いうと荷物をまとめて急いで図書館から出た。


 その日の夜、栄子はコンビニのバイトをしていた。


 「いらっしゃいませ~」


 栄子が客を見るとあの男だった。


 (え?偶然じゃないよね、もしかしてストーカー?)


 栄子は恐怖を感じながらも接客をする。


 男は商品を買うと何も言わずに店から出て行った。


 休憩時間。


 「帰るの怖いなー」


 栄子がぼそっと呟くとバイトの先輩の圭太さんが話しかけてきた。


 「どうしたの栄子ちゃん」


 「私の勘違いかもしれないんですけど、もしかしたら私ストーカーされてるかもしれないんです」


 「なら俺が家まで送ってあげようか?」


 「迷惑じゃないですか?」


 「大丈夫だよ」


 栄子は圭太さんに車で家まで送ってもらうことにした。


 (圭太さんってチャラい人だと思ってたけど意外といい人かも)


 車が住宅街に入ると、圭太が窓の外を見てつぶやいた。


 「家の前に誰か立ってるけど、あれお兄さん?」


 圭太がそう言うと栄子は怯た顔をしていた。


 「えっ嘘なんで私の家知ってるの」


 「もしかしてあれがさっき言ってたストーカー?」 

 栄子はうなずくと圭太はドアを開けて外に出る。


 「おいお前!栄子ちゃんにつきまとうな」


  男は慌てながら去っていった。


 「圭太さんありがとうございます」


 「またなんかあったら言ってね」


 そう言うと圭太は車を走らせて帰っていった。


 


 どこかの路地裏。


 あの男と圭太が何かを話していた。


 「言われた通りにしてやったぞ」


 「よくやった報酬の金だ」


 圭太は財布からお札を取り出し男に渡す。


 「これで栄子も俺に惚れただろ」

         

 END

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