第三章:壊された藁の家
藁の家の中。
ふかふかのベッドに寝転がっていたポルは、
心も体もぬくぬくと気持ちよく、うたた寝をしかけていました。
――そのとき。
バサッ。カサカサ……
「ん……? 風かなぁ?」
外で、何かがよぎりました。
その直後、ズン! と家が揺れました。
「おい、誰だよ……!」
ゆっくりと立ち上がったポルが見たものは、
鋭い牙とギラリと光る目をした、一匹の大きなオオカミでした。
「やぁやぁ、いい匂いを頼って来たら……
こりゃぁ、旨そうなブタがいたもんだなぁ」
「ひ、ひぃぃっ!」
ポルは一目散に家の奥へ逃げこみました。
オオカミは笑いながら言いました。
「そこにいるのはわかってるんだ。
おとなしく出てきたら、ちょっとは優しくしてやるよ?」
「だ、誰が出るかーっ!」
「そうかい。じゃあ、ひと吹きしてやろうじゃないか!」
オオカミは大きく息を吸い込みました。
「ふぅぅうううーーーーっ!!」
風のような勢いで息が吹きつけられ、
次の瞬間――
ポルの藁の家は、バラバラに吹き飛びました!
「うわあああああああっ!!」
転がるように外へ飛び出したポル。
「まて!!」
後ろから迫るオオカミの足音を聞きながら、ポルは夢中で走りました。
「モクー!!」
ポルは木の枝で作られたモクの家に飛び込むと
モクが驚きながら聞きました。
「どうしたんだ、そんなに慌てて!」
「オオカミが! オレの家を吹き飛ばしたんだ!」
モクは目を見開き、
「早く!奥に行って!」
と、入り口をふさぎました。
二人はふぅ・・・と息を吐き…
「ポル兄さん…
やっぱり藁の家なんて、ダメだったんだよ」
「うーん、けど、家を作るのって本当に大変じゃないか…」
「まぁでも、僕の木の家ならきっと大丈夫だと思う。
藁の家程、簡単には壊れないよ」
「悪かったな…」
二人は顔を見合わせ、薄く笑いました。
続く~第四章へ~
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