チェアシティ編

第19話起き上がりの日とドリームルーム

街を守るためのあの戦いが終わって1週間。その間、僕はずっと寝たきりだったみたいだ。流石に初めての詠唱なのに、1日で2回もやるのは無茶しすぎたか…

ベッドから起き上がって歩こうとするも、少し歩きにくい。

「良太郎、病み上がりだからまだゆっくり休んどけ」

「ただ、冒険者だからあまりゆっくり休んでいる暇はないでしょ…?リハビリ位はしないと」

「それもそうやけど、今は休んどき!自分のこと優先!」


「それもそうか…」

そう考えるとまた眠くなってきた…

いつになったらまた4人で冒険できるかな、と考えながら眠りについた。


うーん…あれ?

気づけば僕はなんにもない真っ白な空間に居たみたいだ。

僕は確かに病院で寝ていたはずなんだけど…

「お目覚めのようだね良太郎」

!?

一体どこから?スピーカーのようなものも無いのに?しかも何故僕の名前を?

ただこの声、どこかで…!

「そう思うのも無理はない、俺はお前の父ちゃんだからね」

「…は?」

僕の父ちゃんは僕が小学生の頃に事故で亡くなったはずじゃ?

「女神かなんかにあの世界に呼ばれてきた訳だよ。あの世界では生きてる。それで今、俺は夢を通してヒントを教えにきたんだよ」

ヒント?それよりも…

「というか父ちゃんは何処に住んでいるんだ?直接あえないの?」

「それは…訳あって言えないね。」

多分、話せない状況か、口封じでもされているのだろうか。

「あの街に居る人が、日本に帰れる鍵になるだろう…あとは魔王を倒すことだ。健闘を祈っているよ、良太郎」

父ちゃ___


「…父ちゃん!」

どうやら、現実に戻ったみたいだ。

この街に日本に帰れる手掛かりが…?一体どこに…

「良太郎、どうかしましたか?」

「実は………ということがあったんだ。」


「良太郎の親父さんがここに居るけど、場所は教えられん…?」

「夢を通してヒントを…?」

「この街に良太郎が元いた世界に行ける鍵が…?」

「「「情報量多すぎやて!!/だろ!!/でしょ!!」」」

言いたいことは分かる。

でもなんで気絶してた時に夢に呼び出さなかったんだろうか。それもなにか理由がありそうだけど…

「佐藤良太郎さーん、リハビリ始まりますよー!」

…今は、やれることをひたすらにやるだけか。

忘れないうちにこの夢の内容メモしておこう。


そこからまた3日ほど経ち、退院した。

前ほどでは無いが、かなり楽に歩けるようになった。あとはバトルの練習くらい。

それよりも、約10日振りの我が家だ…!

「久しぶりのただいまー!」「おかえりー」

うーむ、やはり我が家は落ち着くものだ。

「そういえば、ポストの中身みました?」

そういや見てないな。というか君らは家に帰れたんだから、ポスト見なさいよ…


「ん?なんだこれ。『魔王軍撃退、魔王軍幹部シャローア討伐の表彰について』…?今日の正午にギルドで表彰があるのか」

「そういえばすっかり取るの忘れとったわ。そんなんあるんや?」

「ってかもうすぐ正午だから、早く行こうぜ!」

「あっ待ってー!私準備が…!」


何とか間に合った。走り方に少し違和感があったり、体力が前よりも低下していた…

「それでは、表彰を始めます。まず、魔王軍撃退に参加された冒険者各位には報酬として、200万マネーを与えます!」

「よっしゃー!」「しばらくはこれで遊んで暮らせるぜ!」「何に使おっかな〜♬」

相変わらず金には目がない人達だ…

まぁでも、この光景を見れるのも幸せものなんだろうな。あの戦闘で亡くなった人も多くいるし。


「そして、佐藤良太郎ご一行。あなた達は、魔王軍撃退の活躍に加え、魔王軍幹部、シャローア討伐は、あなた達居なくては成し遂げられませんでした。よって代表者として佐藤良太郎さんに、8000万マネーをここに進呈し、その功績を称えます!」


開いた口が塞がらないとはこのことか…

「いくつか桁間違えてるとしか思えないくらいのお金じゃないか…」

つい本音が口走ってしまった。

「でも今回は街ほとんど壊されてないし、守れて良かったじゃねぇか!」

「そうですよ、大好きな街を守れたじゃないですか?」

それはまぁ、そうだけど。

しばらくクエスト行かないとか言わないでくれると嬉しいが…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る