第4話キャンプと魔法とレインボー

新たに技を覚えた僕たちふたり。

一旦その日は今日泊まる予定の宿に戻り、休むつもりだったのだが...

まさかの既に部屋が満室であり、キャンプを余儀なくする羽目になってしまった。


「まさかこーんな形でキャンプをするとはな〜...」

「でもこうやって2人で火を囲んで、お話しながら焼き魚を食べるのもいいですね!」

美味しそうに頬張りながらシアンはそう言う。

さっきその辺川でつかまえてきた魚を串刺しにして、塩焼きにしたものだ。シンプルだが美味い。

でも確かに、こういうのも悪くはないな。


「とりあえず、僕がこの辺見張っとくから、シアンは先に寝ててもいいよ」

「え、でもそんなことしたら良太郎が...」

「大丈夫。徹夜とかには慣れてる。」


ということで、僕が見張りをすることになった。といってもこの世界でも夜は冷えるな...なにか温かい飲み物でも作るか。川の水は飲んでも大丈夫そうだし。

そこら辺に生えてある茶葉になりそうな草を取り、それをよく洗う。茶葉っぽいものを加熱し、茶葉を蒸す。葉を押しつぶさないように転がすように優しく揉み、魚を焼く時さっきこっそり作ってたプレート代わりのもので、混ぜながら乾かす。道中で拾ったガラスを耐熱皿代わりにして、その皿代わりのものに茶葉っぽいものを広げて加熱したり乾燥させると、茶葉の完成。


どっかで見たサバイバルの知識が役立って良かったかも。

とりあえず飲んでみよう。温めた川の水と茶葉っぽいやつを入れて、数分蓋をする。

「匂いはちょっと緑茶っぽいかも?」とりあえず飲んでみるか。

「...緑茶だ!久しぶりに飲んだな...」思わず少し大きな声で言ってしまった。シアンが起きなくて良かった。

明日の朝に、シアンにも飲ませてみるとするか。


翌日。

緑茶を飲んだからか、ちゃんと寝ずに見張ることができた。昨日作った緑茶をシアンに飲ませてみた。

「始めてみる飲み物ですね」と、少し不思議そうな顔をして、緑茶を飲み始める。すると、「...!これ、すごく美味しいです!」と絶賛してくれた。

「口に合ったようでよかったよ」


道中、「良太郎、あなたは元の国に帰らないんですか?両親が心配しているのでは?」と不意に尋ねてきた。

「帰りたいんだけれど帰ることができなくてね。でも、今は楽しいから十分さ」と笑顔で言うと、シアンも笑顔になった。


そろそろ目的地に着く頃か。

「さて、昨日覚えた魔法をあのキノコどもに見せてやろう」と魔法を放つ準備をする。が、目の前にシアンが現れ、

「これでも喰らいなさい!『ライトソード』!!」と剣を構えキノコ2匹に突っ込み、切り刻む。多分あれ、剣を帯電させて斬り刻む技かな。

「魔法お前にぶつけそうになったじゃないか!ちゃんと周りを見なさい!」と怒鳴ると、

「だって仕方ないじゃないですか!」と言い返してきた。めんどくさいので無視して、残りのキノコ2匹を魔法の標的にするか...


「これでもくらえ!『フレイム』!」

手のひらから火の玉が4発放たれ、キノコ2匹を追尾するかのように飛んでいく。追尾機能付きなのか!

キノコ2匹がこんがり焼けた状態で倒れる。効果抜群のようだな。

「...なぁこれ食えるのかな?」

「持って帰ってギルドの人に聞いてみましょうか。」

「そうするか」


「跳ねる毒キノコ4体の討伐と、クエスト完了の報酬合わせて、30万マネーとなります。ご確認ください!」

土木作業のバイトや内職とかよりも結構稼げるのか...冒険者はそれくらい危険な仕事なんだな。


「えっとお姉さん、跳ねる毒キノコを火で焼いてみたんだけど、この状態で食べられますか?」と、焼きキノコを見せて聞いてみる。

焼きキノコを虫眼鏡のような魔道具を使って見ながらお姉さんはこう言う。

「この状態ですと...毒は入っていますが、とても微々たるものなので大丈夫ですよ!ただ、食べ過ぎるのは毒が回る可能性がありますので、ご注意くださいね。それでは、クエストお疲れ様でした!」

「「わかりました。ありがとうございます!」」と僕とシアンは言い、焼きキノコを受け取ってこの場を後にした。


「ねぇ、せっかく30万手に入ったんだし、今日は二人でパーッと飲みません!?」

「僕はまだ17歳だから、酒を飲むことは出来ないよ?でも、付き合うことは出来る」

「じゃあ行きましょ!」

こういった贅沢も悪くないか。酒は飲めないから、代わりにジュースでも飲もう!


夕方、ギルドでご飯を食べることにした。

例の焼きキノコは昼飯にしたのだが、意外と美味しかった。

「私にはお酒くださーい!あともつ煮とカエルの唐揚げ大盛りください!」

ほんとに酒飲みのようだ。僕は大人しく、コーラと野菜炒めと鳥の唐揚げを頼むことにした。野菜炒めも唐揚げも、日本と味が似ててとても美味しい。


二人で雑談をしていたら、後ろから土木作業のバイトの先輩たちが現れた。みんなすごくいかつい顔をしているので、僕もシアンも驚いたが、少ししたらみんなで楽しく飲み会をしていた。

約1名途中離脱してレインボーしてみたいだが、僕冒険者してるかも!と思えるようになった。

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