第七章:煙突からの侵入
静けさが戻った森の中。
オオカミの声は、ぴたりと止みました。
「……もう、どっかへ行ったんじゃないか?」
ポルが窓の外をそっとのぞき、ほっとした顔で言いました。
「諦めたのかも…」
「気を抜いちゃダメだ。
あいつ、何度も襲ってきたじゃないか」
モクが真剣な表情で首を振ります。
そのとき――
「しっ!」
レンが小さく声を上げ、耳をすませました。
……ガタッ……ゴトン……
かすかな音が、屋根のほうから聞こえてきます。
三匹は息を呑んで顔を見合わせました。
「まさか……」
レンが声を潜めて言います。
「オオカミ……屋根に登ってるんじゃ……?」
三匹の視線が、煙突に集まりました。
「レン! 大鍋を用意しろ!」
ポルがひらめいたように囁きます。
「わかった!」
レンとモクが台所へ走り、大きな鉄鍋に水をたっぷり入れました。
それをポルが暖炉の中にそっと置き、薪をくべて火をつけます。
……ギシッ……ゴトン……
天井から軋む音が近づいてきました。
そして、煙突の上の方から――
「三匹とも、待ってろよぉぉぉぉ……!!」
「今だ、火を強くして!!」
ポルの声に、モクとレンが火をあおり、鍋の水はみるみる沸騰しはじめます。
――バシャン!
(7-6)煙突の奥からオオカミが滑り落ち、
「わあああっ! やめろーっ!! 熱い! 熱いぃぃっ!!」
オオカミの悲鳴が、部屋じゅうに響き渡りました。
「今だ、モク!レン!」
ポルの合図で、モクとレンが、重い鉄鍋の蓋を持ち上げます。
「よいしょっ!!」
ずしんと重い蓋で、大鍋に落ちてきたオオカミをふさぎました。
「ギャァァァーーーー!!」
最後の叫びを残し、オオカミの声はかき消えました。
火のぱちぱちという音だけが、部屋の中に響きます。
しばらくして――
「よしっ、今夜は……狼鍋だー!」
ポルの一言に、三匹は大笑いになりました。
こうして、三匹のコブタ――ポル、モク、レンは
力を合わせてレンガの家を守り抜き・・・
美味しく狼鍋を戴きました。
三匹は、レンガの家で仲良く暮らしていくことにしたのでした。
続く~エピローグへ~
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