第13話 蒼光のルーツ 

 週末の午後、研究棟の地下ラボ。ウリエルがスプロウツの面々を呼び寄せていた。

 「拓馬の異能〈再演(リフレイン)〉について、重要な結果が出た」

  ホログラムに映し出されたのは、青白い光の波形データ。

 「このエネルギーは、通称〈A.N.G.E.L.計画〉の残滓だ」

  祥子が眉をひそめた。「A.N.G.E.L.計画……軍事転用型異能開発プロジェクト? 廃止されたはずじゃ……」

  ウリエルは頷き、端末を操作した。

 「表向きは廃止された。だが、実際には失敗作を処分せず、保管されていた。そして偶然か意図的か、拓馬、お前に宿った」

  拓馬は自分の掌を見つめ、拳を握りしめた。

 「じゃあ、この力は……人を傷つけるためのものだったのか」

 「だから私は留学してきた。この力を兵器化しようとする動きを止めるために」

  ウリエルの声には確かな決意がこもっていた。

  フィオナが静かに口を開いた。

 「実は私も、かつてその計画を止めるために行動していたの。スポンサー企業の中には、この力を利用して利益を得ようとする者がいる。ヴァルハイト社もその一つ」

  栞奈は資料をめくり、冷静に言った。

 「つまり、スプロウツが注目を浴びた今、この力は再び狙われる可能性が高いということですね」

  哲が不安そうに呟く。「……俺たち、狙われるのか?」

  祥子は一歩前に出て、拓馬の肩を叩いた。

 「でも、その力をどう使うかは拓馬次第よ。過去がどうであろうと、今のあんたは仲間を守るために使ってる。それが答えじゃない?」

  友梨もうなずき、笑顔を見せる。「失敗を糧にして進んできたんだから、大丈夫だよ」

  拓馬は深呼吸し、仲間全員を見回した。

 「……この力を、もう二度と間違って使わせない。俺たちで、この学園を変える」

  その言葉に、全員の表情が引き締まった。蒼光のルーツが明らかになった今、スプロウツの戦いは学園の枠を超え、より大きな意味を持ち始めていた。

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