第36話 そして、生産者は今日も創り続ける
アークスとの「ゆるふわ総力戦」と、ティナとの感動の再会から、数週間が経ったんや。
『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も王都上空をゆったりと移動しとる。その巨大な船体は、王都の空に浮かぶ新しいランドマークみたいやな。
ミオの工房には、再び平穏な日常が戻ってきたわ。
(うわぁ、やっぱ平和が一番やなぁ!これこれ、うちが求めてた引きこもりライフやで!)
ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。ひんやりとした感触が、手のひらに心地ええ。
アークスは、ミオの工房の技術顧問(お菓子食べ放題!)として、工房で「生産」を手伝うことになったんや。
最初は「こんな生ぬるい生産など!」って反発しとったけど、ミオが作る美味しいお菓子には勝てへんかったみたいやな。特に『魔力たっぷりロールケーキ』がお気に入りらしいわ。
資材スライムたちが、アークスの周りを嬉しそうに飛び跳ね、彼が破壊しようとしたものをモグモグ片付ける。
アークスは、資材スライムたちに振り回され、どこか生き生きとしとる。以前の冷たい表情は薄れ、時折、困惑しながらも、どこか楽しそうな顔を見せる。
「ぐぬぬ……甘い!甘すぎるぞ、だがそのお菓子は最高に甘い!」
アークスのセリフも、もうすっかり工房のBGMみたいになってたわ。彼がそう言うたびに、資材スライムたちが「ぷるる~♪」と嬉しそうに跳ねるんや。
世界は、ミオの生産技術によって、新たな時代を迎えたんや。
ミオの工房は、もはや単なる工房ではなく、世界の中心として、技術と文化の交流拠点となっとる。
『生産者連合』も、世界中の生産者たちが協力し合い、平和を守るための活動を続けている。定期的にフロンティア号の会議室で会合を開き、ミオが提供する新たな技術を共有しとる。
ライオスたちは「暁の剣」として世界の平和をゆるやかに守る英雄に。彼らはフロンティア号で世界各地を飛び回り、ミオのパンと武器で困っている人々を助けている。
シエラは「美味しいもの情報ギルド」を設立し、世界中の美味しいものを探しとる。彼女の報告書は、ミオの新しいお菓子のヒントになったりするんや。
フィオナは世界中の病人にお菓子を配る活動に尽力しとる。彼女が配るお菓子は、ミオの作ったものやから、食べた人はみんな笑顔になるんや。
アルフレッド王子、リリアーナ王女、ルナリア姫も、それぞれの立場で新生の世界をゆるやかに導いている。彼らは、定期的に工房を訪れては、ミオの作る料理やお菓子を楽しんでくれる。
ミオの能力の代償である眠気は、もはや恐怖やのうて、最高の昼寝タイムとなり、新たな創造のインスピレーションの源となっとる。
眠気の中に、世界の記憶や未来のビジョンが浮かび上がり、資材スライムたちが夢の中のミオの周りで、そのビジョンを具現化するように踊っている。
(うわぁ、こんなに気持ちええ昼寝、前世では絶対無理やったやろなぁ……)
夢の中で、ミオは新しい魔道具の設計図や、見たこともない珍しい素材の組み合わせを思いつく。
そんな平和な日常の中で、世界にはまだ解決すべき「ちょっとした」問題や、ミオの「究極の生産」が求められる場所がたくさんあったんや。
世界各地からの新たな依頼が、工房に届く。
「ミオ様!もっと美味しいパンを!我が国の特産品として!」「自動で洗濯してくれる服を開発してくだされ!貴族の館の洗濯担当が困っております!」
未発見の素材の報告も、毎日届く。その中には、資材スライムたちが「ぷるる~!これ、美味しいぷる!」と喜ぶような、珍しい素材もあったんや。
そして、「次なる転生者の噂(なんだか面白いやつらしい)」なんて話も、たまに耳にするようになった。もしかしたら、アークスはん以外にも、転生者がおるんかもしれへんな。
ミオは、工房で、相変わらずものづくりに勤しむ。
彼女の生産は、もはや単なる便利品作りではない。世界の未来をゆるやかに創造する行為へと昇華されているんや。
(必要かどうかちゃうねん。作りたいから作る。それがうちのロマンやねん!この世界、うちの創造力でどこまで面白うなるやろ!?)
ミオは、にっこり笑いながら、新しい魔道具の設計図を広げていた。その瞳には、尽きることのない好奇心が輝いている。
工房の片隅では、資材スライムたちが、ミオの作ったアイテムを使って、楽しそうに遊んでいる。
例えば、魔法電子レンジで温めたクッキーを、魔法水洗トイレで冷やそうとして、ミオに怒られたり。
その傍らには、ミオの技術を受け継ぎたいと願う、アルティ村からやってきた少年(ティナの弟のリュウや)の姿があった。
リュウは、ミオが昔使っていた『
資材スライムが、リュウの周りで嬉しそうに遊び、素材を提供している。リュウが土を掘ると、緑色のスライムが「ぷるぷる!」と珍しい根っこを吐き出し、リュウは目を丸くする。
リュウが持つ粗末な木製の農具の柄は、かつてミオが初めて作った『
リュウがその農具に触れた時、ミオの能力の代償「眠気」が変質して残した、彼女の記憶や創造の“微かな光”を感じ取る。
「この鍬、なんだか温かい……そして、とっても美味しい匂いがする!」
リュウがそう呟くと、資材スライムたちが「ぷるる~♪」と嬉しそうに跳ねた。
遠くの空には、ミオの工房の技術が応用された「空中都市」の影が見える。それは、王都のビル群よりも遥かに高く、優雅に浮かんでいた。
ミオの物語は、どこまでも続いていく。
ミオは、今日も夢の中で、未来の美味しいお菓子のレシピを創造している。
物語は、ゆるやかに続く。
---
次回予告
世界の外側から、まさかの来訪者が!?
うちの工房に、世界の理を司るという「上位存在」が現れるんやろか!?
資材スライムはんたちは、そんなすごい存在にも懐くんやろか!?
そして、世界の真実が、ついに明らかになるんやろ!?
次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?
第37話 世界の外側からの声?いや、ただのご挨拶
お楽しみに!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます