第21話

「お疲れ様。とーま」



散って行くFクラスを眺めていれば、一仕事終えた風なりづさんたちが近づいてきた。



「お疲れ様です!」


「虎雅もお疲れ様。いい試合だったね」



バッと頭を下げる虎雅は見た目に反して律儀で礼儀正しい。特に先輩後輩はきちんとする奴。


虎雅に出会った頃には士郎に対してタメ口だったから、それも多分睨まれていた理由の一つだ。


俺も相手が士郎じゃなきゃちゃんと敬うんだけどなあ。



「とーまぁ、勝ったなぁ」


いぇーいと軽い玲鷹さんに髪をぐしゃぐしゃにされて小さく抗議する。



「誰かさんから勝てってお達しだったので」


ちらっと士郎を見れば、だるそうに片足に体重をかけながらこちらに視線を向けた。



「あ? 当然だろ」


はんっと鼻で笑う士郎。腹立つなぁ。



「大分煽られてたなァ?

千里がお前煽ってる時の2年、今にも飛び出しそうな顔してたぞ」


くっくっくっと笑う玲鷹さんに、それは笑い事ではないと顔が引き攣る。





「士郎さん!」



ビビる俺を見てみんなが笑う中、男特有の低めの声が響いた。


見れば、ほぼ全員が帰る中でこっちに走ってくるさっきの銀髪。後ろには金髪もいて、だるそうなのは相変わらず。


士郎といい、何がそんなにだるいんだ人生か?と思っていればバチッと目があった。



え。


固まる俺に、金髪がずんずんと真っ直ぐ向かってきて俺の目の前で足を止めた。


上から顔を覗き込まれ、訳も分からずとりあえず見つめ返す。



…綺麗なサファイアブルーですね。




「…ここのえ、とうま」



「……え」



確認するように呼ばれる自分の名前。


金髪の声がまるで澄んでいるかのように聞こえて、美形は声まで美しいのかと意味のないことが頭に浮かぶ。



「せんぱい?」



付け加えるようにコテン。と傾げられた言葉。


いや、そこ疑問系はおかしいでしょーよ



「………何でしょう?」



呼ばれたので返事をすればまたじっと見つめられ困惑。


訳がわからん。




「おいこらぁ、お前ちっと近ぇわ」



ゆるーい声が聞こえたかと思えば、制服を掴まれた感触がしてそのままぐっと後ろに引っ張られた。


「ぐっ」と呻き声が自分の喉から出る。



ちょ、ちょちょちょ、しまっとる!



「れ、おさん! ちょっと!」


「ん? わーり」



パッと離される手。


軽く咳き込み、悪びれる様子のない玲鷹さんに小言を言う。



「俺は猫じゃないんですよ」


「変わんねぇじゃん」


「怒ってもよろしいですか?」


「いやん。とーまのケチ」



ケチじゃないわ。体をくねらすな。





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