転生社畜は、自由を求めて何処に行く?
壱村次郎
第1話
藤城隆史、享年46歳。
死因、過労死。
早朝のオフィスで冷たくなっているのを同僚の柴田香織さんに発見されて病院に搬送されたが、その場で死亡が確認された。
隆史が勤める会社は謂わゆるブラック企業で、近々労基署の強制査察が入るのではと噂されていた程の超絶ブラック企業だった。
隆史の両親、祖父母、兄弟姉妹は会社側に対して怒り心頭で刑事告発して、隆史に対する慰謝料として2億円を請求し、裁判所の判決は遺族に対して6,000万円を支払うようにというものだった。
さすがに過労死したのは隆史が初めてだったが、過労死寸前にまで追い込まれて退職した社員達がこぞって訴訟を起こして慰謝料を請求したので、会社側の資産は底をついてしまい、倒産、破産してしまった。
隆史はその様子を空から見ていた。
「満足したかの?」
はい。創造神様。お陰様でスッキリしました。
「ホッホッホ。それは良かったの。では、約束は守ってもらうぞ? 良いな」
はい。勿論です。
本来なら、輪廻の輪にも入れずに魂ごと消滅してしまう所を格別のお情けで会社の破滅を見届けさせていただいたのですから約束は守ります。
「うむ、うむ。律義な事で実に結構じゃ。それでは約束通りにしてもらうでの。時間じゃよ。2度目の人生は君の思うように自由気儘に過ごすと良い。これまで辛い人生を過ごさせてしまったお詫びに、少しだけ償いをさせてもらったからの。それは儂の世界で確かめると良いじゃろう。ではの。君の2度目の人生に幸多からん事を祈るばかりじゃ」
何から何までお世話になりました。
それではさようなら。
隆史の意識が遠退いていき、グルグルとした何かに沈んでいった。
そして次の瞬間、隆史は…いや、隆史であったものは誰かに抱かれながら、盛大に泣いていた。
多分、母親だろうと思えるその人は、アワアワしながら隆史であったものをあやしている。
「÷>°〆クロード<♪#:\、クロード」
何を言っているのかサッパリ分からなかったが、取り敢えず自分の名前が「クロード」だという事だけは分かった。
そうか。
今世での名前はクロードといのか。
うん。
中々に立派な名前だな。
って言うか、名字はあるのかな?
平民なのか貴族なのかは分からないけど、自由に楽しく生きていければそれで良いや。
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