Tiger Lily

No.1 きみと朝の教室で


きみに手を取られる。暖かい____


今日は真冬並みの寒さとテレビの天気予報のお姉さんが言っていた。超がつくほど寒がりは私は、外に出る時は完全防備にプラスでカイロを常時2個持ち歩く。そうでもしないと、多分、だめになっちゃうかもしれない。 そんな事を思っているうちに家を出る時間が来てしまった。


「え、まっずい少し急がないと」


カイロ2個、手袋、マフラー、耳あて、帽子…その他もろもろの確認をして家を出た。

通学方法は自転車。急いでいるが、急ぎすぎると事故を起こしてしまうかもしれないのでそこには気をつけて、ペダルを足で力いっぱい押す。 やがて学校について、自転車の施錠をし、早足で教室に向かう。そっちの方が少しくらい温まる…はず。


私のクラス、2-Bの教室の前に着く。ゆっくりとドアを開ける、が、誰もいない。


(いつも通りか)


そう、私はいつも1番最初に教室に入る。この誰もいない無機質な感じの教室が好きだからって理由。 そそくさと自分の席につき常備しているカイロを両手に持って暖を取る。 ふぅー暖かい。 先生が来るまでヒーターを起動しちゃいけないとは鬼畜だと思う。


そんなことを思っていると 突然、ガラッとドアが開く。 いたのはいつも私の次に来る子。あぁこの子かって感じで気にしないでいた。


「おはよー!」

「あ、おはよう」


今日も元気だなって思った。元気なのはいいことだ。 その子も自分の席にコトっとスクールバッグを優しく置いた音が響くと足音が私の方に近づいてくる。


「ねー?」

「えっ、どうしたの?」

「いっつも寒そうにしてるから、これ!」


と言って自分の手を差し出してきた。 私が困惑していると


「せっかく暖かくしてきたのに〜冷めちゃうよ〜」

「そんなっ、急に言われても…」

「まあまあそういわずに…」


そうしてその子は私の両手を包み込んできた。たしかに暖かい。


「ねー、立って!」

「え?」

「いいから!」

「分かった…」


突然すぎる、意味がわからない。


「じゃあこのまま窓側に行こう」

「うん」

______

そうして窓側に言った瞬間、抱きしめられた。 本当に突然で、意味がわからない。


「急になにやって…」

「いいじゃん?」

「良くないよ、恋人同士じゃないし、女同士だし」

「女同士って理由で、抱き締めちゃいけないの?」

「それは…ないけど、でも…恋人同士でもないじゃん」

「これで体温まるならいいでしょ」


こうして私は抵抗できずに暖められた。


(恋人じゃないけど…なぁ…あと苦しい…)


これが私…川井 葵かわい あおいと、この子の…藤崎 侑愛ふじさき ゆあの高校2年生の冬限定の秘密の関係の始まりである。

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