第136話〜関西人、邂逅する〜
しーちゃん達に注意を促した放課後、俺は繁華街へ繰り出した。しーちゃん達はさくらさんとセバス爺さんに送ってもらうようお願いしてある。
……
「ほな、俺は実態調査へ繁華街行ってみるわ」
「大くん…本当に、無理はダメだからね…?大くんに何かあったら私たち…」
「心配せんでええ。ヤバかったら逃げるて」
「大ちゃん、気をつけてね!」
「大樹君…心配だけど…」
「うん、ほな。行ってくるわ。さくらさん、セバス爺さん、頼んだわ」
「爺さんではなあぁぁぁああああぁぁい!!!!」
「うるっさ!!!」
「私めはまだ還暦も迎えておらんのです。爺さん呼ばわりは心外でございます」
強烈な喝の不意打ちにしーちゃんら目ぇ回しとるがな。ほんま…このじいさ…いやおっさんは…。
「天王寺様、お任せくださいませ!さあ、セバス、参りましょうか」
「まったく…お嬢様にこのようなことを押し付けるとは…小僧!あ、いえ…天王寺様。それでは」
「おい、小僧言うて…聞いてへんわ…」
窓から心配そうにみんなが見てたけど、俺は手を振ってみんなを見送った。俺は俺のやるべき事をせなな。あの子らを守るためにな。今宮はHRが終わると同時にとっとと出て行きよった。鶴橋らと会うためかな。それやったらちょうどええ。お前にも…宣戦布告できるからのう…。俺の中の天王寺の因子やろか。ケンカが好きでたまらんあいつの性格がちょっと出た。校門前でニヤリ…って笑ったら下校中の生徒から悲鳴があがった。へこむわ。
……
滝井君には絶対に繁華街に近づいたらあかんって言うといた。情報を探ってるんがバレると厄介なんやけど…顔さえ割れへんかったらええんかな…。いや、あかんやろ。リスクがデカすぎる。
「あれ、天王寺?」
「滝井君…」
言うた矢先に遭遇したわ。あかんって言うたやん。
「天王寺がダメだって言っても俺は来るぜ。何、情報を探ってるような素振りは見せねえよ。こう言うのはな、やっぱ現場出て仕入れなきゃ有力な情報は手に入らねえんだ。しくじりはしない。天王寺も気をつけてな」
俺の顔は割れとるはずや。せやったら滝井君と接触しとる方がよろしくない。
「わかった。気ぃつけてな」
「ウイッスー」
滝井君もそれはわかってるらしい。深く聞かんと人混みへと消えていった。俺が目指すは…鶴橋らがたむろしとるっちゅうゲーセン。うーん、ほどよくボロくて昔ながらの不良の巣窟って感じやな。とりあえず、いきなり裏へ行ってもおもんないし、偶然を装いつつ行こか。
まあ、俺ゲーセンってあんま好きちゃうねんな。うるさいからのう。家でRPGのレベリングを100時間するとか、バグ検証するんとか大好き人間やったから騒がしいとこ嫌いやねんな。本読むんに騒がれたりしたらキレそうになったわ。まあ、今回は我慢や。
俺は適当に格ゲーしたりシューティングゲームしたり。そうしてるとまあガラの悪そうなど金髪の高校生のギャルっぽいのとか男とかも来よるな。そないな中で俺は浮いとるんやろう。視線を感じる。ギャルらはヒソヒソ俺の方見てなんか喋っとる。金髪の男もな。俺が天王寺やってわかっとるっぽいな。ええやん。おもろいやん。
んで俺はまた格ゲーのとこ座って格ゲーをする。ヤンキーが乱入してきたっぽい。
「ボコボコにしてやれ」とか言うとるわ。女子もやっちゃえやっちゃえとか言う。いやぁ俺格ゲー得意ちゃうねんけど…。プレイして思ったことは、こいつわざと負けとるわ。ほーん。わざと負けてあれやな?イチャモンつけてくる感じやな?ストレート勝ち。そしたらほらやっぱり来たわ。
「おめー強えなー。つえーからって調子乗ってるよな?」
「こりゃ調子乗ってるわ。なぁ」
「キミ、わざと負けたやろ。俺に絡む理由を作るためにな」
「へえわかってんじゃん。ボコられたくなかったら有り金置いてけ。な?痛えのはいやだろ?」
ごっつい治安の悪さやなぁ…なるほどな。こら不良共が集まるわけやわ。
「はい、100円な。俺今日それだけしかないねん」
「舐めてんのかテメエ!」
「負けた分返ってきたんやからええやんか」
「あんた、哲ちゃんなめてんの!?キャハハ!やべーよ哲ちゃん怒らせたら。死んじゃうよー?」
「ほーん。で、キミらはこのやんちゃ坊主らの威を借りてイキってんの。しょーもない女やな」
「はあ!?ねえ哲ちゃんこいつマジムカつくんだけど!」
「俺の女怒らせたら俺を怒らせたも同然だ…テメエ死んだぜ?」
そう言うやいきなり殴ってきた。いや当たらんねんけどな。天王寺の身体能力なめたらあかんで。これは転生初日に実証済みやねん。そんで俺は凛子の言いつけをなるべく守るようにとりあえず備品とか壊さんように足払いをかける。
「うおっ!?」
コケたところに思い切り足を上げて俺は喉を踏み潰すような素振りを見せる。笑いながら。その方が狂気感あってええやろ。
「合戦場では喉を踏み潰すんが鉄板や。キミ、これで終わりな」
「ひ、ひいいい!?」
ダァン!と床を踏み鳴らす。そしたらなんかチワワみたいに震え出したで。こいつケンカ慣れしとらんな?連れの男は呆然としとるし女も腰抜かしとるわ。キミら何もされてないやん。
「あんまりケンカふっかけたらあかんで?こう言うヤバいやつもおるんやから」
「は、はいぃ…」
よっしゃ、そろそろ頃合いやな。俺はチワワ君らを放って外へ出て…裏側へ回る。辿り着く前にギャハハハハ!とかきったない笑い声聞こえるわ。おるな。俺は適当に「あー、しんど」って言うて広いとこへ出た。そしたら汚い笑い声も、うるさい話し声も全部ピタッと止まった。そんで。
「あれぇ!?天王寺やーん!」
相変わらずなめた関西弁やな。まあええんやけどな。
「あ?あー…誰やったっけ」
「久しぶりじゃん天王寺君!俺らを退学にさせておいて元気だったー!?」
「ああ、キミらかいな。退学になったおもたらヤンキーデビュー?何やえらい楽しそうでんな」
俺は心底退屈そうな顔しとったと思う。まあこいつらほんましょーもないし。
「ああ!?お前のせいで俺らがどんな思いしてんのかわかんのかよ!?」
「知らんわ。いらんことせんと真面目に勉強しとったらよかってん。なあ、今宮?」
「…お前、何でここに…」
「え?ストレス解消にゲーセン来てん。絡まれてダルなったからちょっと息抜きに」
「は?中にいた人は…」
「ああ、喉踏み抜くフリしたらチワワみたいに震えとったで」
「おいおいおいお前死んだわ。その人、紫炎ってグループの人だぜ?おめー頭悪いなー!」
「あー、チワワみたいに震えてぴえんってなっとったな」
「えー、天王寺君つよーい!かっこいいじゃん!」
「へーえ、あんたが天王寺ってんだ。男前じゃん。あたし好みかも」
「チャー子さん。あたしもいいかも!」
「おい、あゆみ」
「大丈夫だよ!とっしーが一番だから!」
鶴橋妹の隣におるケバい女。これがチャー子。しーちゃんを狙っとるヴィヴィアンの頭か。ちょっと目ぇラリってないか?滝井君が言うには違法な葉っぱを愛用しとるっちゅー話やから…これ吸っとるな。この辺一体、妙な甘い匂いが漂うとる。おいネトハザ主人公。おどれ、ここまで落ちたんか。いや、こいつの手にあるんは普通のタバコや。なるほど。まずはタバコからって言うんは間違い無いか。ってことは今宮、もうあかんな。葉っぱまで秒読み段階。俺はこのアホを矯正させるために来たわけでもないからええんやけど。
「天王寺〜、あんたも吸う?いい気分になれるべ?」
「いらん。タバコは好かん」
「おー?じゃあ酒はどうだい?一杯やろうぜー」
「それもいらんな。安酒はまずくて飲まれへん。山崎か白州でも持ってきたら考えたる。いや、それやったら18年がええな。それもってこい」
絶対無理やろうけどな。値段がプレミアついて10万超えてたりするし。
「あんた随分やんちゃじゃーん。いいねぇ…マジでいいよ、天王寺。どう?今からそこのホテルで休憩しねえ?」
「キミみたいなアバズレとはええわ。病気うつされそうやし」
「おい天王寺!お前チャー子先輩に失礼だろ!」
「チッ、おめー調子こいてんじゃねえぞ」
「じゃあさぁ、あたしとは?」
「余計いらんわ。殺人未遂犯となんか」
「あー、天王寺ィ。テメーさっきから調子乗ってんなぁ?殺すよ?」
「おーこわ。堪忍してくださいや鶴橋パイセン」
「テメーマジで殺すぞ?殺されたくなかったらさぁ…かわいい妹退学にさせた冬木出せ?な?」
「はあ?」
「俺は秋谷差し出したら許してやるよぉ。わかるだろぉ?」
「わからへんわ、明治やっけ?昭和やっけ?そんなパイセン」
「オメーマジでなめてんなぁ」
おーおー、全員殺気立ってるわ。だいぶ煽ってもうたかな。怖い怖い。俺は思わず笑ってもうた。俺が一番震え上がって恐怖を覚えた言葉はな…「先輩…2ヶ月前のプロジェクトのプログラム…エラーでデータが飛びました」や。
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