ずっと好きだった人と付き合えたと思ったら、思っていたのと違う日々が待っていました。私はこんな青春望んでない!

しずり(入院中)

1 告白


放課後。閑散とした渡り廊下。

わたし――夏影なつかげゆみかはずっと好きだった女の子に告白する。


「――ずっと前から貴女のことが好きでした。もし良ければ付き合って下さい!」


勢い余ってつい声が大きくなってしまった。でも二人の他に人はいないので、誰かに聞かれることはなかった。


今の今まで拗らせてきた片思い。

やっと伝えることが出来た想い。


二人の頬は朱に染まっており――。


この待ち時間が焦れったい。


告白された相手――風渡かぜわたり静羽しずはは顎に人差し指を添えたのち――。


「――いいわよ」


短く答える。


「へっ!?」


まさか告白が受理されるとは思っていなかった。だって静羽は学校一の美少女。学園の人気者。


ストレートの長い黒髪を腰あたりまで伸ばし、宝石みたいな碧い瞳はキラキラと光り輝いている。指も細くて、華奢で、スタイルも良くて……頭も良くて、運動神経も抜群で。良いところなら、いくらでも挙げられる。悪いところは考えれば時間が掛かる。

そんな美少女がわたしと釣り合うわけ無かった。


「――その代わり、付き合ってることは二人だけの秘密ね?」


そうだ! 静羽は学園の男子たちにモテるんだった。つまり、わたしがみんなに嫉妬されないようにする為の彼女なりの配慮だろう。なんて、優しいんだ……! てか、彼女がモテモテなことを何で忘れていたんだろう……。


「分かった」

「よろしい」


よろしい?


何故、上から目線?


そして、静羽はわたしに近づき――。頭を撫でた。わしゃわしゃ、と髪が少しボサボサになるまで。


「大好き」

「わたしも静羽のこと、大好き」

「キスでもする?」

「えっ、キスはまだ……心の準備が……」

「キスする雰囲気だったから。でもまだ付き合ってから1分50秒しか経ってないから、また今度ね」


何でそんな正確に時間を計っているのだろう。彼女の腕には腕時計がついているのに今気づいた。


「う、うん……」


このまま一緒に帰るのかと思ったが、彼女は寄りたい場所があるらしく、わたしは一人で帰ることになった。


でもとある理由で、帰り道ずっとヒヤヒヤすることになる。


その理由というのが――静羽が別れ際告げたセリフだ。


「別れたら殺すからね? その時は私のことも殺してね? じゃ」


――返事は出来なかった。

怖かったからだ。


すごく束縛されてる。


わたし、こんな青春望んでないんだけど!


わたしはもっと、普通の青春を望んでたんだけど!


恋愛経験が無くても、これが普通じゃないことくらい分かる。静羽が異常なことも分かる。


どうなっちゃうの!? わたしの学園生活スクールライフは!


後悔したところで遅かった。


わたしから告白した以上、現実を受け入れるしかないな、と思った。







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