第16話 希少素材の探索とエルフ学者の誘い

超巨大な移動要塞『フロンティア号』の建設が始まって、数週間が経ったんや。

「風薫る丘」は、もう工事現場みたいになってたわ。

ミオの工房を中心に、資材スライムたちが重機みたいに動き回り、巨大な鉄骨や木材が、まるで積み木のように組み上がっていく。

「ぷるぷる~っ!」

スライムたちの可愛らしい声が、建設現場に響き渡る。

ドワーフのゴルムはんも、毎日工房に来ては、資材スライムの働く姿に目を輝かせとる。

「なんじゃと!?この資材スライムとやら、儂の鍛冶場より効率的じゃと!?ぐぬぬ……」

頭を抱えるゴルムはんの横で、銀色のスライムが「ぷるぷる♪」と精錬済みの鉄インゴットをポロンと出してやった。

「あ、助かるわぁ」

ミオは、そんな光景を眺めながら、図面と睨めっこや。


『フロンティア号』の動力源である「エーテルコア」の生成には、特殊な希少素材が必要やった。

「蒼鉄晶」は確保できたんやけど、「エルダーウッド」が足りひんねん。

エルダーウッドは、魔力・神秘が凝縮された素材で、王国のどこにでもあるわけやない。

「エルダーウッドは、『妖精の森』にしか自生してへんねん。でも、そこってめっちゃ危険らしいで?」

ライオスが、冒険者ギルドで得た情報を持ってきた。

「妖精の森には、Aランクの魔物も出るって話や。それに、森の奥は迷いやすいって有名やからな」

シエラも、地図を広げながら真剣な顔で言う。

フィオナは、ミオの顔を心配そうに見つめる。

「ミオさん、無理はしないでくださいね。危険な場所には、私たちが行きますから」

ミオは、首を傾げた。

(無理?何のことやろ?)

「いやいや、無理なんかせえへんで?うち、引きこもりたいからな。それに、最高のフロンティア号を作るためやったら、最高の素材を自分で行って手に入れたいんや。ロマンやん?」

ミオは、にっこり笑う。

「せやから、みんな、ついてきてな!」


こうして、ミオと「暁の剣」パーティ、そしてルナリア姫とリリアーナ王女(お忍びで)、ゴルムはん、資材スライムたちという、異色の素材探索隊が結成されたんや。

向かうは、王国の秘境、「妖精の森」。


妖精の森は、足を踏み入れた瞬間から、空気が変わる。

木々は背が高く、陽光がほとんど届かない。

地面には、見たこともないような鮮やかな色のキノコや、発光する苔が生えている。

どこからか、優しい歌声のようなものが聞こえてくる。

(うわぁ、めっちゃ幻想的やん!これ、絶対、妖精さんとかおるやつやろ!)

ミオは、目を輝かせながら周囲を見回す。

資材スライムたちも、森の珍しい素材に目を輝かせている。

緑色のスライムが、珍しい樹木を「ぷるる~♪」と嬉しそうにかじり始める。

「あ、スライムはん!それ、エルダーウッドとちゃうからな!」

ミオが慌てて止める。


森の奥へ進んでいくと、景色はさらに神秘的になる。

巨大な樹々が連なり、その間を、光る蝶が舞っている。

突然、資材スライム(フルーツ好き)が「ぷるぷる~っ!」とミオを呼んだ。

行ってみると、そこには、10mはありそうな魔力・神秘が凝縮された巨大な苺が、木からぶら下がっとる。

『巨神樹の苺』や。魔力的な輝きを放ち、辺りに甘い香りを漂わせている。

ライオスたちが警戒する中、ミオは目を輝かせた。

「うわぁ!めっちゃデカい苺やん!これ、パフェにしたら最高やろなぁ!」


ミオは、持ち前のチート能力で『超圧縮スライサー』をクラフトし、サクッと苺を切り分ける。

巨大な断面から、透明な蜜がとろりと流れ落ちる。

辺りには、甘い霧が広がり、森中の小動物がうっとりした表情で集まってくる。

ミオは、その場で巨大苺を使ったパフェを生産した。

資材スライムたちが、ホイップクリームをぷるぷる作ってデコレーションする。

(一口サイズにしたつもりが、普通の皿に収まらへんやん……まあ、これもご愛嬌やな!)

王族も魔族もドワーフもエルフも、みんなでパフェを頬張る。

「なにこのパフェ…世界を支配できそう」

ルナリア姫が恍惚とした表情で呟く。

「もうこの国は、ミオのデザートに支配されてるようなものだな…」

アルフレッド王子も、呆れたように笑う。

ゴルムは「儂の髭が震える味じゃ…!」と感動し、リリアーナ王女も「こんな甘いものは初めてです!」と目を輝かせた。

森中の小動物までが、ミオのパフェに夢中やったわ。


飯テロの後、さらに森の奥へと進む。

エルダーウッドを探していると、一行は古びた遺跡の入り口にたどり着いた。

遺跡の入口は、ツタに覆われ、長い間誰も足を踏み入れていないことがわかる。

(ここが、プロットで見た『忘れ去られた遺跡』か……)

ミオが、遺跡の入口を見上げていると、突然、遺跡の中から微かな魔力の気配がした。

「ほう、これは古代の叡智の匂いじゃな……」

ゴルムが、興奮した様子で遺跡を見つめる。

その時、遺跡の陰から、一人の男が現れた。

長く伸びた銀髪に、知的な雰囲気を漂わせる。

エルフや。

「まさか、この忘れ去られた遺跡に、人がいるとは……」

エルフの男は、驚いたように私たちを見つめた。

彼こそが、エルフの学者、エリアスやったんや。

この出会いが、ミオの能力の秘密を解き明かす、新たな扉を開くことになるとは、まだ誰も知る由もなかったんやな。


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次回予告


エルフの学者エリアスとの出会いで、古代の謎が明らかに!?

フロンティア号の建設に必要な希少素材、「エルダーウッド」は手に入るんやろか!?

そして、王族も魔族も巻き込む、超巨大移動要塞の計画は、どうなるんやろ!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第17話 対立する勢力と技術の応用


お楽しみに!

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