第22話 王国の平和とミオのお節介
『忘れ去られた遺跡』での冒険と『影のギルド』のサクッと壊滅から、数週間が経ったんや。
『生産型移動要塞『フロンティア号』』での旅は、今日も快適そのものやったわ。
フロンティア号は、王都の空をゆったりと移動し、時には辺境の小さな村を訪れて、ミオの作る『奇跡の野菜』を分け与えたりもしたんや。
ミオの工房は、文字通り「動く楽園」や。
船内では、資材スライムたちが「ぷるぷる~♪」と楽しそうに跳ね回り、新しい素材を見つけては、モグモグと食べている。
(あー、平和やなぁ。これがうちの求めてた引きこもりライフやで!)
ミオは、ふかふかソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。
(あかん、このままやったら、永遠に寝てしまいそうや……!)
あまりの心地よさに、ミオはほんの少しだけ睡魔と戦いながら、うつらうつらしていた。
そんな平穏な日々に、ちょっとだけ不穏な空気が忍び寄ってきたんや。
フロンティア号に、王都から緊急の連絡が入ったんや。
通信用の魔導具から、アルフレッド王子の苦しげな顔が映し出された。
「ミオ殿!どうか、この危機を救ってはくれぬか!」
王子の声は、どこか切羽詰まっている。
隣国「ソルベリア王国」との関係が、急激に悪化しているらしい。
国境では小競り合いが頻発し、一触即発の状態やて。
「ソルベリア王国も、我がグランベルク王国も、長年の干ばつと食料不足で疲弊している。互いに資源を奪い合おうとして……このままでは、大規模な戦争になりかねない!」
王子の声には、深い悲しみが滲んどる。彼の瞳は、絶望の色に染まっているかのようだ。
(えぇ~!?戦争!?それはちょっと、面倒事が過ぎるんちゃうん!?)
ミオは、目を丸くして、困惑した。
(うち、引きこもりたいだけやのに、なんで世界の平和まで背負わなあかんの!?これ、前世でよく見た、世界の命運を賭けた戦いってやつやん!めんどくさ!)
深く悩むことはあらへん。サクッと解決策を思いつくのがうちの流儀や。
「じゃあ、食料問題と、資源不足を解決したら、戦争にならへんのやろ?」
ミオが首を傾げると、ライオスたちが呆れた顔で頷いた。
「理論上はそうだが、それができれば苦労はない!両国は互いに譲らず、和平交渉も決裂した!」
ライオスが、悔しそうに言う。
シエラは、腕を組みながら冷静に分析する。
「ソルベリア王国は、元々軍事力に秀でた国。資源さえあれば、いつでも攻め込んでくる準備があるはずだ」
フィオナは、心配そうにミオの顔を見つめていた。
「ミオさん……戦争なんて、嫌ですよね……」
「ほな、簡単やん!」
ミオは、にっこり笑うと、資材スライムたちに指示を出した。
「スライムはん、ソルベリア王国でも作れるような、超効率のええ農具の材料、モグモグして探しといてな!あと、日持ちする美味しい保存食も!」
資材スライムたちは、「ぷるぷる~っ!」と元気よく返事をして、フロンティア号の資材庫から素材を探し始める。彼らは、ミオの言葉を正確に理解しているかのようだ。
ミオは、フロンティア号の広い工房で、生産に取り掛かった。
まずは、どこでも作れる『超効率農具』。これは、少ない労力で、どんな痩せた土地でも作物を育てられる優れものや。魔力を込めると、鍬が勝手に土を耕し、種を蒔く。
次に、栄養満点で日持ちする『魔法の保存食』。これがあれば、飢饉の心配もあらへん。パンは外はカリッと、中は雲みたいにふわふわ。一口食べると、力が湧いてくる。
そして、枯渇しつつある魔力資源を効率的に再生する『魔力循環ポッド』。これは、魔力の薄い土地でも設置するだけで、周囲の魔力を凝縮し、再生させる優れものやった。
ミオは、これらの生産物を、フロンティア号に乗って、グランベルク王国とソルベリア王国の双方に供給した。
フロンティア号が国境を越え、ソルベリア王国の上空に現れた時には、ソルベリア王国の兵士たちが警戒し、ミオの能力を危険視した。
「な、なんだあの巨大な船は!?グランベルクの新型兵器か!?」
だが、ミオが生産物を届け、その効果を説明すると、彼らの態度は一変した。
最初は、両国の関係者は不審がったが、ミオの生産物がもたらす効果は絶大やった。
『超効率農具』を使えば、荒れた土地でもみるみるうちに作物が育ち、食料不足はあっという間に解消された。畑から、黄金色の麦が波打つように広がる。
『魔法の保存食』は、兵士たちの士気を高め、飢えの心配なく訓練に励むことができるようになった。兵士たちは、パンを頬張りながら、互いに笑顔を見せ合った。
『魔力循環ポッド』は、枯渇寸前だった魔力資源を、効率的に再生させていく。荒れ果てた大地に、再び緑が戻り始める。
ソルベリア王国の指導者たちも、ミオの生産物を見て驚愕した。
「な、なんという奇跡……!これがあれば、我々はグランベルク王国と争う必要などないではないか!」
両国の関係は、急速に改善されたんや。
戦争は、ミオのチート生産能力と、お節介な性格のおかげで、あっさり回避された。
アルフレッド王子は、安堵の息を漏らし、ミオに深く頭を下げた。
「やれやれ、これで一安心やな」
ミオは、ふかふかソファで資材スライムをモフモフしながらため息をついた。
資材スライムたちが、平和の象徴のように、各国の代表の間でコロコロ転がっている。
彼らが、平和になった両国の美味しいご当地素材をモグモグと食べている姿は、どこか微笑ましかったわ。
王国の平和は、ミオのお節介によって守られたんやな。
(ふぅ、これでしばらくは、ゆっくり引きこもれるかなぁ……って、あれ?また新しい依頼が……)
ミオの工房には、新たな平和な日々が訪れるはずやった。
やけど、ミオのチート生産能力は、この世界をまだまだ大きく変えていくことになるんや。
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次回予告
王都の工房に、またまた新たな仲間が集まってくるで!?
エルフの学者エリアスはん、ドワーフの熟練職人ゴルムはんも大活躍!?
うちのチート生産と、みんなの知恵と技が融合して、何が生まれるんやろか!?
そして、資材スライムはんたちは、どんな新しい芸を見せるんやろ!?
次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?
第23話 新たな仲間と絆の深化
お楽しみに!
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