第30話〜レイさんとテナガザル〜
タンク兼重撃アタッカーとなる為に両手剣を買いにドッグランナーのレイさんと共に鎚持つテナガザルへと向かう···向かっているのだが
「ジー···」
なんか凄い視線が突き刺さる、クルクルと俺の周りを回るレイさん、後ろから背中を見ていたと思ったら正面に回って顔を覗き込んでくる
「ふむふむ···」
「···何がふむふむなんで?」
「いやぁ、スイマセンっすスカウトという役職柄観察力はとても大事でして、ルビーの事は信頼してるけど一応アタシの方でも観察してるんすよ」
「観察して分かった事は?」
「まず、サハラさんは斧使いっす、それもかなり上澄みの、後背筋の引き締まり方や両腕の太い中にもあるしなやかさ的なサムシングで得られた観察結果っす」
「ふむふむ」
「で、サハラさんの今日の朝ご飯はコッコ屋の串焼きっすね、微かに香る炭火の香りとコッコの油の匂いから気付きました、コッコ屋さんの串焼き美味しいっすもんね、個人的にはレバーなんか好みっす」
「レバーか、結構シブいね」
「ふふん、レバーの滑らかな舌触りは一度食べたらやみつきっす」
俺レバー苦手なんだけどね
「っと、話してる間に到着したっすね」
と、鎚持つテナガザルの目の前に辿り着く
「では、またあとで合流しましょう」
シュタッと手を挙げ鍛冶屋に入っていくレイさん、その後を追うように自分も入る
「はい、いらっしゃいませニャー」
と、出迎えてくれたのは初来店時とは違う猫獣人···二足歩行の猫の様相してるから雌雄がわからん···
「おや?この間斧の手入れ道具を買っていった冒険者じゃにゃいか、もう使いきったんにゃ?」
「あ、いえ、今回は両手剣を買いに来たんです」
「にゃ?武器コンバートにゃ?」
「ええ、まあ、パーティに所属する事になって求められた役職がタンク兼重撃アタッカーなんで」
「ふむふむ、にゃらばとりあえず冒険者証を貸してくれにゃ」
と言われたので冒険者証を渡す
「武器コンバートと簡単に言っても武器適正がにゃいとかにゃり難しいにゃ」
ポチポチと魔道具を肉球で器用に操作する猫獣人さん
「ああ、ニャーのことはシチズンとでも呼んでくれにゃ」
と、こちらの様子に気付いたシチズンさんが声をかけてきた
「ふむふむ、にゃんだお前さん全武器適正にゃんだにゃ、これにゃら問題にゃく武器コンバート出来るにゃ、所でお前さんタンクやるって言ってるけどタンク技能はもってるんにゃ?」
「あー、それはパーティのメンバーに【ヘイトスラッシュ】を教えてもらおうかと」
「ふむ、ヘイトスラッシュ、でもヘイトスラッシュはあれ回避タンク向けの技にゃ、お前さんのやる重撃タンクには向かないにゃ」
「え、そうなんですか」
「そうなんにゃ、ちょっと待ってるにゃ」
と、トコトコと店の奥に引っ込んでいったシチズンさん
「アレ何処だったけにゃー、重撃タンク向けの【ヘイトスマッシュ】の指南書」
「それならあの棚の上にゃ、シチズン届くにゃ?」
「棚の上、棚の上、ああ、あったにゃ···脚立脚立···」
「脚立は今出払ってるにゃ」
「にゃんだと!?」
「あ、この棚の上の本?これとれば良いの?」
「お、渡りに船にゃ、頼むにゃトラシュカ」
「はいはい、よっ、とはい、これねシチズンさん」
「うむ、ありがとにゃ」
と、店の奥での会話を聞いていたらシチズンさんが店の奥から出てきた、小さい身体に似つかわしくない無骨な両手剣と指南書を持って
「待たせたにゃ、お求めのビギナーディフェンダーにゃ、ディフェンダーの名の通りタンク向けの両手剣の初心者用にゃ、こっからお前さん好みに調整してくからそうだにゃ···クエスト3回行ったら調整に来てくれにゃ、んで、これはオマケの【ヘイトスマッシュ】の指南書にゃこれが重撃タンク向けの技にゃからしっかり覚えて仲間を護るんにゃよ、金額は銀貨1枚にゃ」
「銀貨1枚···はい、どうぞ」
「うむ、OKにゃ」
【ビギナーディフェンダー】
【刀身が丸みを帯びた両手剣、盾としても機能する様に作られている為重撃タンクの入門用武器、元々盾として作られていたがとある冒険者の無茶な依頼により両手剣となった···とされるちょっと曰く付きの武器】
【初期状態なのでまだ万人向け、こっから様々な調整を施していき自分専用の両手剣に仕上げていく】
「おっと、冒険者証返すにゃ、頑張るんにゃよツルギ」
「あれ?名前呼び?」
「んにゃ、アルペンのグレイと同郷にゃから混ざらない様ににゃ」
「なるほど」
「おーい!サハラさーん!」
と、手をブンブン振ってこちらに呼びかけてくるレイさん
「ほら、お連れさんも終わったらしいから早く行ってやるにゃ」
「はい、じゃあ、これからよろしくお願いします···で、いいのかな?」
「まあ、そうにゃね、ニャーが担当したから最後まで面倒見るのが筋にゃね、ならよろしくにゃ」
と、別れを言ってレイさんの元へ向かう
「英雄の素質持ちか···にゃにごとも起こらなければいいがにゃ···」
と、シチズンさんが呟いた言葉は耳には届かなかった
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