第17話 キケンナアソビとやるべき事

亜希子がうちのパーティに加入して3週間。彼女はもうこの街に馴染んでいる。なんか関西弁だし。

「私、あれ(水色のポーション)気になるんやけど、どんな商品なんよ?」

ちなみに今はパールさんのお店で魔導具を見に来ている。

「あれは効果時間が短い代わりに超怪力を手に入れられるポーションですね。お値段10万マネーという強気の値段です」


うーん、強いけど高いな…僕が買うかどうか悩んでいる間に即決していた。

「これは買いやね!」

「ありがとうございます!」


「これ高かったけど、良かったの?」

そう聞くと、亜希子は

「自分も欲しそうな顔してはったけど、悩んどったやないか」

「え?」「ん?」


関西では『自分』は相手を指す意味でもあるのか。ややこしいな…

「混乱しないの?」

「まあそこら辺は住んどったら慣れるわ」

そういうものなのか…?


そう話しながら街を歩いていたら、突然悪魔の鳴き声のようなものが聞こえてきた。それと同時に、

『緊急事態!魔王軍らしき軍団がもうすぐこちらに攻め込んできます!住民の皆さんはすぐに避難を!冒険者の方々はギルド窓口へ!』

というアナウンスも聞こえてきた。


「なあ良太郎、これが前に言ってたアナウンスってやつ?」

「んー、そうだね。とりあえずさっさと家で武装して.ギルド向かうか」

まためんどくさいことになったな…


ゼェゼェ…

「急いで来たから、疲れた…」

「ホンマやで…」

さて、殆どの冒険者が来ているようだけど、アイツらはいったいどこだ?

「おっ、やっと来たかお前ら!遅いぞ!」

「そうですよ2人とも!」

「家に装備置いとったからしゃーないやろ…」

それはともかく、ギルド長の話をよく聞いておこう。

「冒険者の皆さん、集まりましたね。確認したところ、現在、正門方面から魔王軍がこちらに攻め込んでいます。到着まであと1時間もないでしょう」

…またか。前は確か僕らが温泉街に居た時に来て、戻った時は街が壊されているところだった。今回はそうさせないように頑張らなくては。確か前のやつは毒が弱かったし、その時にパールさんにもらった毒のポーションを用意しておこう。


「さっき買うたポーション、この侵略を阻止するのに使えん?」

「…確かに使えそう。亜希子かシアンが持ってた方がいいかも」

僕そう言うと、亜希子は超怪力ポーションを腰周りにあるホルダーに付けた。そのホルダー何処で買ったんだろう。後で聞いてみよ。


それより、2人の準備はどうだろう?

「2人とも、準備はどうだー?」

「俺もシアンも準備万端だぞ!OKすぎてここで道具使っちゃうかもしれねーけど!」

「「使うなや!」」

やれやれ。幹部が来ると言うのに…


変に使われても困るので僕たちは一足先に正門でのお出迎えをする。ギルド長からアーチャー台を用意して欲しいと頼まれたので、何故か居た土木作業員の人とそれを運んでいる。肝が据わってるなぁとは思う。

「これアーチャー台出す意味あります?幹部にすぐ破壊されるかと…」

「というかそもそもなんで常に置いてないんだよ!」

「ホンマやで、なんでうちらが用意せんとあかんのや?」

「ほんとだよ…面倒くさい」


そうブツクサいいながらも用意が終わると同時に、冒険者の皆が家なり店なりギルドなりから出て来た。

「アーチャー職は、この上に登ってくれ!」

僕が大声で言うと、アーチャー職の皆が登って迎撃準備をする。


「もう来たのか、魔王軍」

人型のアンデットモンスターのような奴らが次々と襲いかかってくる。多すぎるだろこれ!ざっと600は居るでしょコレ。

「いくら倒してもぜんっぜん減らん!多すぎやて!」

「僕も自分のことでいっぱいだ…あの二人は大丈夫そうだけど」

その2人は、前線で良いコンビネーションをしているシアンとレッドだ。


「 お前ら、魔王軍のモンスターなのに遅すぎるぜ?…シアン、今だ」

「はいっ!『ライトセイバー』!」

それは、レッドお得意の素早さで敵を翻弄し、その隙にシアンが斬るというものだ。


「…ウチらも負けてられんな。いくで!」

「…援護は任せて!」

「ほら!敵さんこっちにきんさい!」

…多分、敵からの視線が亜希子に向いてるから、囮スキルと言ったところか。

「面白いこと考えるな〜。乗るしかないね!『ライジング・パワー』『ライジング・ディフェンダー』。」

それぞれ攻撃力と防御力を上げたから、戦いやすくはなる。

ただ、自分の周りは、クリエイター・ソードで雷の剣を作ったとはいえ、少し厳しい。


そう思った時、彼女が挟み撃ちにされていることに気付いた。しかも後ろの方は気付いていない。危ない!!!

「させないよ!『フレイム』!」

モンスターに火の玉が直撃して倒したため、間一髪で亜希子を助けることが出来た。

「ありがとう。ホンマ危なかった…」

そう言いながら亜希子は構え直す。

「でも、だいぶ数減ってきたね。もうひと頑張りしよう」

自分も同様に杖と剣を構え直す。アイツらは…


「おっしゃ、また上手くいったぞ!ずっとこのままやっときゃ凌げるんじゃね?」

「そうですね!もっとやっちゃいましょー!」

完全に調子に乗ってて、2人とも後ろにいる魔物に気づいてねぇ…

「2人とも危ない、『フレイム』!」

「「え?」」

モンスターに火の玉が直撃し、倒したため何とか不意打ちを阻止できた。


「2人とも、調子に乗りすぎだよ」

呆れながらそう言うと、2人は、なんか仲間割れのような事をし始めた。

「だってレッドが調子に乗るから!」

「シアンお前が反応するのが悪いだろ!」

さっきまでのコンビネーションはどこに行ったんだ?

2人を見ながらそう思っていたその時!


「良太郎危ない!『フレイムブロウ』」!」

炎の拳が突然右斜め後ろから飛んできたと思ったら、後ろにモンスターがいた!全く気づかなかった。

「良太郎もよそ見はあかんで!」

亜希子は少し強めに言いながら手に着いた汚れをはらう。

「ごめん、助かったよ」


周りを見てみると、殆どモンスターは倒したみたいだ。

「残るは大きいアイツか。多分アイツが幹部かな」

背が高い日本人男性くらいはあるけど、めっちゃ大きいという訳では無いな。ただ、パワーが凄くありそうだ…


「いやぁ、よく耐えられたものだネェ。でも、この魔王軍幹部であるボク『シャローア』が、街ごと壊してあげちゃうネェ!」

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